プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)持続的自然資源管理強化プロジェクト フェーズ2
(英)Project on Enhancing Sustainable Natural Resource Management Phase 2

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2021年1月12日

プロジェクトサイト

ハノイおよび4地方省(ホアビン省、ソンラ省、ラオカイ省、トゥエンクアン省)

協力期間

2021年5月12日から2025年5月11日

相手国機関名

農業農村開発省、天然資源環境省環境総局生物多様性保全局

背景

ベトナムの国土は、南北に細長く変化に富んだ地形や気候により、多様な森林生態系を有し、世界の生物多様性ホットスポットの一角をなしている。ベトナムの森林は、相次ぐ戦禍による国土荒廃、農地転換、大規模開発、過剰・違法伐採等により20世紀には大きく減少したが、政府による保全政策や大規模な植林、国際社会の支援等により回復基調にある。さらに、木材及び木材製品の輸出収入は近年右肩上りに伸びており、外貨獲得源にもなっている。このように、ベトナム政府は、持続的な自然資源管理と経済成長の両立に向けた取り組みを強化している。
JICAは、本事業に先立つ技術協力「持続的自然資源管理プロジェクト(2015-2021)」において、中央レベル、地方レベルにおいて他ドナーや本邦・現地民間企業等多様なステークホルダーと連携しつつ、持続的自然資源管理に向けたカウンターパートの人材育成に取り組んだ。具体的には、森林法改正、森林セクター改革支援、国家REDD+行動プログラムの推進等を中央レベルにおいて支援した他、地方レベルでは、持続的森林管理と生物多様生保全を軸とした現場での実践(1.北西部4省におけるREDD+行動計画の策定・改正、REDD+パイロット活動の実施、2.タブレットを活用した正確な森林モニタリングシステムの開発と利用と促進、3.ランビエン生物圏保護区における地域住民との協働管理計画の策定と実施等)を支援し、持続的森林管理の推進と生計向上に具体的な成果を上げた。
ベトナム政府は、前フェーズの成果の定着と促進、また改正された「森林法」の下、優先事項にかかる取り組みを強化するため我が国に技術協力を要請した。ベトナム政府は、改正「森林法」の下、現行の「森林開発戦略(2006-2020)」の改定、同戦略を実践するための「持続的森林開発ターゲットプログラム(2016-2020)」の改定を検討しており、これらの政策文書の改定支援およびその着実な実施を本事業において促していく他、新たな取り組みとして国際基準に準拠したベトナム版の持続的森林管理(SFM)の枠組み作りや森林認証制度の構築を推進する。法律や仕組みが整備されることと、着実に実行されることとの間には、依然として技術的、制度的なギャップがあることから、本事業では、地方4省(ホアビン省、ソンラ省、ラオカイ省、トゥエンクアン省)においてSFM計画の策定と実施、モニタリングの実践も支援する。SFM計画の策定は、改正「森林法」において全ての森林所有者に策定が義務付けられている他、森林認証を申請する上でも前提となる重要かつ優先度の高い取り組みである。なお、前フェーズの成果である、地方省におけるREDD+活動の実施、森林モニタリングシステムの利用促進、緑の気候基金(GCF)によるREDD+成果支払い資金等の外部資金の獲得に向けた支援を継続し、ベトナム政府による自立的な持続的自然資源管理のための能力の強化を図ることとしている。

目標

上位目標

森林生態系の多面的便益の最大化を図るための国家能力が強化される。これは、持続的森林管理(SFM)、REDD+、生物多様性保全の推進を通じて、気候変動によるインパクトを緩和し、地域の人々の生計向上に貢献するものである。

プロジェクト目標

森林・生物多様性保全に関する主な国家政策・施策のレビュー・立案・実施支援等を通じ、国家及びに国際的な基準に基づいた持続的森林管理推進に関する中央・地方政府及びに森林保有者の能力を強化する。

成果

1.森林法(2017年)に関連する政策・施策が更新・実施される
2.ベトナムにおける持続的森林管理に関する認証システムが国際的基準に準拠した形で設立・促進される
3.外部資金獲得を含めた国家REDD+行動プログラムが促進される
4.国家森林モニタリングシステムが促進される
5.生物多様性保全モニタリングのための主な政策・施策が更新・実施される
6.4地方省において国内外の基準に準拠した形で持続的森林管理計画が促進される

活動

1-1.「森林開発戦略(2021-2030)」の策定・進捗モニタリング
1-2.「持続的森林開発目標プログラム(2021-2025)」の策定・進捗モニタリング
1-3.その他必要な支援

2-1.国際基準に準拠した国内の持続的森林管理(SFM)認証システムの運用促進

3-1.緑の気候基金(GCF)のREDD+成果支払いやその他の外部資金獲得支援を含む国家REDD+行動プログラムの促進

4-1.森林モニタリングシステムの改善
4-2.森林資源モニタリングシステムの運用に関する中央および地方政府機関の能力強化

5-1.「生物多様性法(2008年)」の改定
5-2.国家生物多様性データベースの改修及び関連した能力向上
5-3.生物圏保護区に関する国内外とのネットワーク強化
5-4.その他必要な支援

6-1.対象となる森林所有者の特定
6-2.持続的森林管理のための知識向上
6-3.持続的森林管理計画の策定支援
6-4.持続的森林管理計画の実施支援
6-5.持続的森林管理計画の進捗モニタリング支援
6-6.優良事例の選定と経験共有~国家政策への反映と他地域への応用

投入

日本側投入

長期専門家、研修員受入、機材供与

相手国側投入

プロジェクト担当者の配置、案件実施のためのサービスや施設・現地経費の提供