改正競争法に基づく競争政策施行能力強化プロジェクトの開始

2019年11月4日

JICAの新しい技術協力プロジェクトが本年11月から開始され、同月4日、ベトナム商工省競争消費者庁内に設置されたプロジェクトオフィスに奥村豪JICA長期派遣専門家が着任しました。

1.本プロジェクトの目的

2004年12月に成立したベトナム競争法は、その後のベトナム経済の発展、国際経済との統合、法運用状況等を踏まえ、2018年6月に改正され、そして、その改正競争法が2019年7月に施行されています。
本プロジェクトは、改正競争法の積極的かつ的確な法運用が公正な競争環境を確保し、ベトナム経済の持続的な発展を実現するとの観点から実施される新しい技術協力プロジェクトです。また、本プロジェクトを通じ、ベトナムにおける競争当局の執行能力・体制の強化を支援し、公正な競争環境が確保されることは、我が国企業の投資・経済活動の予見可能性を高めることにもつながります。
このような観点から、本プロジェクトでは、競争法がより実効的に執行されるようになることを目標として、主に、後記2に記載する取組を行うこととしています。

2.本プロジェクトの具体的活動

本プロジェクトは、ベトナム競争当局において実施される以下の活動について積極的かつ的確な技術協力支援を行うことが想定されています。
「現在の執行実務のレビュー及び改正競争法を前提とした実務の変更必要点や改善点の特定」
「改正競争法の下での執行実務に関する内部執務要領等の作成」
「改正競争法の下での執行実務に必要な研修の実施」
「リニエンシー制度の実施に向けた以下の準備の実施」
・リニエンシー申請に対応するための内部執務要領等の作成
・リニエンシー申請対応の実務(プロジェクト期間中に申請・実務対応があった場合)の検証及び内部執務要領等の改善の検討
・リニエンシー申請対応に必要な研修の実施
「以下の内容を含む啓発計画の作成及び改正競争法の周知のための資料作成」
・改正競争法における典型的な想定違反事例
・啓発対象(行政機関、地方自治体、事業者、メディア等)別の啓発内容
「改正競争法を周知するための事業者、政府機関、弁護士、メディア向けのセミナーや研修の実施」
「企業向けコンプライアンスハンドブックの作成・配布並びに当該ハンドブックに基づく企業向けセミナー及び相談業務に対応するための内部研修の実施」

3.本プロジェクトの期間

本プロジェクトは、改正競争法の運用機関である国家競争委員会の発足及び人事が確定することを前提として、2019年11月から2年間の予定で実施されることとなっています。
今後、前記2に記載された活動を積極的に展開して参ります。

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プロジェクトオフィスのある商工省ビルの外観

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ベトナム競争消費者庁が所在するフロア。左端の部屋がプロジェクトオフィス。