第4回内部研修セミナーの開催

2020年6月5日

2020年6月5日において、医薬品分野における公正取引委員会の取組をテーマとして、第4回内部研修セミナーを開催しました。

今回のセミナーでは、実態調査の結果を行政調整に活かした例として「薬局・薬店に対する広告規制・出店規制等に関する実態調査報告書」(1998年6月公正取引委員会)の概要等について説明を行ったほか、医療用医薬品の分野における排除型私的独占事件及び確約手続により処理が行われた最近の事例を取り上げました。

また、競争消費者庁の情報・相談・研修センターにおいて、公正取引委員会が公表している相談事例集に掲載されている一般用医薬品のオンライン販売や対面販売に関する事例のほか、2019年の競争消費者庁年次報告書に掲載されている入札における取引妨害に関する事例を参考として仮想事例が作成され、これを用いたグループワークも実施しました。

なお、最近のベトナムにおける医薬品市場の動向については、2020年5月11日付のVietnam Investment Review紙において、2021年には77億ドル(2018年は推定約50億ドル)に拡大するとの予測が紹介されています。他方、同紙は、このような市場拡大傾向の中で、ドラッグストアチェーンの収益が最近において低下しているとし、その主要な要因として、新型コロナウィルスの感染拡大による病院訪問人数の減少に伴う処方箋発行数の減少に加え、オンライン販売の拡大を挙げています。今後、ベトナムにおいても、医薬品のオンライン販売の拡大による競争政策上の課題や競争制限的な行為の発生の可能性が考えられるところです。

また、競争法第8条第1項は、国家機関(地方の省及び中央直轄市を含む。)が事業者に対して特定商品又は役務の使用を要求すること、事業者を差別的に取り扱うこと、事業者に競争を制限する共同行為の実施を要求することなどを禁止しており、国家機関がこれらに該当する行為を行った場合、国家競争委員会は、当該国家機関がその行為を取りやめ、救済措置を講じるよう要請することとなります(法第113条第1項)。競争消費者庁においては、当該条項の実効性を確保するため、国家機関による行政指導等についてもウオッチしていく必要があるといえます。

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内部研修セミナーの様子