第6回内部研修セミナーの開催

2020年10月28日

2020年10月27日及び28日において、経済集中規制をテーマとし、第6回内部研修セミナーを開催しました。

本研修は、ウェブ会議システムを用いて実施され、ベトナム競争消費者庁の経済集中規制課の担当官から、ベトナム競争法に基づく届出基準について説明が行われたほか、日本の公正取引委員会の担当官からは、企業結合規制における届出基準、関連市場の画定、競争の実質的制限、問題解消措置等について、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(企業結合ガイドライン)の内容や具体的な事例を含め、実務的な観点からの説明が行われました。また、それぞれのトピックについて活発な議論が行われるなど、両当局間の相互理解も深めることができたものと思われます。

2019年7月の改正競争法の施行以降、ベトナム競争法に基づく経済集中案件の届出件数は、旧法時代に比べ、大幅に増加しているとされています。この背景としては、改正前の競争法が、原則として、関連市場における当事会社の合計市場占有率が50%超となる水平型の経済集中を禁止し、その届出基準も合計市場占有率によって設定されていたことに対し、改正後の競争法は、垂直型や混合型の経済集中も規制対象とし、その届出基準に資産や売上額等の水準に基づく基準も含めたことが挙げられます。また、ベトナムに進出する際のM&Aや同国内での事業再編が活発化していることなどもその背景として挙げられているところです。

なお、現状、ベトナム競争法に基づく経済集中規制の実施機関である国家競争委員会は設立されていませんが、事前届出義務の対象となる経済集中の具体的範囲について定めた細則政令(Decree No.35/2020/ND-CP)が2020年5月15日に施行されたことに伴い、ベトナム競争法第7条第2項において競争に関する国家管理の実施について政府を補佐する機関とされている商工省(その一部局であるベトナム競争消費者庁)が事前届出の受理、評価等を行っています。