経済集中ファクトシートの公表

2021年9月13日

競争消費者庁(VCCA)は、2021年9月13日、経済集中ファクトシート(概況報告)を公表しました。

本概況報告では、2019年7月に2018年競争法が施行されてからの2年間におけるベトナムの経済集中活動の概観、典型的な事案及び今後の経済集中活動の予測等が紹介されています。また、上記2年間の経済集中の届出状況や予備評価の状況も紹介されています。
本概況報告のうち主な事項を以下に記載します。

1.届出件数

2年間の届出件数は125件
経済集中の類型別では、取得(Acquisitions)100件(80%)、吸収合併(Mergers)14件(11%)、合弁事業(Join.ventures)11件(9%)
経済集中の形態別では、水平型56件(45%)、垂直型24件(19%)、混合型45件(36%)(注1)

(注1)本概況報告によれば、水平型とは同一関連市場で活動している企業間の経済集中、垂直型とは商品又はサービスが相互に投入し合う若しくは補助し合う市場で活動している企業間の経済集中、混合型とは異なる関連市場で活動している企業間の経済集中とされています。

2.予備評価/正式評価

上記125件のうち、112件は予備評価段階で承認(90%)、13件は正式評価段階で承認(10%)
(注)本概況報告の中で、VCCAは、予備評価及び正式評価において、経済集中を評価する過程で、関連機関、団体及び関係者から意見、情報及び書類を収集し、経済集中により著しく競争効果を減殺する能力や潜在的要因を評価し、届出内容を客観的かつ総合的に評価したとしています。また、VCCAは、ベトナム国外で実施された経済集中取引については、海外の競争当局と情報交換や共有を目的とした協議を実施したとしています。

3.経済集中が活発であったセクター

不動産、サービス、自動車・バイク及びその部品の製造取引、建設資材、電気、電力変換製品、プラスチック、産業及び医療機器、食品及び飲料(ビール.飲料)、エネルギー(従来型エネルギー及び再生可能エネルギー)

4.評価

最後に、VCCAは評価として以下の5点を指摘しています。
1)すべての経済集中取引が競争法の下で規制されるわけではない。競争法は、ベトナム市場に著しく競争効果を減殺させる又はそのおそれがある経済集中取引のみを規制し、特に経済集中取引の当事者の支配的又は独占的地位を有し、当該地位を濫用してベトナムの競争環境を棄損するリスクを招く取引を規制する。
2)過去2年間にベトナムにおいて、経済集中届出の閾値に該当し、経済集中規制の対象となった経済集中取引は、主に大企業によって実施された。
3)経済集中の届出のうち、外国に関連する事案が増えている。
4)ベトナム国外で実施されるいくつかの経済集中取引は複雑であるため、より広範な検討及び評価が必要である。
5)これまでのところ、経済集中届出が最も多かった分野は不動産関連セクターであった。