monthly Jica 2007年5月号

特集 シニア海外ボランティア シニア世代が築くボランティア社会(4/4ページ)

シニア海外ボランティア
応募から派遣、帰国までのプロセス

【イラスト】作業療法士としてタイの障害児教育に携わった桜井佳子さん(仮名)が、シニア海外ボランティアに参加したプロセス。

1.きっかけ

【イラスト】老人介護施設で作業療法士として働いていた桜井さん。長男の出産を機に専業主婦となるが、子どもが自立したらいずれまた社会復帰したいと考えていた。50歳になった年、電車の中刷り広告で、JICAシニア海外ボランティアの募集ポスターを見つけ、作業療法士の職種があることを知る。

2.「体験談&説明会」への参加

【イラスト】「第3の人生、新しいことにチャレンジしてみようかな」と、思い切って「体験談&説明会」に参加した。長年のブランクを心配しながらも、生き生きとした経験者の話を聞く中で、シニア海外ボランティアが途上国の人々のためになると同時に、自分の成長にもつながるという姿に共感し、応募を決意。自宅に戻ると早速、夫に相談。最初は半信半疑だったが、息子たちの後押しもあって賛成してくれた。

3.事前準備と応募

【イラスト】障害児の自立を支援するタイの要請に的を絞り、必要書類をそろえて応募した。海外旅行が大好きで英会話はなんとかできたが、技術指導となれば専門用語が不可欠となる上、コミュニケーションにはやはりタイ語も重要だと思い、参考書を購入してこつこつ勉強。選考では健康診断も重視されると聞いたため、体力づくりに朝のジョギングも始めた。

4.試験・面接

【イラスト】書類審査と健康診断の一次選考をパスしたとの知らせが届き、家族と喜んだ。しかし、「喜ぶのはまだ早い」と、気を入れ直して語学勉強を継続。年のせいか、単語を覚えるのにとても苦労していたのでどうなることかと思ったが、二次選考の面接と語学試験ではあれこれ考えず、ありのままの自分で挑むことにした。

5.派遣決定・訓練

【イラスト】念願の合格通知を受け取り、喜びとともに安堵(あんど)した桜井さん。数週間後には、英語やタイ語などの事前学習資料が届き、勉強を続けた。約1カ月間の派遣前訓練※では、国際協力の現状理解やJICAのボランティア事業、タイでの海外安全対策や健康管理方法などに加え、タイ語の習得もみっちりと行われた。

※ 2007年度春募集の合格者から、従来の31日間ではなく、65日間の派遣前訓練に変更となる。

6.活動

【イラスト】夫と息子たちにしばしの別れを告げ、いざタイへ。初めての海外長期滞在でもちろん不安もあったが、配属先の障害者教育センターの子どもたちの笑顔と接するたび、その不安は一瞬にして吹き飛んだ。農業や手芸、レクリエーションなどを通じて子どもたちの自立を促すほか、センターのスタッフに作業療法技術を指導。また、タイにあるものを使って補助具や自助具を製作したり、巡回家庭訪問で介助方法やリハビリの実践法を伝えた。

7.帰国後

【イラスト】家族や友人から「すっかりタイ色に染まった」と言われるほどタイを好きになった桜井さん。帰国後も現地の人々とメールなどでやり取りを続け、これからも個人的に訪問したいと考えている。また、この経験を今度は日本で生かしたいと思い、JICAの国際協力出前講座※で地元の小中学生らにタイの子どもたちの生活や国際協力の必要性などを伝えている。振り返ってみると、自分の価値観や新しい可能性を広げてくれたのがシニア海外ボランティアだったと感じている。

※ 途上国の実情や国際協力の意義などを日本の人たちに理解してもらうため、JICAボランティア経験者などを講師として学校などに派遣するプログラム。