monthly Jica 2007年9月号

特集 国際緊急援助隊(JDR)設立20周年  被災者に寄り添う緊急援助(6/6ページ)

JDR Q&A
JDRの?(ハテナ)

世界各地の災害現場で活躍している国際緊急援助隊(JDR)。メディアなどでその姿を見たという人は多いと思うが、意外と知らないことや勘違いしていることもあるのでは?そんなギモンを紹介しよう。

Q JDRの対象は自然災害だけ?

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フィリピン・ギマラス島沖の油流出海難事故で派遣され、ドラム缶に入っている油用中和剤をチェックする専門家チーム

A JDRの対象となるのは、地震、台風、洪水、津波、火山噴火などの自然災害だけではない。原子力事故や大気汚染、タンカー沈没事故、化学薬品事故などの人為的災害も含まれる。最近では、2006年8月にフィリピンで起きた小型石油タンカー沈没による重油流出海難事故に対してJDR専門家チームが派遣された。チームは、被害状況の調査や、沿岸での漂着油の調査、油の特性の調査などを実施し、今後の油防除活動などに関する指導・技術的助言を行った。また、03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)発生時には、ベトナムと中国に、対処療法および感染対策に関する助言・指導を行うための専門家チームを派遣した。

なお、1992年の「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」(PKO法)の成立により、紛争に起因する災害(難民救援など)はPKO法の対象に、それ以外の災害はJDR法の対象とすると整理された。

Q 国際緊急援助の対象は開発途上国だけ?

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台湾地震災害では総勢110人の救助チームが派遣された

A 国際緊急援助は途上国・先進国にかかわらず、世界各地を対象とする。例えば、2005年8月末に米国南部を襲った過去最大級のハリケーン「カトリーナ」の洪水被害に対し、日本は資金供与のほか、JICAマイアミ備蓄倉庫から米国赤十字社の要請に基づいてスリーピングマットと毛布を、また米国国際開発庁(USAID)の求めに応じ発電機を提供した。しかし、要請の多くは災害への対処能力が限られている途上国からが多く、JDR法でも「特に開発途上にある海外の地域」と特記されている。

なお、国際緊急援助は、要請があれば国交が結ばれていない国・地域にも行われる。2004年4月に北朝鮮で起きた龍川列車爆発事故災害では、国連人道問題調整官事務所(UNOCHA)の要請を受けて緊急医療物資を援助した。また、1999年の台湾地震災害でも、UNOCHAからの要請のもと、救助・医療・専門家チームの派遣と物資供与を行った。

Q JDRの派遣や活動サイトはどうやって決めるの?

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2003年のイラン・バム地震で各国からの援助の調整に当たった現地活動調整センター(OSOCC)

A 国際緊急援助は、被災国政府または国際機関からの要請に応じて行われる。通常、災害が発生すると、まずその被災国政府、もしくはUNOCHAなどの国際機関から日本大使館に派遣要請があり、派遣するかどうかを外務省が関係省庁と協議して検討する。派遣が決まると、JICAに派遣命令が出され、被害の状況・規模などに応じて派遣するチームが編成され、要請の翌日には被災地へ出発する。救助チームの派遣期間は通常1週間程度、医療チームは2週間程度。現地では、被災国政府もしくは国連の現地活動調整センター(OSOCC)が援助の調整を図っており、JDRもその指示に従って活動サイトを決める場合が多い。

Q 救助チーム、医療チームはどんな機材を携行するの?

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JICA成田備蓄倉庫に保管されている医療チームの携行資機材

A 救助チームは被災者の捜索、救助、応急措置、安全な場所への移送などの活動を行うため、音響探知機、削岩機、ファイバースコープ、チェーンソー、担架などの救助用資機材を携行する。なお、救助チームには救助犬とそのハンドラーが加わることもある。

医療チームの携行機材は、テントなどの大型機材、医療器材、医薬品、生活用品の4種類。通常21人のメンバーが1日100人の外来患者を2週間にわたって診察できることを基本に整備され、常時、JDR事務局が管理している。

Q JDR医療チームにはどんな人が登録されているの?

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インド洋津波災害でスリランカに派遣された医療チーム

A 医療チームのメンバー(下記)には、医療チームとして派遣されることを希望する、20〜60歳未満の、医療などの分野で専門技術と語学力を有する幅広い人材が登録されている(2007年7月現在、736人)。

  • 医師:医師免許所持者
  • 看護師:看護師免許、または准看護師免許を持つ者
  • 医療調整員:カルテの管理、患者の受付・管理、診療補佐など、医療活動のサポート業務を担当。放射線技師や臨床検査技師の活動もこの中に含まれる
  • 業務調整員:資材や機材の管理、生活管理、通訳の手配、物資の調達・移動、会計、広報・記録、安全対策、関係機関との連絡・調整、情報収集などを担当

なお、救助チームは、消防庁、警視庁、海上保安庁の救助隊員の中から、各組織の指示により編成・派遣される。

Q JDR事務局は、普段何してるの?

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2007年6月にJICA大阪で実施された医療チーム仮登録者対象の導入研修

A JICAに設置されているJDR事務局には、16人のスタッフがいる(2007年7月現在)。災害がないときは、災害情報収集や資機材の管理、医療チーム登録者の研修や業務調整員の研修など各種研修、広報活動などを行っている。また、業務以外でも、普段からチームワークの向上に努めており、今夏開催されたJICAの職場対抗バレーボール大会では、チーム一丸となってプレーした結果、優勝を果たした。