2.JICAのビジョン人間の安全保障と質の高い成長を目指して信頼で世界をつなぐ。

今、JICAが目指すもの

2015年に新たに策定された「開発協力大綱」や「SDGs」(*1)に基づき、JICAは自らのミッションを「人間の安全保障」と「質の高い成長」を実現することとして明確に定め、「信頼で世界をつなぐ」という新たなビジョンを掲げた。
世界には、紛争・テロ、災害・環境破壊、感染症の蔓延、経済危機などの「恐怖」や、貧困、栄養失調、教育・保健医療などの社会サービスの欠如、基礎インフラの未整備などの「欠乏」という多様な脅威に脅かされる人々が存在している。また、それらの課題は相互に関連し合っており、このような脅威によりさらに状況が悪化する危険性も抱えている。「人間の安全保障」とは、人々が「恐怖」や「欠乏」から解き放たれ、安心して生存でき、人間らしい生活ができる状態をつくることを目指す概念である。
また、「質の高い成長」とは、①成長の果実が社会全体に行きわたり、誰一人取り残さないという意味での“包摂性”、②環境との調和への配慮や経済社会の持続的成長、地球温暖化への視点といった“持続可能性”、③経済危機や自然災害を含むさまざまなショックへの耐性および回復力を持つ“強靱性”、の3つを備えた成長を目指す考え方である。

(*1)SDGs…2015年9月、ニューヨーク国連本部において開催された「国連持続可能な開発サミット」において、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」が、193の加盟国によって全会一致で採択された。その行動計画としてかかげられた目標が「持続可能な開発目標〜Sustainable Development Goals=SDGs」である。

信頼で世界をつなぐ

JICAは、長い開発協力の歴史の中で、一貫して相手国の立場を尊重しつつ、対等な目線・立場で共に解決策を模索するという姿勢・アプローチを貫いてきた。これを体現する言葉が「オーナーシップ」と「パートナーシップ」であり、相手国との間に確かな信頼関係を構築するために求められる姿勢にほかならない。今、国際社会の中では、孤立主義、排外主義的な思潮が台頭しつつあるが、日本の代表として開発途上国との関係構築の前線に立つJICAは、「信頼で世界をつなぐ」ことで、国際協調の流れを後押しする力とならなければならない。今回策定された新たなビジョンは、そうしたJICAの意志、決意を表明するものである。このビジョンのもと、「使命感/現場/大局観/共創/革新」の5つからなる “アクション”をJICA職員が取り組むべき姿勢として定めている。

多様なアクターと連携し、様々な知と経験を結集。

SDGsの目標17は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことを訴えている。SDGsの達成には、開発途上国だけでなく先進国を含む国際社会全体、そして、民間企業、NGO、大学、市民社会といった、あらゆるステークホルダーの力を集め、その連携を強化していくことが必要である。JICAは、高度化する課題やニーズに合わせて、資金・知恵・技術などの様々な観点から、多様なパートナーとの協力を推進し、開発協力の質の向上に積極的に取り組んでいく。