パイロット事業シリーズ2:ソンラ省 野リンゴワイン

2009年11月8日

天然林に自生する野りんご(Son Tra) は古くからモン族が酒に漬け込み薬膳酒として利用してきました。

【写真】7月から8月にかけての野りんごの収穫。少数民族の現金収入源となる。

このSon Traを原料とした、野りんごワインを製造販売するのは、Son La省Bac Yen郡にあるBASOCO社です。

【写真】野りんごを(1)洗浄、(2)粉砕、(3)果汁を発酵タンクに移し殺菌後、ワイン酵母を加え1ヶ月間発酵させ、(4)貯蔵タンクに移し半年間熟成させる。左はAgroViet2009(11月12日〜16日、ハノイ)用に作成した展示パネル

同社は、1994年にThai Binh省より移住したMr. Thanh により2005年に設立されました。同氏は、2002年から建設会社を経営しており、建設事業で得た自己資金と社会政策銀行や農業銀行から受けた融資を利用し、省人民委員会(PPC)から推奨され同事業を開始しました。工場設備についても科学省(MOSTE)から支援を受けた経緯があります。
事業を順調に成長し、2009年のSon Tra 購入量は82.5 ton程度です。このようなSon Traの買い上げは、地元のモン族に利益をもたらし、地域振興の牽引役として重要な役割を果たしつつあります。

【写真】本プロジェクトでは、BACSON社が生産する野りんごワインの品質改善とマーケティングを支援します。

従来の野りんご酒は、野りんごのシロップ(砂糖漬けジュース)にアルコールを混合した合成酒です。貴重な地域資源である野りんごから、本物のワインを醸造したいというBACSON社の希望に応えて、8月より従前の製造法と異なるワイン作りを進めています。
新しい醸造法の導入は、過去のJICA技プロにより高い醸造技術を培ったFIRIにお願いしました。特に果汁の抽出では、砂糖を用いた従前法に対して、果肉の細胞膜を分解する酵素を用いて、果汁を効率よく抽出する方法を採用しました。その結果、歩留まりが大きく向上し、砂糖の使用量を1/3に下げることができました。ぶどうに比べて糖分が低く酸度が高い野りんご果汁のなかで酵母を如何に活性化させるか?、醸造酒の宿命であるアルデヒドとメタノールの発生を如何に抑えるか?、と試行錯誤は続いています。

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合成酒から醸造酒へ転換することで味が変化することが心配されます。一方、本物志向の消費者には値が高くても真の野りんご酒を待ち望む声もあります。

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マーケティングが次の課題です。

また、利益の一部を天然林の保全や野鳥の保護などに還元するなど製品に新しい付加価値を創出する取り組みが検討されつつあります。引き続き行政やBACSON社と共に考えていきたいテーマです。

なお、同社の希望を受け、現在ISO22000の取得を目指した社内研修が行われています。これについても、別の機会に報告します。