経済集中案件に対する評価結果の公表

2021年3月29日

競争消費者庁は、2021年3月29日、Covestro Deutschland AG(Covestro)及びMS Holding B.V.(MS Holding)によるKoninklijke DSM N.V.(DSM)の一部事業の譲受け及び同社子会社の買収に関し、競争法第30条が禁止する経済集中には該当しないとの通知を行った旨公表しました(完全かつ適法な届出書は2021年2月24日に受理され、当該通知は2021年3月10日に行われたとされています。)。

本件公表文によれば、本件は、Covestro及びMS HoldingがDSMのプラスチック関係の事業を買収するほか、DSMの9つの完全子会社における全株式を購入することを内容とする取引とみられます。

本公表文からは、CovestroとMS Holdingのどちらが事業買収又は子会社株式の取得を実施するのか明確ではありませんが、本件取引のうち、1)DSMにおける一の事業分野における全ての資産の取得については細則政令(Decree No.35/2020/ND-CP)第2条第1項第b号に該当し、2)DSMの9子会社の全株式の取得については細則政令第2条第1項第a号に該当するものとみられ、それぞれ、競争法第29条第4項の買収に該当することになるものと考えられます。

また、本件の取引は、ベトナム国外で実施されるものとされているところ、Covestro、MS Holding若しくはDSM又はいずれかの事業者グループについてベトナム国内における総資産又は売上額が届出基準(競争法第33条及び細則政令第13条)に該当するということで、本件に関する事前届出が提出されたものと考えられます。

本公表文では、本件の関係事業者がプラスチック塗料の事業分野において事業活動を行っている旨記載されており、当分野における水平的な経済集中案件として評価が行われたものとみられます。

また、本件は細則政令第14条第2項に該当することが記載されていることから、本件は、同項第a号から第c号のいずれかの規定に該当し、予備評価(競争法第36条)の段階において競争法上問題がないとの判断が示されたものと推察されます。