教員養成校と協力校の連携で教員の能力向上を-ムフリラ教員養成校での公開授業研究会

2018年1月26日

IPeCKプロジェクトの実施対象となっている3つの教員養成校とその協力校となっている初中等学校では、教員の質向上のために、2017年度も種々の活動が自主的に行われました。協力校が行う授業研究への養成校講師の参加や、養成校・協力校共同でのワークショップ等様々な活動の形がありますが、今回はその中からムフリラ教員養成校で行われた公開授業研究会を紹介します。

2017年10月、協力校のひとつであるパモジガールズ中等学校の生徒を教員養成校へ招いて、養成校講師による理科と数学の公開授業研究会が行われました。この研究会の目的は養成校講師と協力校教員の指導力向上です。参加者は、養成校校長、副校長、数学/理科講師、数学/理科専攻第2学年学生(各約60名)、パモジガールズ中等学校の数学/理科教員(各3名)と100名を超える数で、授業を受けるのは同中等学校の8年生(数学と理科の授業でそれぞれ約20名ずつ)でした。

授業では、実験やグループワークを取り入れて、生徒が自ら考える場面を設定する工夫が行われていました。養成校講師は、この公開授業を通して実際の生徒の反応や理解度を確かめ、現在の子どもに適応した教授法や授業の進め方を学ぶことができます。また、中等学校教員からは、実験を通じて生徒自らデータをとって考える方法等、多くのことを学んだといった声が聴かれました。そして、授業の後に行われた検討会では、教授法などに対して教員養成校の学生も積極的に発言しており、養成校学生も実際の授業を見ることを通して学びを深めていることがわかりました。この研究会は、協力校の教員、教員養成校講師と学生の三者にとって意義のある活動であったと考えられます。

理科の事後検討会では、議論の質を高める為にJICA専門家がコメントを行いました。議論の内容が一般的な教授法にとどまっていた為、教授法と教科内容を結びつけて考えるPCKの一例として、実験データの妥当性、実験結果の共有方法、時間管理のしかたについて、今回の授業での具体的な解決方法を提示しました。このことにより養成校講師・学生、協力校教員の授業内容に関する知識が深まっただけでなく、公開授業後の議論をどのような内容で行えば教員の質向上につながるかを提案することもできました。

教員の質向上は、一朝一夕にできることではありません。しかし、今回のような活動の積み重ねが、養成校と協力校の関係を強化し、教員の質向上のきっかけとなっていきます。このような教員養成校と協力校による連携活動が来年度も継続される中で、活動の質が高まり、教員の質の向上につながることが期待されます。

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数学の公開授業。養成校教員が質問をなげかけ、生徒が積極的に手を挙げている様子。

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三進法のトピックで、ビンのふたを使ったアクティビティ。生徒のノートから生徒がどのように考えているか、養成校の学生が観察している様子。

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養成校の講師が行う理科の公開授業。脈拍数を測定する実験で、運動後の脈拍数測定のため、生徒が運動するところを指導中。協力校教員がその様子を参観。

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生徒が実験後にノートにまとめているデータを確認するJICA専門家。