細則政令の公布

2020年3月24日

2020年3月24日、改正競争法(No.23/2018/QH14)において政府が詳細を定めるとされている規定についてその詳細を定める政令(No.35/2020/ND-CP。以下「細則政令」といいます。)が公布されました(施行日は同年5月15日)。
この細則政令は、関連市場の画定、競争制限的効果、市場支配力等の評価方法、経済集中事案の評価方法、事件審査手続等について定めており、改正競争法の具体的な運用方法を定めたものといえます。
また、本政令は、経済集中案件の事前届出基準に関する具体的数値を規定しており、当該規定については、特に、経済集中を計画するベトナム国内外の当事会社において留意する必要があるものと思われます。
例えば、経済集中に関する届出基準について、改正競争法第33条は、4つの基準について規定し、当該経済集中がいずれかの基準に該当する場合に事前届出を行わなければならないとしているところ、具体的な数値基準については、細則政令第13条第1項において、下表のように定められています。ただし、金融・保険・証券業については、同条第2項の規定により、下表とは異なる数値基準が設けられています。

基準 具体的数値
1 いずれかの当事会社(連結会社を含む。)のベトナムにおける前会計年度の総資産 3兆ドン(142.5億円)以上
2 同売上額又は仕入額 3兆ドン(142.5億円)以上
3 経済集中の取引価値(ただし、当該基準は国外の経済集中には適用されない。) 1兆ドン以上(47.5億円)
4 前会計年度の関連市場における当事会社の合計市場シェア 20%以上

(注)括弧内の額は、1ドン=0.00475円として算出。

これらの基準のうち4の基準について、2020年2月19日に開催された公開セミナーにおいて、出席者から、市場シェア算定の前提となる関連市場の画定について当事会社が実施することは困難であるため、シェア基準に該当するか否かの判断を当事会社で行うことは困難であるとの指摘がありました。この点について、ベトナム競争当局の担当者は、事前に当局に相談してほしい旨回答しています。
なお、事前届出の不作為(改正競争法第44条第1項)のほか、事前届出基準に該当しない案件であっても同法第30条により禁止される、ベトナムの市場における競争を実質的に制限することとなる経済集中の実施に該当する場合(同法第44条第6項)等においては、経済集中規定違反行為として事件審査の対象となり得ます。