経済集中案件に対する評価結果の公表

2021年3月31日

競争消費者庁は、2021年3月31日、Idemitsu Kosan Co.(IKC)によるLion Idemitsu Composites Co.(LIC)の株式取得に関し、競争法第30条が禁止する経済集中には該当しないとの通知を行った旨公表しました(完全かつ適法な届出書は2021年3月17日に受理され、当該通知は2021年3月30日に行われたとされています。)。

本件は、IKCが、同社とLion Corporation(Lion)との合弁企業であるLICにおいてLionが保有するLICの全株式を取得することを内容とするものとみられます。

このため、本件の株式取得が実施された場合、IKCはLICの全ての株式を保有することとなり、LICの事業活動を統制・支配すること(細則政令(Decree No.35/2020/ND-CP)第2条第1項)に該当することとなることから、本件株式取得は、競争法第29条第4項の買収に該当するものと考えられます。

本件では、IKC及びLICがプラスチック原料に関する事業を行っている旨記載されていることから、水平的な経済集中として評価が実施されたものと思われます。

本公表文は、本件株式取得が日本で実施されるとする一方で、IKC、Lion及びLICがベトナム国内で事業を行っており、ベトナム競争法の適用対象となる旨記載していることから、いずれかの事業者又は事業者グループについてベトナム国内における総資産又は売上額の規模が届出基準(競争法第33条及び細則政令第13条)に該当し、これを踏まえて本件に関する事前届出が提出されたものと思われます。

また、本件は、細則政令第14条第2項に該当し、実施することができる旨記載されていることから、予備評価(競争法第36条)の段階において競争法上問題がないとの判断が示されたものと考えられます。

【画像】

公表文から窺われる本件の概要図