経済集中案件に対する評価結果の公表

2021年1月8日

競争消費者庁は、2021年1月8日、1)Masan Meatlife Joint Stock Company(Masan Meatlife)、International Agricultural Nutrition Joint Stock Company (ANCO)、MNS Meat Co., Ltd.(MNS Meat)及びMNS Feed Co., Ltd.(MNS Feed)を参加事業者とする同一の連結企業グループ内における経済集中案件、また、2)China Baowu Steel Group Corporation Limited(Baowu China)によるTaiyuan Iron and Steel (Group) Co., Ltd.(TISCO China)の株式取得に関し、それぞれ、競争法第30条が禁止する経済集中には該当しないとの通知を行った旨公表しました(当該通知は、1)については2020年12月22日(届出書の受理日は2020年11月25日)、また、2)については2021年1月4日(届出受理日は2020年12月11日)にそれぞれ行われたとされています。)。

(1)Masan MeatlifeによるMNS Meatの株式取得等

本公表文によると、本件は、Masan Meatlife傘下の事業者における事業再編であり、まず、Masan Meatlifeの子会社であり飼料生産等の事業を行うANCOが有する、食肉生産加工等の事業を行うMNS Meatの議決権99.99%の全てをMasan Meatlifeに譲渡し、その後、同じくMasan Meatlifeの子会社であり飼料生産等の事業を行うMNS Feedが、Masan Meatlifeの有するANCOの議決権99.99%を譲り受けることを内容とする案件とみられます。

このため、本件の株式取得が実施された場合、Masan MeatlifeはMNS Meatの事業活動を、また、MNS FeedはANCOの事業活動をそれぞれ統制・支配すること(細則政令(Decree No.35/2020/ND-CP)第2条第1項)になるため、本件は、競争法第29条第4項の買収に該当することとなります。

また、本件においては、各参加事業者単体又はこれらの参加事業者が属する連結企業グループの総資産等の規模が届出基準(細則政令第13条第1項)を充たすものであったとみられます。

なお、本件は、グループ内再編について事前届出が提出された事案であり、同様の案件として、2020年6月29日に公表されたMasan Groupの事例、また、同年12月8日に公表されたVINGROUPの事例が挙げられます。

【画像】公表文から窺われる本件の概要図

(2)Baowu ChinaによるTISCO Chinaの株式取得

本件は、中国国営企業であるBaowu Chinaが同じく中国国営企業であるTISCO Chinaの51%の株式を取得するという案件とみられ、当該取得によって、Baowu ChinaはTISCO Chinaの事業活動を統制・支配すること(細則政令第2条第1項)になるため、本件は、競争法第29条第4項の買収に該当することとなります。

また、本公表文によれば、本件の株式取得は中国において実施されるものとされていますが、これらの事業者は、ベトナムの登録輸入業者に対して直接又は第三国の商社を通じて、鉄鋼製品をベトナムに輸出しているとされています。

このため、本件は水平的な経済集中案件として、いずれか又は両方の当事会社における、ベトナムの登録輸入業者に対する売上額が届出基準(細則政令第13条第1項)に該当していることをもって、事前届出が提出されたものと考えられます。