ムフリラ教員養成校の学生へインタビュー!-未来の中学校教師、チェウイさんの物語-

2018年11月13日

プロジェクト対象校であるムフリラ教員養成校は、多くの銅鉱山を有するコッパーベルト州に位置し、在校生3,000人ほどの大規模な教員養成校です。プロジェクト対象である3つの教員養成校の中で、ムフリラ教員養成校は唯一、中学校教員の養成のみを行っている学校です。

今回は、ムフリラ教員養成校で数学を専攻する3年生、もうすぐ卒業を迎えるチェウイさんにインタビューを行いました。チェウイさんは、学校内の保健室の掃除を自主的にしたり、教官の仕事を積極的に手伝ったり、学校の皆から頼られる存在です。そんなチェウイさんに、学校の様子や将来の夢について聞いてみました。

1.どうして学校の先生になろうと思いましたか?

僕はルアプラ州のマンサという田舎で、5人兄弟の長男として育ちました。僕が中学生の頃はエンジニアやパイロットになる夢がありましたが、長男として両親の苦労を見てきたので、比較的費用がかからずに資格がとれる先生になって、家計を支えようと考え始めました。夢を諦めることから見つけた目標でしたが、学校の先生になることで、子ども達に日常生活に欠かせない知恵や知識を教えることができ、また、自身のリーダーシップも高めることができるので、良い選択だったと思います。

2.ムフリラ教員養成校に入学しようとした理由は何ですか?

大学でなく教員養成校を選んだ理由は、学費が大学に比べ安いからです。ムフリラ教員養成校に入学を決めたのは、高校の先生や知人・友人から、ムフリラ教員養成校の教官への高い評価を聞いたからです。また、寮や学食など生活をしていくための施設も十分揃っていることも知り、入学を志望しました。

3.入学し、これまでの3年間の学校生活を振り返るとどうでしたか?

入学当初と比べ、いろいろな壁を乗り越えてきたことで、自身の成長を実感しています。1年生の頃は学期末のテストを受けるためのお金が足りず、その影響で勉強に対するやる気が出ず、辛い日々が続いていました。しかし、教員養成校の教官からの薦めで、遠方から教員資格を取るために、教員養成校で開講されている遠隔教育の事務スタッフとしてアルバイトを始めました。このアルバイトのおかげで、学費を払うことができました。この事をきっかけに、教官との交流や遠方から学びに来る学生との対話が増え、先生になる夢へのやる気を取り戻していきました。2年生からは教育実習が始まり、先生として仕事する上での責任感、生徒に規律を守らせるための指導力や生徒との接し方を身につけることができ、とても良い学び、経験を得た期間でした。今は3年生となり、先生になるという自覚が強くなってきている一方で、自分が学生であるという認識もあります。今後も教える側として、学ぶ側として、更なる成長のため日々勉強に取り組んでいきます。

4.将来どんな先生になりたいですか?

一つは、誠実な先生であることです。いけないことは、いけない。良いことは、良い。それを生徒にも他の教員にも正直に言える先生でありたいです。あとは、授業では生徒がしっかり内容を理解できるような、質の高い授業を展開できる先生になりたいです。生徒には信頼できる先生が必要です。信頼されるためにも、生徒の興味関心をより深いものにできるような質の高い授業を行いたいです。卒業後はこのような先生を目指すことで、可能な限り社会に貢献できるよう努めていきたいです。また、いつも遠くで応援して僕の帰りを待っていてくれる家族にも、先生になって自立した姿を見せられるように頑張ります。

IPeCKプロジェクトの対象校の教員養成校教官は、近隣の小中学校と連携して現場に根差した授業実践力の向上を図っています。そして、教員養成校教官が現場から得た知見を活かし、チェウイさんのような高い意識を持った多くの先生の卵たちが、授業実践力を十分に高めて教育現場へ輩出されていくことを目指しています。チェウイさんは、これまで教官から得た学びや、ムフリラ教員養成校での経験を活かし、中学校教員としてザンビアの教育の質向上の一端を担うことが大いに期待されます。

インタビューを受けてくれたチェウイさん、ありがとうございました。

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インタビューを受けてくれたムフリラ教員養成校で数学を専攻する3年生、チェウイさん

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教員養成校の保健室を掃除後、昼食を食べているチェウイさん

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教員養成校で行われている数学の授業の様子。

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ムフリラ教員養成校キャンパス。教室だけでなく、スイミングプール、寮施設、農業学科の畑などもこのキャンパスに設けられている。