プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)日越大学教育・研究・運営能力向上プロジェクト
(英)Project for Enhancement of Education, Research and University Management Capacity at Vietnam-Japan University

対象国名

ベトナム社会主義共和国

署名日(実施合意)

2020年2月18日

プロジェクトサイト

ハノイ

協力期間

2020年4月1日から2025年3月31日

相手国機関名

(和)日越大学
(英)Vietnam-Japan University(VJU)

背景

ベトナムは、ドイモイ(刷新)政策の下、一人当りGDPは2,548ドル、2000年代の平均実質GDP成長率は7%以上を維持しているなど、着実な経済成長を遂げている。ベトナムの労働人口は総人口の約60%を占め、豊富な若年労働力が外国直接投資誘致に際しての強みである一方、これらの労働人口のうち、大学・職業訓練校等で一定の教育もしくは訓練を受けた労働者の割合は約30%に留まり、中間管理職や技術系管理者、熟練労働者の不足が指摘されている。とりわけ大学においては、学生数の増加に対する教員数の不足、資機材・資金不足による低い教育・研究レベル、労働市場の需要と学生の専攻分野の乖離(自然科学系、工学系の学生不足)等の課題が顕在化しており、産業振興を担う人材の育成が喫緊の課題となっている。
ベトナム政府は人材育成戦略(2011年~2020年)及び人材育成マスタープラン(2011年~2020年)を定め、産業の高度化に貢献可能な人材の育成を重視している。また、2005年に策定された高等教育改革アジェンダ(2006年~2020年)では、人材育成を担う高等教育機関の量的拡大と質的向上(教育・研究能力と管理能力強化)を目標に掲げている。
かかる状況下、ベトナム政府より、日本とベトナムの友好の象徴となる質の高い大学創設につき協力の要請があり、ズン首相(2013年12月)、サン国家主席(2014年3月)との日越首脳会談において、「日越大学(VJU:Vietnam Japan University)構想」の早期実現に向け両国政府が協力していくことが確認された。これを受け、2016年9月、ベトナム国家大学ハノイ校のメンバー大学として、アジアや世界にも開かれた大学としてグローバルに活躍できる人材を輩出していくというビジョンを基にVJUが開学した。
JICAは、2015年4月より「日越大学修士課程設立プロジェクト」を開始し、VJUの組織体制の整備や修士課程の開設を支援している。同協力を通じ、VJUは段階的に修士8プログラムを開講し、2019年7月までに130名の修士取得者を輩出している。他方、大学としての教育・研究・運営基盤を強固にし、社会および産業界の発展を牽引する人材を持続的に輩出していくために、修士課程に加え、学部及び博士課程を開設することが期待されている。以上を踏まえ、「日越大学教育・研究・運営能力向上プロジェクト」は、学部から大学院にいたる一貫した質の高い教育・研究・運営の基盤を確立することを目的として実施する。本事業では、特に学術的・財務的自立の促進を重視し、本邦大学との持続的な協力関係の構築、人員体制・教育研究体制の強化、日本及びベトナムの産業界との連携強化や自己収入源の拡大による財務基盤の強化等を図っていく。

目標

上位目標

VJUが輩出する高度人材がベトナムおよび東南アジア地域の社会および産業界の発展に貢献する。

プロジェクト目標

VJUが自立的に修士課程を運営するとともに、学部から大学院にいたる一貫した質の高い教育・研究・運営の基盤を確立する。

成果

成果1:VJUが自立的に修士課程を運営し、学部および博士課程を開設する。
成果2:VJUが質の高い研究を持続的に実施できるようになる。
成果3:ベトナム国内外の高等教育機関や産業界との連携が強化される。
成果4:VJUの運営管理能力が強化される。"

活動

1-1.【共通】過去の学生の応募状況、充足率を踏まえ、年間の学生獲得計画(定員数)を定期的に更新し、見直す。
1-2.【共通】常勤教員の能力がベトナム国内外で実施される研修に参加することにより向上される。
1-3.【修士課程】卒業生の動向調査、受け入れ企業からのヒアリングを定期的に実施し、これを参考にカリキュラム、シラバスの内容が定期的に見直される。
1-4.【学部、博士課程】新規課程設置に向けて、ニーズ調査、他大学の状況等を分析した上で、設置の時期、内容、プログラム名称等を決定する。
1-5.【学部、博士課程】上記調査/分析に基づき、カリキュラム、シラバスを作成する。
1-6.【学部、博士課程】入試、定期試験、論文審査の実施にかかる制度を確立させる。

2-1.競争的研究資金のリソース一覧を更新する。
2-2.VJUの研究シードを開示するために、既存の研究者、研究の利益および成果に関するデータベースを開発する。
2-3.ベトナム国内外での研修を通じて、フルタイムの研究者および教員の研究能力を開発する。
2-4.ベトナム国内外の他の高等教育機関、研究機関および産業界との共同研究を促進する。

3-1.高等教育機関、産業界およびその他の関連するステークホルダーとの連携に向けたアクションプランを作成する。
3-2.大学と産業界のリンケージディレクトリを作成し、共同研究のために開示する。
3-3.日本及び他国からの留学生受入や学生交流プログラムを実施する。
3-4.シンポジウムやセミナー等、他の高等教育機関、研究機関及び企業と共同開催を実施する。
3-5.日本及びベトナム国内でのインターンシップをベトナムおよび日本の機関、日系そしてベトナム企業にて実施する。
3-6.学生募集や就職フェアなどの活動のために、ベトナム国内外のVJUの卒業生とのネットワークを確立する。

4-1.組織運営、人事、事業運営の改善のための活動実施計画を策定し、見直す。
4-2.外部資金など収益を増やすための戦略計画及び持続可能な支出計画を確定し、見直す。
4-3.中長期職員配置計画、研修プランを含む人材育成方針を確定し、見直す。

投入

日本側投入

1.専門家派遣
2.幹事大学との業務委託契約(カリキュラム開発費用を含む)
3.研修員受け入れ(VJU教職員向け技術研修及び学生向け短期研修)
4.教育・研究活動に必要な機械・設備(実験用施設改修を含む)

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.日本人専門家のための執務室の提供
3.機械・設備の更新、スペアパーツの提供(日本側投入分を除く)
4.大学運営経費(VJU教職員給与、プログラム運営費用等)
5.その他プロジェクト運営に必要な経費(日本側投入機材・設備の運用・メンテナンス等に必要な経費等)