“生徒たちのためになる授業を!”-マルコム・モファット教員養成校のピリ教官の活躍

2019年1月10日

教員養成校教官が近隣中学校の授業研究会に参加

IPeCKプロジェクトでは、教員養成校と初中等学校との連携による教育の質改善を目指し、教員養成校がある3つの地域で、「協力校」と呼ばれる教員養成校近隣の小・中学校と協働で、継続的にワークショップや授業研究会を行っています。今回は中央州セレンジェにあるマルコム・モファット教員養成校の理科教官で、積極的に地域の小中学校と連携をしているピリ教官の活動をご紹介します。

ピリ教官は教員養成校の理科教官として、協力校で行われる理科の授業研究会に参加しています。今回の授業研究会では、8年生(中等1年生)のクラスで授業が行われ、参加した協力校教員や教員養成校教官によって授業の反省点や改善点について白熱した議論が行われました。議論では、主に教授法の工夫について、もっとこうしたら良いと思う点などが話し合われました。しかし、教員からは、実際の授業でどのように改善点を導入すれば良いのか分からないという意見があがりました。

自らが手本となって示すピリ教官の活躍

そこで、以前中学・高校で教鞭を取っていたベテラン教師でもあるピリ教官は、生徒達に分かりやすい授業をどう展開したら良いのかを示すために、後日、自ら中学生相手に授業を行うことを企画しました。彼は、IPeCKプロジェクトの日本人専門家と相談しながら、前回の議論で話し合われたことを見直すだけでなく、自身が教師の手本になるべく教員だけでなく教育実習生も集めてこの授業研究会を行いました。

授業研究会では教員と教育実習生により授業についての検討会が行われ、前回の授業研究会で挙げられた改善点が授業に活かされていたこと、生徒が主体となって授業に参加していたこと、教材や実験道具がきちんと事前に準備されていたこと、時間通りに授業が終わったことなど、肯定的な意見が多数出ました。今後、授業研究会のために準備した授業案が、多くの教師や教育実習生に活用されることが期待されます。

このように教員養成校の教官が、現地の小中学生に対して直接授業を実施することはとても珍しく、また、教員養成校の教官として小中学校教員や教育実習生の前で授業を行うことは、とても勇気がいることです。ピリ教官のこのような積極的な姿勢は、教員養成校の他の教官にも良い影響を与え、追随する教官も出てきています。

ザンビアの地方から、優れた教育実践の発信を目指して

ピリ教官が働く教員養成校のあるセレンジェはザンビアの中でも地方にある町です。彼は、2017年にマレーシアで開催されたJICAの授業研究に関する研修(第三国研修)に参加し、それがザンビア国外に出る初めての経験となりました。外国で見た広い世界をセレンジェにいる生徒たちにも見せてあげたい、彼らの可能性を少しでも広げたいと、“生徒たちのためになる授業を!”を口癖に日々邁進しています。

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マルコム・モファット教員養成校理科教官のピリ・コーネリアス教官

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ピリ教官による協力校での授業の様子(理科:デンプンの検出実験)

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授業後に先生方にて改善点を議論する様子。