monthly Jica 2007年11月号

特集 水資源 すべての人に安全な水を

生命の源である「水」をめぐる問題は、21世紀の世界の最重要課題の一つだ。開発途上国を中心に11億もの人々が安全な水を利用することができず、人口増加や経済発展、気候変動などの影響により、水不足、洪水、水質汚濁といった被害が深刻化している。

国際社会はミレニアム開発目標(MDGs)をはじめ、水をめぐる問題への取り組みを積極的に推進しており、今年12月3・4日には、大分県別府市で「第1回アジア・太平洋水サミット」※が開催される。アジア・太平洋地域の首脳や、国際機関など各界のリーダーが参加する同サミットで、JICAはこれまでの協力の経験に基づき、人間の安全保障や気候変動の観点からも水分野の課題に取り組むためのキャパシティ・ディベロップメント(能力向上)が重要であることを提言する。

日本は戦後、水供給の安定化や衛生状態の改善に取り組み、経済成長に伴う水環境の悪化などへの対策も推し進めてきた。そして現在、その知見や経験、技術を活用し、水と衛生分野で途上国の自助努力への支援に力を入れている。JICAも「総合的水資源管理の推進」「効率性と安全・安定性を考慮した水供給」「生命、財産を守るための治水の向上」「水環境の保全」の4つの目標を掲げて事業を展開している。

2008年は国際衛生年であり、日本で開かれる第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)や北海道洞爺湖サミットにおいても水資源が議論される予定だ。さらに「水と持続可能な開発」をテーマとするスペイン・サラゴサ国際博覧会が開催されるなど、国際的に「水」への関心が一層高まる中、JICAの取り組みとその成果を伝える。

アジア・太平洋水フォーラムの活動の一環として2〜3年に1度開催され、各国首脳・各界のリーダーなどがアジア・太平洋地域の水問題を解決するための具体的な政策について議論し、新たな活動方針・計画を発信する。11〜12月に市民を対象とした関連イベントも開催される予定。詳細はホームページ(http://www.watersummit.jp)を参照。

【図表】水循環系図式

VOICES from Senegal (セネガル)
「孫の代まで続く水の恩恵を」

【地図】セネガル1979年から西アフリカ・セネガルの各地で日本は給水施設を支援し、安全な水の安定供給に貢献してきた。多くの女性や子どもが水くみの重労働から解放され、より衛生的な生活に改善された。しかし施設を使い続けるには適切な維持管理が不可欠だ。同国は、政府の力のみでは適切な維持管理が難しいため、住民参加型の利用者水管理組合「ASUFOR(アジュフォール)」による維持管理制度の確立を目指している。JICAも、人々が持続的に安全な水を利用できるようASUFORの普及を支援し、その成果を生かして村の生活改善を図る「安全な水とコミュニティ活動支援計画(PEPTAC(ペプタック))」を2003年に開始。現在フェーズ2を展開中だ。その取り組みは村にどんな変革を呼び覚ましているのか。

ASUFORを普及するために

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メレトのASUFOR代表、チャオさん(右)の家に引かれた水道。「深井戸のモーターが故障していたが、7月にJICAの支援で購入することができた。JICAは水資源や環境を損なわない農業技術も教えてくれ、とても感謝している」。フェーズ2では給水施設の小規模改修も支援することになり、メレトはその第1号案件

9月中旬、雨期明けを間近に控えたアフリカ最西端のセネガル。青く輝く大西洋に臨むダカールから内陸へ向かうと、緑の草原に覆われたサバンナの大地が果てしなく続く。南東へ四駆を飛ばして約7時間、同国最大の州タンバクンダに入る。幹線道路をそれて道なき道を進み、本当にこの先に村はあるのかと思われたころ、緑の合間に大きな白い塔が見えた。目的地、メレト村の給水塔だ。1990年に日本の無償資金協力で造られ、人口約2900人の村の暮らしを支えてきた。

村ではASUFORの役員が私たちの到着を待っていた。メレトはJICAの「安全な水とコミュニティ活動支援計画(PEPTAC)」の支援を受けた村の一つで、05年1月にASUFORの活動がスタートした。

「旧水管理委員会とASUFORの制度の違いは、定額制だった水料金を、水道メーターを設置して使った分だけ支払う従量制にしたことだ。また、各地区から男女2人の代表と、女性組合や青年組合など住民組織のメンバーで理事会を設立、住民参加のもとで運営し、毎月会合を開いて運営状況を報告している」

ASUFORの代表、モドゥ・チャオさんが説明する。「最初にJICAから話を聞いたときは難しく思った。でも新しい運営方法や、施設・機材、資金の管理について指導を受けたんだ。ASUFORのほうがずっといいね。きれいな水をいつでも使えるようになったと皆喜んでいるよ」。

村人が喜ぶ背景には、セネガルでは農村人口の約半数が安全な水にアクセスできず、水くみ労働に従事する女子の低就学率や、劣悪な衛生環境、下痢などの水因性疾患のまん延といった深刻な事情があるからだ。政府は国際社会の援助のもと、そうした村に給水施設※1を設置して、村落給水人口の向上と貧困削減に取り組んでいる。これまでに約1000の動力式給水施設が建設され、日本も28年間で110以上を支援してきた。

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メレトのモデル圃場に作られた水道。雨期は天水を活用し、水道の水は乾期に使う。フェーズ2では、より適正な水利用に向けて管理者側だけでなく利用者である住民の理解を促す活動も強化していく

給水施設が造られた村は、住民による水管理委員会を設立し、独自に運営・維持管理を行う。しかし、家族の人数や水の使用量に関係なく一定額の水料金を徴収する制度のため、人々は水を過剰に使いがちな上、毎月の定額を支払えない家庭も多かった。また、委員会は少数の委員のみで不透明な運営がなされている村もあった。政府の水利省維持管理局(DEM)が給水施設の維持管理や水管理委員会のサポートを担うが、全国で施設数が増える反面、DEMの人材・予算・技術は限られ、十分にその役割を果たせていなかった。

そこで、政府は96年、水利用者による管理と経費負担、維持管理業務の民間移行を基本方針とした地方給水事業改革に着手。改革の中心となるのが、従来の水管理委員会をより住民参加型に再編したASUFORだ。その特徴は、水料金の従量制、住民総会・理事会・事務局を通した運営管理と透明性の向上、女性の参加促進にある。

JICAは、このASUFORを普及・定着させ、住民参加型の運営・維持管理の強化、DEMの監理能力の向上、民間維持管理業者との連携を図り、持続的な水利用体制を構築するため、PEPTACを実施。DEMが全国でASUFORを普及していけるよう、職員に技術研修を行って普及員を育成したほか、教材・マニュアルを作成、配布した。また、日本が給水施設を支援した村で、普及員が日本人専門家とともにASUFORを普及※2。住民が安全に水を利用し、生活環境を改善できるよう衛生教育活動も展開した。さらに、ASUFORによる給水事業を村落開発、生計向上につなげるため、村の生産活動を多様化する支援も行った※3

PEPTACによって81サイト※4でASUFORが普及されたが、首都から離れたタンバクンダ州やカザマンス地方※5は特に給水普及率が低く、ASUFORの普及も遅れているため、JICAは06年12月にフェーズ2を開始。タンバクンダ州の35サイトでASUFORの普及に取り組むと同時に、カザマンス地方のDEM職員の能力強化を目指す。また、メレトなどASUFORの運営が良好な村で農業や牧畜といった「コミュニティ活動」を実践していく※6

※1 主に手動・足踏み式の井戸と動力式の深井戸があり、動力式深井戸は比較的安定して安全な水を供給できるが、大規模な資金と工事を要する。

※2 フェーズ1では、他ドナーによって類似の支援が行われていないルガ、サンルイ、マタム、タンバクンダの4州で、過去に日本が給水施設を整備したサイトから24サイトを選び、ASUFORを普及。水道メーターの設置や施設オペレーターの研修、モニタリング手法・フォローアップ体制の整備、持続的な水資源利用に向けた地下水ポテンシャルの検証やモニタリングシステムの確立、水利用ガイドラインの作成などを実施した。

※3 ASUFORの活動状況が良好なタイバンジャイ村など3つの実証サイトで、ASUFORの優れた組織運営能力を手本にして、住民組織が営農や牧畜、養鶏などの事業を導入し、PEPTACが技術支援をした。

※4 24の直接支援サイトと研修を受けたDEM職員の自助努力で普及された57サイト。フェーズ2でも職員の自主的な普及が期待される。

※5 分離独立をめぐって内戦状態にあり、和平交渉が進行中のジガンショール州とコルダ州。

※6 このほかフェーズ2では新たに給水施設の小規模改修や、タンバクンダ州で普及している手動式深井戸の維持管理モデル作りを行う。また、近隣のASUFORで連合を形成して相互扶助、モニタリング・フォローアップ体制の構築にも取り組む。

水資源を守る節水農業

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メレトのコミュニティ活動の野菜栽培グループが育てた見事なオクラ。圃場で収穫した野菜の売り上げの50%はメンバーに、残り25%ずつはグループとASUFORに積み立てられる

「6月に開始したコミュニティ活動は、野菜栽培、家畜の飼料作物栽培、養鶏、羊・ヤギ飼育の4つ。活動に必要な費用はASUFORの指導のもと、住民組織が供出した。モデル圃場を造り、JICAの専門家から技術研修を受けている。この活動は収入向上につながると期待している」

チャオさんの説明の後、早速、野菜栽培の圃場へ。気温40度は超えていそうな炎天下、数十人の女性たちが農作業をしている。野菜栽培活動のリーダーはペンダ・ジャロさん。「村にある25の住民組織とASUFORから2人ずつメンバーが活動に参加している。一人1万FCFA(約2500円)を出資して区画を持ち、半年間、技術を学びながら責任を持って栽培する。その技術を自分の組織のメンバーに伝えながら、自分の畑でも実践します。今は雨期なので天水で栽培できるオクラを作っているんですよ」。

マンゴーなどの果樹の苗木も植えられた圃場には、雨水を最大限に活用した節水農業が導入されている。コミュニティ活動担当の後藤雅哉専門家は「水を無駄遣いすれば水料金も高くつく。農業技術とともに節水の必要性を伝え、水資源の大切さも理解してもらう。ただ、言葉だけではなかなか通じないので、一度失敗を経験させたほうが効果的。例えば、節水しないで栽培し、収穫して得た利益から水料金を差し引くとほとんど残らない。すると次からは目の色変えて私たちの話にじっと耳を傾けるようになる」と話す。

こうしたASUFORを起点としたPEPTACの支援に、村長をはじめ住民は口々に感謝を述べる。

「日本の支援は新しい可能性を開いてくれた。給水施設のおかげで、浅井戸の事故がなくなり、水因性の病気も減った。この村にはプル、セレール、ウォルフなど多民族が共存しているが、ASUFORの民主的なシステムは、民族間の衝突を防ぐ役割を果たしている。コミュニティ活動も、大きなオクラが実ったように、たくさんの恩恵をもたらすだろう」

「ASUFORは特に女性にとって重要な活動。技術を学んで野菜を栽培できるようになれば、生計向上や栄養面でも効果がある。PEPTACの支援は、子どもや孫の代まで裨益(ひえき)するでしょう」

村人自身で安全な水の確保を

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バラで行われた衛生教育のワークショップ。カードを使って水にかかわる衛生問題を知り、解決方法を考える。参加者のほとんどが「悪い例」を実践していることが明らかになった。チャンドゥンさんをサポートする杉本さん(右側)は元青年海外協力隊

タンバクンダの町の東に位置するバラ村はフェーズ2の対象サイトの一つで、隣接するンドモト村、ジャギリ村とともに7月にASUFORを立ち上げたばかりだ。午前10時、小学校に20人ほどの女性が集まってきた。「昨日は、『9時に集合!』って張り切っていたのですが…」と衛生教育を担当する杉本記久恵専門家が苦笑する。今日は衛生教育普及のためのワークショップの2日目で、集まった人々は3村の衛生改善活動のフォーカルポイント※7だ。

ワークショップの目的は、村の衛生問題を自分たちで分析し、病気予防や安全な水の利用のために取り組むべき活動を計画すること。衛生士のイドリッサ・チャンドゥンさんが取りまとめる※8。まず、手の洗い方、水場の使い方、水の保存の仕方など10テーマごとに「悪い例」「まあまあ」「良い例」のイラストが描かれた30枚のカードを参加者たちが分類し、それぞれなぜ「悪い例」「良い例」なのか話し合う。そして、現在の自分たちがどの例に該当するかを確認し、今後どの例になりたいのか、どうすればそうなれるのかを考え、優先的に取り組むべき内容について具体的な活動計画を立てる。

杉本さんは「活動はあまりお金をかけずに思い立ったときにできることが大事。時には習慣を変える必要もある。例えば今回分かったのは、この地域では水をたくさん使って手を洗うと問題が起こるという言い伝えがあり、少しの水で大勢で一緒に手を洗うそうです。でもそれは病気の感染を広げる危険も伴う。その習慣にどんな問題があり、どうすべきかを自分たちで気付くことが重要」と話す。

ワークショップの結果、飲料水を衛生的に保存するための計画が立てられ、チャンドゥンさんの指導のもと、飲料水処理の啓発活動と改良かめの普及を半年かけて実施することになった。「人間の生活に水は不可欠で、衛生は水から始まる。皆さんが今日学んだことを家族や隣人に伝えていってほしい。行動はまず一人の人間が起こし、広げていくもの。さあ皆で頑張ろう!」。教室にチャンドゥンさんの激励が響き、ワークショップは幕を閉じた。

一方、教室の外では、ASUFORの役員などが集まり、DEMのスレイマン・ボジャンさんとフェーズ2の総括を務める深井善雄さんとともに、問題点を話し合っていた。

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メレトのコミュニティ活動の養鶏に参加したヤシン・ジュフさん。「定額制のときは水料金を1カ月1万FCFAほど払っていたけれど、今はその半分ぐらいで済んでいる。水もきれいだし、子どもたちが健康になった。養鶏で鶏と卵を売って収入を増やしたい」

「今私たちは3つの問題を抱えている。深井戸の水が濁り、水質が悪化していること。電気代が高額なこと。3つ目は人口が増加し公共水道と水道を引く家庭が増えていること。メーターチェッカー※9の負担が大きくなり、彼らに報酬とバイクなどの移動手段が必要だ」

ASUFOR代表のバシール・シさんが問題点をまとめると、ボジャンさんが「水質の悪化はパイプの老朽化が原因かもしれないが、日本人専門家が調査をし、解決方法を提案してくれる。高額な電気代もパイプの問題と関係しているかもしれないが、顧客が増えれば賄えると思う。メーターチェッカーは大変な仕事だし、報酬を与える必要がある。ASUFORの事務局員にも報酬は支払われる。そのためには運営が適切に行われなければならない」と応じた。ほかにも、ンドモト村、ジャギリ村にいつどのように水道が引かれるのか、地下水の容量は大丈夫か、老朽化したパイプは直してくれるのか、と次々に問題が提起される。ASUFORができても、活動を軌道に乗せるのは容易ではなさそうだ。

深井さんは「まず皆で議論することが大事。多民族国家のセネガルでは、地域によって民族構成が異なり、牧畜系のプル族と農耕系のウォルフ族では生活スタイルも水の使い方も異なる。皆の意見が反映されるよう、ASUFORの役員は民族バランスやジェンダーに配慮して選ばれなければならない。そして皆で話し合って解決方法を考え、新しいルールやシステムをつくっていくプロセスが重要だ」と強調する。

白熱した議論が続く中、深井さんはほかの村の事例を紹介しながら、村の自助努力を訴え掛けた。「ある村では徴収した水料金で中小規模の故障を直している。そのようにASUFORが適切に維持管理していれば、新しい機材や施設を政府は優先的に支援してくれる。またメレトでは積立金を活用して生計向上活動を始め、JICAが技術指導している。支援を求める前に、まずASUFORが順調に運営され、良い結果を示すことが必要だ。PEPTACは数年で終わるが、皆さんの生活は続く。自分たちで活動を持続できることがとても重要なのです」。

タイバンジャイ村の危機

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フェーズ1で養鶏技術を学んだ女性(左)は自宅で養鶏を始め、ほかの村人(右)に技術を教えている。ASUFOR代表のンジャイさんは「野菜栽培活動は休止しているが、PEPTACの成果は確実に普及している」と胸を張る

PEPTACが築いてきた、住民・行政・民間の協力による持続的な維持管理体制のモデルや手法は、セネガル政府に認められ、ほかのドナーやNGOもPEPTACが作成し5言語※10に翻訳した各活動のマニュアルを導入している。それらを活用し、政府はASUFOR全国普及に一層力を入れる方針だ。しかし、ASUFORが普及・定着しても、いずれ給水施設は老朽化する。積立金で賄い切れない故障が発生したとき、村はどうすればよいのか。ASUFORのモデル的存在であるタイバンジャイ村は、まさにその危機に直面している。

同村では、81年と99年に日本の支援で2つの給水施設が造られ、98年にASUFORが編成された。PEPTACフェーズ1で、生産活動を多様化し収入向上を図る実証サイトに選ばれ、野菜栽培や養鶏の技術支援を受けた。ASUFORの優れた組織力のもとで、住民に安全な水が供給され、病気の減少や就学率・識字率の向上、女性の経済活動の活性化につながり、ASUFORの成功事例として知られている。

「しかし今、大きな困難が立ちはだかっている」とASUFOR代表のマファル・ンジャイさんは顔を曇らせた。「古いほうの深井戸が故障し、水がくみ上げられなくなってしまった。今はもう一つの井戸で給水しているが、水不足が心配なので野菜栽培活動は休止した。77万5000FCFAを支払い、修理を待っているところだが…」。

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タイバンジャイ村の給水塔の下で話し合うASUFOR事務局員。ASUFORの運営は良好でモデル的存在として評価されている。会計係のマゲット・ンジャイさんは「皆が制度を理解し、ルールに従っている。私たちはルールにのっとって運営しているだけ。村の有力者であろうと料金を支払わなければ給水は止められる」と言う

深井さんは「20年以上がたつ給水施設は、大きな故障があってもおかしくない。ASUFORが村の発展に有効であることは実証できたが、水が止まるとすべての活動が影響を受ける上、人々は再び安全な水にアクセスできなくなる恐れがある」と言う。もしもASUFORの積立金で賄えないほどの大規模な補修や施設の新設が必要となると、村人の力だけではどうすることもできないのが現実であり、政府がその役割を果たすことが求められる。また、人間の安全保障に直結する“命の水”を守るための支援は国際社会の責務といえよう。

村の危機を案じつつも、ンジャイさんは「日本の支援は私たちの目を開かせてくれ、村の発展に貢献してくれた。今後も活動を拡大していきたい」と意気込む。深井さんも「ASUFORが村の生活に溶け込んでいる理想的な状態。今後もほかの村の人々の目を開かせる存在となって、国の発展に貢献していってほしい」と期待する。

PEPTACが目指すのは、ASUFORを起点に持続的に安全な水の利用が確保されることだが、その本質は住民の主体的な参加や民主的な意思決定が促進され、自分たちで村を発展させようという自立の意識がはぐくまれることだといえる。そして“命の水”だからこそ、それを手に入れたとき、人々は自ら立ち上がる力を漲(みなぎ)らせることができるのかもしれない。その力はいつか国の発展を導くエネルギーに変わるだろう。

※10 公用語のフランス語のマニュアルを、主要民族の言語であるウォルフ語、プル語、マンディング系言語、ジョラ語、アラビア語に翻訳。残る主要言語の一つ、セレール語の翻訳も今後行う計画。