第1回内部研修セミナーの開催

2020年1月10日

昨年11月上旬の関係課室からのヒアリングの結果、産業分野別に、それぞれの分野における競争法違反行為や競争政策上の課題等について、日本における事例を紹介することによって、職員における関連産業及び競争法の運用に関する知識を深め、今後の執行力強化につなげていくという方針となったことを踏まえ、1月10日に、石油・ガス分野における競争法執行及び競争政策をテーマとして、第1回内部研修セミナーを開催しました。
今回のセミナーでは、「液化天然ガスの取引実態に関する調査報告書」(2017年6月28日公正取引委員会)を題材に、実態調査の目的、長期契約にみられる主な条項に関する競争法上の論点、課題等について説明し、公正取引委員会の指摘等の具体的効果について説明しました。
折しも、1月3日において、ベトナム国内に建設される発電プラントによる外国産LNGの長期購入契約に関する記事が出ていたこともあり、身近なトピックとして聞いていただいたものと思われます。
また、改正競争法第45条第6項として新たに不公正な競争行為の一つに位置付けられたコスト割れ販売に関して、日本の不当廉売規制について紹介し、価格要件及び影響要件に関する考え方、調査手法等について紹介しました。
なお、改正競争法第45条第6項においては(第27条第1項第a号も同じく)、価格要件について「総コスト」(giá thành toàn bộ)割れ販売としており、この点は、日本の不当廉売規制でいうところの「不当に商品又は役務を低い対価で供給」(不公正な取引方法(昭和57年公正取引委員会告示)第6項)と同様と考えられるところです。他方で、いわゆる平均可変費用割れ販売等の場合において、影響要件の判断がどのようになされるのかについては今後の運用を待つ必要があるものと考えられます。

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ベトナム競争消費者庁フロアに設置された新年を祝うボード