日本の研修で得た知見や経験をザンビアで活かすためには

2019年2月20日

JICA本邦研修の事後研修会を実施

2018年10月に、ザンビアの初中等学校教員12名が、日本での4週間の研修に参加しました。広島大学大学院国際協力研究科の協力のもと、教材や学習指導案の作成、授業での実践力を身につけるため、大学での座学と付属小学校での授業実演を経験しました。

帰国から3カ月後の2019年1月下旬、教員を研修に送り出した国立科学センターは、研修参加者を首都ルサカ市に集め、日本での学びをザンビアの教育向上や授業改善にどのように役立てるかを考え、現場で活かしてもらうための事後研修会を実施しました。国立科学センターは、授業改善に関する技術指導を行ったり、授業の参考資料を作成したりすることで、全国の教員を日々サポートしています。この研修会は、日本での研修に参加しただけで満足せずに、一人一人に研修参加者としての自覚を促し、各職場で研修成果を活用してもらうために、国立科学センターが毎年自発的に行っているものです。

日本での学びを活かして、ザンビアで授業実践!

研修会は3日間の日程で行われ、日本の研修の成果や今後の活動計画を発表する機会などが設けられました。研修会2日目には、日本の研修で学んだことを活用しながら、授業を準備し、近隣小学校にて模擬授業を行いました。

授業準備では、子どもたちの既習事項と本時の授業とのつながりを把握するために、シラバスをじっくり読み込んだり、子どもの考えや勘違いしやすい点を予測したりしながら、授業の流れを話し合いました。さらに、ワークシートや教具を作成するときには、子どもたちに提示する順番、見やすい大きさ、必要な配布数などを一つずつ検討している研修参加者の様子を見て、日本での学びがしっかり身についていると日本人専門家は感心していました。

模擬授業では、クラス全体を見渡しながら、気づいた部分を個別指導したり、子どもたちの考えを引き出そうと質問を別の言葉に言いかえたりと工夫していました。一方で、日本の付属小学校の子どもからは出ないような、予測外のザンビアの子どもの意見に翻弄されて、授業がうまくまとめられなかったことから、授業の結論をどのように導いていくのかをもっと入念に考える必要があったことが反省点としてあがりました。

日本の研修では、一つの単元についてじっくりと教材研究を行い、模擬授業を行いながら、よりよい授業を作り上げていく経験をしました。授業を受ける対象の子どもが変われば、それに合わせた授業準備が必要です。単元が変わるごとに教材、授業展開の仕方などを一から考えていかなければなりません。

今、研修に参加した教員は、日本の研修での学びをどのようにザンビアの現場に適用していくかという課題に挑戦しています。授業準備は時間がかかり大変ですが、教材研究の面白さを体験した教員は、今後子どもたちや授業にますます熱心に向き合っていくことでしょう。

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事後研修会での模擬授業準備の様子。

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実験中、グループごとに個別指導を行うモオンガ氏。

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なぜそう考えたのか、子どもの考えをさらに引き出そうとするムワソマンヤ先生。

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日本の研修での学びを活かし、参加教員が模擬授業の改善点を活発に話し合った。

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参加教員に現場で役立ててもらうためのファシリテーションを行う国立科学センターのチレヤ氏。