JICA PRESS

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アッゼーン・モハンナド・ガイス・アーメルさん(写真左)。レバノンでの学会発表に向かう成田空港にて。研究室の教員、同僚と。

シリア難民留学生が、日本企業に就職決定!

「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム(Japanese Initiative for the future of Syrian Refugees:JISR)」は、シリア危機により就学機会を奪われたシリア人の若者に日本の大学院で学ぶ機会を提供している。

第1期は2017年8月に19名が来日。そのうちの一人、アッゼーン・モハンナド・ガイス・アーメルさんは、創価大学工学研究科で最先端の情報システム工学を学び、2019年9月に修士課程を修了する。現在も続くシリアの内戦により、アッゼーンさんは日本での就職を決断。就職活動の結果、株式会社チェンジに10月から就職することが決まった。

シリアにふたたび平和が訪れることを願い、本プログラムでは今後も日本とシリアの架け橋となる人材育成を行う。

創価大学工学研究科 情報システム工学専攻 アッゼーン・モハンナド・ガイス・アーメルさん

私がチェンジへの就職を希望したのは、同社が人々の暮らしにドローンを取り入れるという素晴らしいビジョンを掲げていたからです。入社後は、つねにクライアントのニーズに寄り添ってソフトウェアの開発に取り組む同社の姿勢を学ぶとともに、大学で研究したドローン制御とプログラミングの技術を生かし、エンジニアとして貢献したいと考えています。

ニュース深掘り! バックグラウンドを生かしておもいっきり活躍してほしい

アッゼーンさんとの面談で一番印象に残っているのは、彼が「ドローンを平和利用したい」と言っていたことです。不幸なことにテクノロジーは戦争に使われてきた歴史があります。それを実際に目の当たりにしてきた彼が、人びとの幸福に寄与するためにテクノロジーを研究し、将来的にはシリアの発展に貢献できる人材になりたいと言っている。高度な専門性に加えて、その高い志に私たちも共感し、一緒に働いていただくことに決めました。

会社の強さは多様性で決まると思っています。国籍や性別を問わず、いろいろなバックグラウンドを持った異なる世界を知る人たちが集まることで新しい価値が生まれます。“ドローンの平和利用”にしても、平和な日本で暮らす学生にはなかなか持つことがない目標ではないでしょうか。アッゼーンさんは将来的に帰国を望んでいますが、それを引き留めることも、それを理由に彼を採用しないことも、社会にとってもったいないことだと思います。

入社後はドローンを使った観光・地方創生の事業を一緒にやろうと話しています。彼にはチェンジでおもいっきり活躍してもらい、その経験を生かして、いずれはシリアと日本の架け橋になってくれたらと思います。

株式会社チェンジ 代表取締役 兼 執行役員社長 福留大士(ふくどめ・ひろし)さん

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福留大士さん

2003年に株式会社チェンジを設立した創業メンバー。モバイルやIoTデバイスによる企業のデジタル変革プロジェクトなどを手がけている。