第3回内部研修セミナーの開催

2020年3月20日

2020年3月20日において、金融分野における国際カルテルをテーマとして、第3回内部研修セミナーを開催しました。
今回のセミナーでは、国際的な事案を取り扱うに当たって考慮することとなる管轄権等の概念、これらを背景として締結されている協力協定等に基づく国際協力の状況、最近において公正取引委員会が取り上げた金融分野の国際カルテル事件等を紹介しました。
また、今回のセミナーにおいては、競争消費者庁の情報・相談・研修センターと連携し、2010年代前半にLIBOR等に関して行われた金融不正を参考として同センターが主導して作成した仮想事例を用いたグループワークも実施しました。
改正競争法は、価格カルテル等の水平的競争制限協定について、同法第12条第1項において当然違法とし、違反事業者には罰金等が科されることとなります(改正競争法第110条等。併せて罰則政令(No.75/2019/ND-CP)第6条第1項等を参照。)。
また、2018年の改正によって、適用範囲を定める第1条が改正され、第2条第3項が新たに加えられたことにより、ベトナム国内で事業を行っていない外国事業者(注)が行う反競争的行為によってベトナムに悪影響が及ぶような場合についても競争法の適用対象となるものと考えられることから、今後は、新たに導入されたリニエンシー制度(改正競争法第112条)と併せ、ベトナムの市場に悪影響を与える国際的な反競争行為に対する法運用の積極化が期待されます。

(注)改正前の競争法第2条第1項は、同法の適用対象について、製造業、製品供給等を行う事業者等のほか、ベトナムにおいて事業を行う外国事業者が含まれる旨規定しています(改正競争法第2項第1項も同旨)。このため、外国事業者については、「ベトナムにおいて事業を行う」の解釈如何によってその適用対象に入るか否かが定まるようになっていました。例えば、2016年の年次報告書に掲載されているBoehringer Ingelheim International BMBHによるSanofi SAの一部事業の取得事案に関する届出の処理においては、当該取得は外国で実施されるものの、後者の指定会社がベトナム国内で同社製品に関する販売事業を行っており、前者も関連会社が同社を代理していることをもって、両当事会社はベトナム国内で事業を行っているとし、同法第2条第1項の適用対象に該当するとしています。また、グラブ・ウーバーの経済集中事件(届出がなく職権探知による審査事件)では、外国で行われた企業結合を直接の審査対象とせず、両社のベトナム所在の関連会社が同国内で行った資産等の売買を経済集中とみてこれらの当事会社を審査対象とした事件審査が行われています。これらの事例から、競争消費者庁は、同項について、あくまで具体的な形でベトナムでの事業に関与していることを法適用対象とする際の要件と解していたことが窺われます。このため、適用範囲の拡大に併せ、改正競争法第2条に新たに第3項を加え、関連する外国事業者等を適用対象とすることができるようにしたものと思われます。

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会議室前に設置されているVCCAのプレート