monthly Jica 2008年5月号

特集 元気なアフリカ Part2 新たな成長へのチャレンジ

JICA's Approach
アフリカの持続的な経済成長を支えるために

国際社会のアフリカへの関心が急速に高まる中、近年の経済成長を持続的なものとし、アフリカの慢性的貧困を削減するため、JICAはインフラや貿易・投資環境の整備、農業開発などを通じた支援を展開している。

変わるアフリカ

今、まさに変革の真っただ中にあるといわれるアフリカ。今世紀に入り大きな紛争が終わり、民主化と市場経済化の取り組みが進んでいる。特に、豊富な石油・鉱物資源の開発やその価格の高騰、政情の安定化に伴う外国資本の投資の増加などを背景に、地域全体で年率5%を超える経済成長を遂げている。

1993年以来アフリカ開発会議(TICAD)を主導し、また2000年の主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)では初めてアフリカの首脳を招待するなど、アフリカ問題への関心の向上に貢献してきた日本。政府開発援助(ODA)全体の予算削減が続くが、経済インフラや民間セクター開発、農業開発などを中心とした経済成長に主眼を置いたアフリカ援助は増加傾向にある。「成長の加速化」は、5月に開催されるTICAD IVの重点事項の一つとなっており、日本は、貿易・投資、インフラ整備、農業分野での協力を通じた、貧困削減に寄与する持続的経済成長のための支援を打ち出す方針だ。

成長を加速化させるJICAの支援

アフリカでは、「人間の安全保障」の考えに基づき、これまで教育や保健といった社会開発分野への支援を中心に行ってきたJICA。それらの支援の効果を継続させ、経済成長につながる開発を促進させるため、今後は成長に不可欠な次の4分野の支援に重点的に取り組んでいく。

また、ODAと民間投資の相乗効果で発展したアジアの経験を生かし、民間企業との連携による取り組みや南南協力の推進を図るほか、10月に発足する新JICAが担う有償資金協力・無償資金協力と技術協力を組み合わせた効果的・効率的なアフリカ支援の実現を目指す。

アフリカの成長の加速化に関連する主な案件(2008年4月現在)

【図表】

(1)基礎インフラ整備

国境を跨(また)ぐインフラの整備や通関手続きの簡素化・効率化の遅れが、地域経済の統合や市場規模の拡大、農村地域の経済活性化を阻害している中、JICAは道路網整備や電力整備などに焦点を当てた広域インフラ開発を重視している。またそれらの維持・運営にかかわる人材の育成や地域振興も組み合わせた「人々のためのインフラ支援」にも力を入れる。

国際協力銀行(JBIC)がアフリカ開発銀行との協調融資で実施するケニア・タンザニア間の道路改善事業では、国境の税関、検疫、出入国審査を両国が共同で行い、越境手続きを簡素化させる総合的な通関施設「ワンストップボーダーポスト」の建設が予定されており、JICAはこの施設に勤務する関税局職員の能力向上のための技術協力を実施。道路インフラをハード、ソフトの両面から包括的に支援するための事業の一翼を担っている。

(2)貿易・投資環境整備

アフリカでは、民間セクター開発や貿易・投資促進に関する政策や制度が未整備であり、国の経済成長を牽引(けんいん)する技術開発や商品開発能力も十分ではない。JICAは、民間資金の流入促進のための投資環境整備、現地民間セクターを対象とした産業振興支援、産品開発などアフリカ産品の輸出促進のための支援を行っている。

現在、地場産業の支援やコミュニティーのエンパワーメントを通じて地域振興を目指す一村一品運動を各地で推進しているほか、ザンビアでは、マレーシアと協力して投資環境を整備する「南南協力を通じた投資促進環境整備プロジェクト」(参照)を実施している。

(3)農業開発

農業分野では、肥料、農薬や灌漑(かんがい)施設の整備が不十分であるために生産性が低く、農民の所得向上が望めず新たな生産技術の導入も進まない、という悪循環が続いている。JICAは、農民の生計向上と生活改善を目指した総合的な農業開発支援を進めているほか、ネリカ 参照(PDF/239KB)をはじめ、多様な栽培形態に適合する稲作技術の開発・普及をウガンダ、ガーナ、タンザニアを拠点に広く展開し、アフリカの稲作振興も支援している。

(4)科学技術(情報通信技術/高等教育)支援

経済成長に必要なすそ野の広い人材基盤を構築するため、基礎教育に加え、中等理数科教育、高等技術教育や情報通信技術を中心とした科学技術分野の人材育成に力を入れている。

情報通信技術の普及など「知識経済」への移行を柱とした産業活性化、経済成長を目指すルワンダでは、中等理数科教育や技術教育・職業訓練など、全教育課程を通した科学技術分野における人づくりを、政策レベルから学校現場まで包括的に支援している。

成長を妨げる環境・気候変動問題に対する取り組み

環境や気候の変化、自然災害に特に脆弱(ぜいじゃく)なアフリカでは、洪水、干ばつ、砂漠化などに対する「適応策」と、森林資源開発、再生可能エネルギーの導入などで二酸化炭素の排出抑止に寄与する「緩和策」を両立させた環境・気候変動問題への対処が不可欠だ。JICAは、干ばつに強いネリカの導入や灌漑施設の整備、また太陽光発電などのクリーンエネルギーの普及支援を通し、持続的な経済成長を妨げる環境・気候変動への取り組みも強化していく方針だ。