喀痰サンプル搬送のオペレーショナルリサーチ

2018年6月15日

2018年5月

結核診断のための喀痰サンプル搬送システムについてオペレーショナルリサーチを開始しました。

ザンビアにおいて結核はHIV/AIDS、マラリアと並ぶ重大な感染症のひとつです。
特に問題とされているのが、結核に罹っているにもかかわらず診断されずに治療が開始されていない患者の率が高いことです。医療施設の結核診断技術が進歩している一方で、結核疑いのある患者が検査のできる医療施設にたどり着いていないことが大きな障害の一つと考えられます。

結核においてユニバーサルヘルスカバレッジを考えるとき、すべての患者が経済的な負担を伴わず質の高い結核診断、治療、ケアが受けられるようになる必要があります。
また、ザンビアでは新たな国家結核対策戦略計画が発表されたところですが、世界保健機関の戦略(The End TB Strategy)に則り2035年までに結核を掃滅することを目標に掲げており、今まで以上に積極的な結核対策が求められています。

プロジェクト対象地域のうち、南部州のカロモ郡とチョマ郡では郡詳細計画(DSAP)の優先課題として結核診断のための喀痰サンプル搬送システムの整備を挙げており、2017年からその活動に取り組んでいます。
地域のヘルスセンターが喀痰サンプルを回収し、それを結核診断が可能な検査施設まで搬送、そこから検査結果をヘルスセンターに送り返すという喀痰サンプル搬送システムにより、地域の住民はより容易に結核検査が受けられるようになります。そこでプロジェクトではDSAP支援の一環としてシステムの手順書(プロトコール)の作成、システム開始にあたって必要となる最低限の機材や器具の整備、モニタリングの支援を行っています。またそれと並行して、今年5月からプロジェクト対象郡での喀痰サンプル搬送システムの調査を開始しており、このシステムによる結核患者発見率の増加、費用も考慮した実行可能性について分析を行います。調査のデータ収集は2018年12月まで行われ2019年3月頃に、調査結果を保健省と結核対策に関わる関係者に報告する予定です。この調査がザンビアでの今後の喀痰サンプル搬送システム拡大を検討する上での基礎となり、より多くの人が結核検査を受けられるように貢献できればと考えています。

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プロジェクトスタッフによるヘルスセンターでのデータ収集の様子

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結核の喀痰サンプル搬送システムに関わるカロモ郡のMubangaヘルスセンターのスタッフ