JICA基金

応援をカタチにする ネパール、インドネシア

市民が参加できる国際協力活動のひとつが寄附。
JICA基金に集まったお金は途上国で活動を行う中小規模のNGOへの支援に充てられている。
併せて、JICAの研修を通じて活動強化をするNGOも紹介する。

震災を乗り越えて、ふたたびの学びを

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震災を乗り越えて学校で級友と楽しく勉学に励む奨学生。

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いまだトタン板の家に仮住まいする奨学生。

「ネパール大地震は、支援してきた奨学生たちの暮らしにも壊滅的な被害をもたらし、彼らの就学復帰が懸念されました」と、理事の篠原千代子さんはJICA基金に応募したきっかけを教えてくれた。当時、義援金の募集を開始したが緊急支援金には限りがあった。民間の助成金等では奨学金事業を推進することができないが、JICA基金であれば、初中等教育を受けるための貧困層の児童・生徒への「奨学金事業」も対象とされていた。

ネパールでは義務教育であっても授業料や教科書代、学年ごとの進級試験は有料だ。地震で家は全壊し、学校に行くための学用品などは持ち出せなかった奨学生たちのべ168名(3年間合計)に、「JICA・特別奨学金」が支給された。被災地の子どもたちの就学継続が実現し、子どもたちはその後、学業に対する意識が高まり、将来の夢もふたたび持てるまでになったという。「奨学生のひとりはホテル経営学を学んでホテルで働きたいと夢を語ってくれました。また将来は同じ境遇にある周りの人たちをサポートしたいと考える奨学生もいます」。

篠原さんたちは「ネパール大地震被害からの復興は遠くて険しい道のりだが"教育という財産"を宝にして希望の光を灯し続けてほしい」と願っている。

JICAの能力強化研修に参加し活動を強化

車いすの整備士を育てる

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JICA基金を活用した取り組みが発展。現在は草の根技術協力事業(支援型)を利用して、さらなる協力が展開されている。インドネシア・バリ島で整備技術を伝える活動の様子。

「たくさんの方に車いすを届けたいと活動をしてきましたが、より深い支援を展開できるきっかけになりました」と代表理事の吉田三千代さん。相手に一番喜んでもらえることは何だろうと模索していた時期にJICAの研修を受けた。車いすの使用は屋内なのか屋外なのかなどを細かく把握するシートを作成したところ、仲介する団体と情報の共有ができるようになった。

一方、車いすを届ける中で「壊れてしまった」、「部品を送ってほしい」といった声も届くようになり、「整備士を育てれば長く使ってもらえるようになるのではないか」と思い至ったという。そして2016年にJICA基金を活用し、インドネシアで車いす修理・整備の講習会を開催したところ17名が参加した。今では現地で整備士を育てるだけでなく、整備士を育てられる人材の育成も視野に入れている。技術とともに整理整頓など作業環境整備の重要性も伝えている。「車いすを使用する人たちをサポートする社会がつくられるよう活動していきます」と吉田さんは言う。

子どもと女性のために

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2台のミシンで、親を亡くした子どもたちにプレゼントするためのスクールシャツを縫う。“収入を得て、自立する”という目標を持つことができた。

「『困ったときこそおたがいさま』。子どもたちが学校に通えるように『虹の家』を立ち上げた私たちは、2016年にJICAネパール事務所を訪問して被災地の復興状況などの説明を受けました。そのときJICA基金を紹介していただきました」と代表理事の福谷真知子さん。その後、JICA関西からJICAの研修を紹介されたことから、今も受講を続けている。「研修に参加して活動のノウハウを学んでいます。今では活動全体が見えるようになり、背骨の通った活動を行えるようになりました」。

2018年にJICA基金の支援を受け、スピード感を持って必要な支援を届けている。公立校には図書室が完成し、手作りの書棚にはJICA基金で購入したネパール語や英語の本、日本からの絵本が並ぶ。26名が参加する女性トレーニングでは、JICA基金で購入した2台のミシンを使い本格的なトレーニングが始まっている。

「地震前よりも安心して暮らし、学べる環境をつくるためには、各プロジェクトを充実させて継続させることが重要です」と福谷さんは話してくれた。

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