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やりたい仕事に全力投
球しながら、家庭生活
も充実したものに。

柔軟な働き方が「みんなのもの」になっている職場環境

吉成

横田さん自身も、キャリアプランを明確にしながら進んでこられていますね。

横田

やりたいことをやってきた、やらせてもらってきたといえるかもしれません。入構当時に遡ってお話しすると、先ほどもご紹介したように、留学や海外赴任は子供を持つ前に経験しようと考えていて、入構5年目の2006年から英国に修士留学し、その後、2008年にパキスタン事務所に赴任しました。夫がNPO代表としてフィリピンで仕事をしているので、パキスタン事務所の後の配属はフィリピンを希望しました。それが叶い、2010年からフィリピン事務所に3年勤務。夫と一緒に過ごすことができました。帰国してから第一子を出産し、育児休業を1年間取得した後、農村開発部に復職。スリランカ、パキスタン、アフガニスタンなどを担当しました。私が希望していた部署のうちの1つです。2年前に第二子を出産して再び1年間の育児休業を取得。現在のジェンダー平等貧困削減推進室に復職しました。復職先の第一希望は夫のいるフィリピンでしたが、第二希望に決まりました。

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吉成

二度の復職はいずれも海外や国内出張などもある部署ですが、それを希望されたんですね。

横田

人によって置かれた環境は異なり、残業・出張が少なく、比較的計画的に業務を進めやすい部署での復職を希望する方もいると思います。私は、出産後もできるだけ事業に携わる仕事をして、自分の専門性を伸ばしたいと思っていたので、教育、農業、環境といった課題別の観点から事業に携わる、いわゆる課題部への復職を希望しました。

久保

日々の仕事のやりくりや、出張はどうされているんですか?

横田

夫は変わらずフィリピンで仕事をしており、普段は一人で子育てをしています。月に2、3回は義理の母に応援してもらい、残業が必要な時はベビーシッターさんを頼んでいます。また、私の実家は遠方なのですが、2、3カ月に1度、1週間くらい泊まりがけで母に来てもらっています。海外出張は年に2~3回ありますが、そのときは夫がフィリピンから帰国して子供と過ごしています。家族やベビーシッターさんの助けなしに両立は非常に難しかったと思いますが、みんな私の仕事を応援してくれていて、とても有難いです。

久保

お子さんが急に熱を出したり、ということもありますよね?

横田

あります。それも不思議なことに、100人以上集まる場の司会を務めるような、大切な会議の前日に限って熱を出すんですね(笑)。

久保

確かに!

横田

病児保育などあちこち電話を掛けて、なんとか綱渡りということもあります。場合によっては、家からSkypeや電話で会議に参加したりすることもあります。半日単位や時間単位の休暇を取って子供を病院に連れて行くということもしやすいです。在宅勤務などいろいろな制度が充実しているので、それを自分で工夫して使うことが大切だと思っています。私の職場では、育児中の方のみならず様々な方々がそういった制度を活用しており、柔軟な働き方が「みんなのもの」になってきています。そのため、まわりに過剰に遠慮する必要はなく、それぞれが必要な時には助け合いながら、自分の仕事をきちんとするというスタンスです。

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充実した制度と、お互いに支え合う組織文化

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吉成

JICAの育児や介護、研鑽や通院などに活かせる制度は、一定程度整備されてきたと思いますし、それを有効に使って自分の時間を確保することにお互いの理解があると思います。それは横田さんはじめ、久保さんや浅野さんたち制度を活用する人たちが、仕事をするときは集中して効率よく働いて成果を出し、休むときはきちんと休むというメリハリのある仕事をしてきたことが大きいと思います。だから納得感があり、制度として継続できているんだと思います。「JICAの制度は進んでいる」「参考にしたい」と他の組織の方も言われるのですが、制度のバリエーションとか充実度だけではなくて、それを使う人の効率的な仕事の仕方や職場内のコミュニケーションについての工夫や努力があって、働き方の風土といいますか、文化として醸成され、継承されているという点が根底にあるんだと思います。

横田

今私が所属しているジェンダー平等・貧困削減推進室では、途上国の人々に対する事業を実施するうえで、様々な格差や不利な状況を抱える脆弱な人々、特に女性の視点を反映し、女性のエンパワメントにつなげていくことを推進する業務を行っています。そういった事業の実施主体であるJICAが、組織としてジェンダーへの意識を高める重要性を日々強く感じ、組織内のジェンダー平等を進める取り組みも行っています。この取り組みを進める大きなモチベーションは、自分自身が出産・育児といったライフイベントを経験したことにあります。女性に家事・育児負担が大きく偏る現実、先ほど浅野さんも指摘されていましたが、その後のキャリア形成が一筋縄ではいかない難しさ、そういった事態に直面する多くの仲間と経験を共有する中で、この現状を少しでも変えていきたい、そしてそれが、女性であるが故に様々な困難や差別に直面している途上国の女性たち、女の子たちにより良い事業を届けることにつながると考えています。先日、5歳の息子が、「自分がお父さんになったら、お母さんが出張のときは僕が子供たちの面倒をみるんだ!」と嬉しそうに話しているのを聞いて、自分たちが男性も女性も色々な方々が活躍できる社会を担う次の世代を育てているのだ、と実感しました。ジェンダー平等・貧困削減推進室の業務を通してすべきこと、できることはたくさんあると手ごたえを感じています。
JICAに限らず国際社会を舞台とした仕事を選ぶうえで、海外出張や海外赴任をどうライフプランに組み込んでいくのかということは、特に女性にとっては永遠の課題で、正解や答えはありません。それでも、JICAにおいては、制度の活用、組織の柔軟な風土、そして自らの努力によって、キャリアを形成していくことは可能だと思います。様々なチャレンジはありますが、それに勝るやりがいのある仕事だと思います。世界が変わっていく中で自分たちの協力の仕方をどう変えていけばいいか、そのために組織をどう変えていくべきなのか、日々真剣に議論を重ねています。

吉成

組織として、全員が満足する100%の制度を提供することはできません。しかし、JICAでこれをやりたいという気持ちを持っている人には、長く活躍していただきたい。そのために、これからも制度の改善を不断に進めていきたいと思っています。一方で制度は何でも叶える“魔法の杖”ではありません。それを、キャリアや自身の成長の中でどう使っていくかは、利用する人それぞれの選択だと思います。ぜひ皆さん自身で創意工夫をして取り入れていってほしいですね。また、これまでは育児の話が中心でしたが、ご病気で通院生活との両立を図る人、介護を抱える人、いろいろな事情がある中で一緒に働く人を認め合い、助け合うことが大事だと思っています。自分はこういう支援をしてもらった。次は自分が支援していこうという、お互いに支え合う組織文化がJICAにはあります。そういった文化を、今後さらに深めていきたいと思います。

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