企業結合審査実務に関する訪日研修の実施

2020年2月10日

2020年2月3日から10日にかけ、東京霞が関の公正取引委員会において、企業結合審査の実務をテーマにした訪日研修を実施しました。ベトナム競争消費者庁からは、経済集中規制課長以下、企業結合審査実務に携わる職員14名が参加しました。
本研修では、公正取引委員会経済取引局企業結合課で審査実務を担当している調査官による各産業の特徴等を踏まえた企業結合審査実務に関する説明、また、学識経験者による講義や仮想事例を用いたディスカッション等が行われたほか、経済集中規制課長からベトナムにおける最近の経済集中規制の状況及び改正競争法の施行に向けた準備状況等について説明が行われました。各セッションとも活発な質疑応答が行われ、また、仮想事例に関する議論等を通じ、審査実務や背景理論等の知識を深めることができました。
本研修で得られた知識等は今後のベトナム競争当局における経済集中審査実務に反映されることとなります。
なお、今回の研修実施の背景としては、2018年の競争法改正により、経済集中規制の枠組みが大きく変わったことが挙げられます。
改正前の競争法における経済集中規制は、関連市場における当事会社の合計市場シェアが50%超となる水平型の経済集中を原則禁止とする画一的な規制手法を採っていましたが、2018年の改正により、垂直型や混合型も含め、個別事案ごとに競争制限的効果と積極的効果を総合考慮し、ベトナムの市場における競争を実質的に制限する効果をもたらす又はその可能性のある経済集中を禁止するという規制枠組みとなりました。
このため、個別事案ごとに実施される競争制限的効果と積極的効果の評価実務、背景理論等に関する知見を得ることは今後の経済集中規制を円滑かつ的確に実施していく上で必要不可欠のものとなります。
したがって、今回の研修は、今後の本格的な経済集中事案の審査に向け、有意義な研修になったものと考えられます。
また、今後も引き続き研修等を通じて経済集中規制に関する審査実務能力の強化を図っていく必要があると思われます。

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研修員及び公正取引委員会関係職員