教師海外研修 マレーシア研修記

2018年2月7日

【画像】教師海外研修は、国際理解教育・開発教育に関心のある教職員の方を対象に、開発途上国で10日間ほどの研修を行い、その経験をもとに各学校で授業を実践していただくというプログラムです。今年度は、1月3日〜13日まで、北海道内の先生12名が、マレーシアでの教師海外研修に参加しました。
 1月3日新千歳空港を発ってから、羽田空港へ。羽田空港からは電車に揺られ1時間半。旭川・帯広・釧路からの先生も成田空港に到着し、いよいよマレーシアのクアラルンプールへ出発!という時に、「機材繰りのため翌日に遅延」とのアナウンス。さらに、翌日飛ぶはずだった便も欠航となってしまい、2日間成田に足止めとなりました。そのため、予定を変更しクアラルンプールではなくコタキナバルへ直接飛ぶこととなりました。

コタキナバルへ

コタキナバルウェットランドセンターは市街地から車で15分程度のところにあるマングローブ林の湿地帯(約24ha)で、NGOにより管理・運営されています。青年海外協力隊の渡邉さん(職種:環境教育)が配属されており、マングローブ林や湿地の保護についての説明を受けました。
 マングローブ林の中には、多くのカニやハゼが住んでいます。しかし、そのカニやハゼを採って生活している人もいます。保全地区なので、原則的には採ることは禁じられていますが、保全が行われる以前からマングローブ林で生活の糧を得ていた住民もおり、そのような人たちとどのように折り合いをつけるのか、環境保護の難しさも感じました。
 マングローブ林を散策した後、植林のプログラムにも参加し、皆さん泥だらけになりながら植林を行っていました。教科書に載っていることを教えるだけではなく、実際に体験したことを伝える貴重な材料となったのではないかと思います。
 コタキナバルで活動をされている青年海外協力隊の方々との懇談会(夕食会)では、皆さんが現地の方と同じ方向を向いて、寄り添いながら協力しているという姿勢にとても感激しました。途中、現地の料理であるイモムシの素揚げに果敢に挑戦する先生もいましたが、さすがの協力隊員もイモムシには寄り添えなかったようでした。

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      <マングローブの林で>               <イモムシをいただきます!>

サンデーマーケットとモスクへ

翌日は日曜日ということで、サンデーマーケットへ向かいました。先生方は、東南アジア地域の伝統球技であるセパタクローのボールなど、教材になるような商品を購入したり写真を撮ったりしていました。
 次に向かったサバ博物館では、サバ州の歴史、文化・生物などの展示を見学し、基礎情報を知ることができました。また、サバフローティングモスクでは、女性は肌や髪の毛を見せてはならないため、着替えをするように言われ、いつもとは違った装いに。文化の違いを肌で感じることができました。

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<女性は肌を隠さないといけません。>

環境保護を考える一日

サバ大学では、森林・生物管理の研究をされている立木先生から、サバ州における環境保全の課題や、JICAが実施した生物多様性保全のプロジェクトなどについて説明を受けました。熱帯雨林がすさまじい勢いで減少していること、それに伴って野生動物の減少していること、生物の多様性も失われつつあることなどについて学びました。
 また、立木先生の話では、サバ州は北海道とほぼ同じ大きさ。コタキナバルを札幌に例えて、東に向かうと森林や動物が増加すること、開発の影響で天然林が減少していることなども北海道と同じということで、サバ州の抱える課題を通して地元北海道の抱える課題についても考える機会になりました。
 夕方からは、コタキナバル市街地から車で約二時間弱の場所にあるKliasにて、ボルネオ島の固有種であるテングザルやカニクイザルなどの野生生物を観察しました。サルも数多く観察でき、また夜には無数のホタルを見ることができました。サバ州の豊かな自然を目の前にしたことで、その保全活動の必要性や意義についてあらためて実感することができました。

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       <サバ大学での講義>                   <テングザルはどこ?>

それぞれの両立のためのCUZ(Community Use Zone)

協力隊員の永岡さん(職種:コミュニティ開発)の活動拠点となっているクロッカー国立公園では、この国立公園での生物多様性、環境保全についてや、JICAがルール策定を支援したCommunity Use Zone(CUZ)についての説明を受けました。(CUZ:国立公園内に暮らす人々に対して、生計を立てるための農地開拓などを一定の範囲内で許可する区域)
 公園内で暮らす人々の生活と環境保全、それぞれを上手に折り合いをつけてCUZを設定した経緯(どちらが正しく、どちらが間違っている、と白黒をつけるのではなく、両者が互いに存続できるような着地点を見つけ出すという考え方)について、多くの先生方が共感していました。

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<CUZの説明を受けています。>

村でのホームステイ

CUZ内にあるウルスナガン・モンゴルバル村に移動し、まず初めに村のインフォメーションセンターで民芸品生産(コースターやバッグなど)の取組みについて紹介がありました。この民芸品の生産・販売は、永岡さんがコミュニティ開発の活動の一環として、村の人々の生計向上を目的に行っている取り組みで、現在は街のお土産屋などにも卸しており、人気で供給が追いつかない商品もあるとのことでした。
 その後、数人ごとに5つのホームステイ先に分かれました。それぞれの家庭では英語が通じない家もありましたが、身振り手振りでなんとかコミュニケ—ションを取りながら、中学校・高校にはどのように通うのか、学校での生活についての質問をしていました。夜には大きな歓迎会を開いていただき、会場となった地元の小学校には500名近くの村の方が集まっていました。青年団の踊りやバンブーダンスでもてなしを受け、一緒に踊り、交流を深めました。
 シャワーの代わりに川で水浴びをしたことや、ヤモリが出てくるところで寝たこと、朝、鶏の声で起きたことなど、村のホームステイで体験したことは、多くの生徒の興味をひきつけるものになると思います。また、同じマレーシア国内でも、コタキナバルのような都市部と山村部とでは、大きく生活環境が異なるということも感じることができました。

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         <村の民芸品>                   <伝統的な踊り>

同じところ、違うところ。

ウルスナガン・モンゴルバル村の小学校訪問(全校生徒約130名)では、初めに授業の様子や職員室を見学し、先生方は、実際に使用している教科書や学校のカリキュラム(時間割)などについて、現地の先生に質問をしながら、熱心に見学していました。続いて行われた小学生との交流会では、先生方が日本から用意してきた書道や折り紙、けん玉や福笑いなど、日本文化を使った交流を行いました。また、村の小学生や青年団からは、サバ州の伝統的な踊りが披露され、お互いの文化を知りながら交流を深めることができました。
 コタキナバルではカンポンチョット小学校という全校生徒839名のとても大きな学校を訪問しました。学校へ着くと、多くの児童が踊りと楽器の演奏で出迎えてくれ、先生方も大変感激していました。
青年海外協力隊の山田さん(職種:障がい児・障がい者支援)の案内で、最初に障がい児学級を視察しました。児童はとても人懐っこく、積極的に関わろうとしてくれました。動画を見ながら踊る授業では、先生方も一緒になって踊っていました。その後、村の小学校と同じように、日本の文化を紹介しながら交流する時間を取り、児童も興味を持ったグループに参加し、楽しそうな姿を見ることができました。
都市部でも山村部でも、児童たちは一生懸命授業を受けていて、その姿は微笑ましくかわいらしいものでした。
 ところで、算数の計算方法を見てください。もちろん結果は同じなのですが、このような計算過程にも日本とマレーシアでちょっとした違いがあり、興味深かったです。
 マレーシアと日本の学校を比較することで、それぞれの考えやその背景が分かります。考えや背景が分かると、その文化を理解します。マレーシアと日本それぞれの学校がそれぞれの長所を取り入れ、お互いに学び合うきっかけになったのではないかと思います。

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        <折り紙で交流>               <ちょっと計算のやり方が違います。>

大都市 クアラルンプール

「クアラルンプールはマレーシアではない。」とマレーシア人に言われるほどの大都市です。2020年に先進国入りを目指して、経済発展を続けています(KL市の人口はおよそ160万人、都市近郊を含めるとおよそ580万人)。確かにこれまで私たちが過ごしてきたコタキナバルやモンゴルバル村とは、まったく違うコンクリートジャングル!その環境の違いに驚きました。
 クアラルンプールでは、この都市の象徴とも言えるツインタワーの真下にあるKLCCショッピングセンターを訪れ、マレーシアの絵本や教科書などの教材を購入するなど、クアラルンプール市内の視察を行い、無事に11日間の研修日程を終えました。

 この11日間で様々な経験をした北海道の先生方。帰国後は、報告書と指導案作りを行い、2回の事後研修を経て指導案の完成度を上げ、各学校で授業実践を行います。
 2月24日(土)の国際理解教育指導者研修【共有編】では、今回マレーシアへ行かれた先生方の指導案(模擬授業)の発表を行いますので、興味関心のある方は是非お越しください!
詳細は下記リンクをご確認ください。

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        <We love KL!>                   <無事に帰ってきました!>