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キャリアと子育て、
その両方を選ぶために。

2児を伴ってタイへ赴任

吉成

久保さんはタイ事務所に小さな子供さんを連れて単身で赴任され、足かけ4年間仕事をされて、日本に帰国されました。まだ戻られて1カ月ですよね。タイ勤務や帰国後の配属先、さらに今後のキャリアプランなど、折に触れて人事部との相談を重ねられたと聞いています。どんな話をされてきたんですか?

久保

私は2009年の入構です。JICAが国際協力銀行(JBIC)の有償資金協力業務を継承して新JICAが誕生した後の第一期生ということになります。入構後、債権管理部で円借款の契約書の内容チェックや、事業開始後の貸付関連業務などに4年間従事し、その後中南米部で3年間、コロンビア、エクアドルの国担当などを経験しました。その間に子供が二人生まれ、第一子の時は3カ月、第二子の時は6カ月の育児休業を取得しました。子育てをしながらでも海外赴任したいという気持ちはずっと持っていたのですが、二人目の産休に入る前に人事部との面談機会があり、復職後の海外赴任も検討できると聞いて、背中を押してもらった気がします。

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吉成

人事部との話は、具体的にどういうものだったんですか?

久保

「あなたも次は3部署目になるし、在外事務所を経験することで業務の幅も知識も格段に広がると思うよ。子供を連れて海外赴任する人もいるから、復職先として考えてもいいのでは」と薦められました。夫はJICA職員ではありませんが、ちょうどシンガポールへの赴任の話が出てきていました。私自身もアジアと日本の関係性に関心を持っていたこともあり、復職後は東南アジアの事務所で勤務したいと申し出たんです。最終的にタイに赴任することが決まりました。夫の赴任より先に、私が子供二人を連れてタイに行くことになりましたが、私のタイ事務所在任中に夫がシンガポールで仕事をするようになり、距離的にも近くなり、お互い頻繁に行き来することができました。

横田

私は久保さんより7期ほど先輩になりますが、子どもを持つのは在外事務所勤務の後に、という感覚でした。当時は小さな子供を伴って海外赴任される方の前例はほぼなく、いい意味で時代が変わってきたんだなと感じます。

久保

乳幼児の方が連れて行きやすいし、若いうちの方が私の体力もありそうな気がして(笑)。色んな条件・状況が重なって、人それぞれ「今なら行ける!」と感じるタイミングがあると思います。そういうときに、組織内で希望を相談できる風土は有難いです。

横田

タイに行くとき、子供さんはおいくつだったんですか?

久保

上が5歳で下が11カ月でした。確かに最初のうちは知り合いも少なく、子供たちと力を合わせて奮闘している感がありました。実は復職前に人事部からは「海外赴任を薦めはしたけれど、実際は仕事と育児が大変で泣きながらやっている人もいるから、よく考えて、ご家族ともよく相談して」とも言われ、それで本気で準備に取り掛かりました。今はJICA内で、子連れ海外赴任の経験・知見をまとめて共有する動きがありますが、当時はまとまった情報がなかったので人づてに経験者を探してお話を聞いたりしました。赴任先の保育園・学校・シッターさんなど子育て事情を親族の手も借りて調べたり、家族会議をして役割・サポートを相談しあったりしました。赴任前にプライベートでバンコクに家族旅行し、住居の準備なども進めました。夫が「もし大変だったらぼくが仕事を辞めてついて行ってもいいんだから、まずはやってみたら?」と言ってくれたのは心強かったです。どうにかなるかな、と思えました。実際、数か月、1年と経つにつれて自分たちのペースも掴めてきましたし、友人も増えて、業務内容も充実し、生活も仕事も楽しめるようになりました。バンコクの住みやすさやタイの人々の優しさにも助けられました。私はタイで鉄道建設や都市開発の案件を担当していたのですが、海外で家族と生活しながら、その国のための案件を動かす醍醐味を味わうという、贅沢な経験だったと思います。

横田

女性にとってキャリアか子供を生むかという二者択一はなくなってきていると思いますね。出産直後こそ、物理的にこれはできないということがあるかもしれないけれど、子供がいるからできない、ということはなく、両立していけると思います。しかも今は、それをサポートするいろいろな制度がある。もちろん改善点はまだまだあると思うけれど。組織からのバックアップも大きいですよね。私の経験でも、自分はこれまでこういう業務をしてきて、今後はこういう業務に挑戦したいということを伝えれば、必ずしもすべてとは言いませんが、それに沿った配属もしてもらえる。自分のキャリア形成について考え・相談できる風土があるのはすごくいいことだと思います。その結果、自分が希望する方向で仕事ができるということは、キャリアにとってはもちろん、仕事が楽しいし、仕事が楽しければ子供にとってもいい影響があると思います。

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“キャリアコンサルテーション”によって、
自身の将来を改めて考える

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吉成

タイから戻ってきて、今後はどういったキャリアを考えているのですか?

久保

実は第三子の出産予定があります。また、現在夫がシンガポール勤務なので、私の実家に近い筑波センター勤務を希望して実現しました。海外、本部、そして国内と、勤務先が多彩なところはJICAのいいところですね。それぞれにやりがいがあるし、フレキシブルに自分の道を歩んでいけると感じています。

吉成

JICAには、入構10年目前後に、これまでの経験を棚卸・整理し、今後のキャリアについてメンターと共に考える「キャリアコンサルテーション」という制度があります。久保さんは入構10年目の職員としてキャリアコンサルテーションの機会があったのではないですか?

久保

ありました。次にどんなことをしたいのか、各部署でどんな業務経験を積めるのか、人事部はじめいろいろなメンターの方と話す機会がありました。それまでは漠然とJICAが持つ多様なスキームを組み合わせて、最適な支援を提案できる幅の広い人材になりたいと思っていたのですが、今までの経験や自身の関心を改めて見つめ、強みとして掘り下げたい分野が見えてきました。特にタイ事務所時代に関心を持った都市・地域開発分野の案件に携わりながら、この分野の知見を深めていきたいと思っています。

吉成

横田さんもおっしゃっていましたが、社会人としての自分のキャリアをどう設計するか、きっちり決めるのは大変ですが、ある程度の範囲で自分はこういうキャリアを歩んでいきたいというものを思い描いていただいたほうが、組織としても配慮しやすくなるかと思います。一方、個人の適性は仕事をやってみて気づくこともあり、組織に求められる業務も変化していく点等から、硬直的にキャリアを決めるのではなく、中長期的な視点で柔軟性をもって考えていくことも大事だと思います。新たな仕事、初めて経験する仕事から得られるものも非常に多く、それが成長に繋がったり、新たな適性を見出したりすることもあります。

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