イベント「私たちの身近なファッションから見える光と影」開催!

2018年3月15日

2018年1月27日(土)、札幌国際ビル国際ホールで、大量生産・大量消費のファストファッションがもたらす影響を考える映画上映会とトークセッションを開催しました。北海道国際協力フェスタ20周年を記念してのこのイベントには札幌市内外合わせて約100名が集まり、意識の高さが現われたイベントとなりました。

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<北海道NGOネットワーク協議会会長 立石喜裕さんからご挨拶>

第一部は、映画「ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~」の上映会。このドキュメンタリー映画では、わたしたちが身に着けている安価な衣服は、開発途上国における厳しい環境での労働や多大な環境負荷の結果として作られていることが衝撃の映像とともに描かれます。映画終了後、周りの方と感想をシェアする時間も設けられました。みなさん口々に、「ショックだった」、「初めて知った」との感想を漏らしていました。

映画を見て「フェアトレード(公正な取り引き)」への関心を更に高めた来場者の方々の中には、休憩時間中、NGO団体が販売するフェアトレードコーナーでお買い物を楽しむ人たちも。

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<フェアトレードコーナーでお買い物!>

続く第二部は、東京からのスペシャルゲストをお招きしてのトークセッションです。
着る服を選ぶことで社会貢献をしていく「エシカル・ファッション」を発信する「なんとかしなきゃ!プロジェクト(注)」サポーターのモデル、鎌田安里紗さんに、まずはこれまでの活動について振り返ってもらいました。

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<鎌田安里紗さん>

鎌田さんにとって衝撃的だったのは、14歳のときに家族旅行で訪れたバリ島での経験。現地で格差を体験し、幼心ながら印象に残ったと言います。徳島県出身の鎌田さんは国際学科のある高校への進学のため上京し、渋谷のアパレルショップでアルバイト中にスカウトされたことがきっかけでモデル活動を始めました。一方で、国際協力ボランティア活動も始め、「アフリカに学校を建設するプロジェクト」のリーダーに就任したものの、「学校という『箱』だけ作っても教員を育成する仕組みがなければ意味がない」という話しが出てプロジェクトそのものが白紙に。せっかくだから自分で何か企画してみたらと提案を受け、自分なりにできることを調べていくと「ファッションのフェアトレード」や「エシカルファッション」という考え方に出会い、十代くらいの若い人向けの商品を作ろうと思い立ったそうです。フィリピンで貧困層に住宅を提供し、刺繍で生計を立てる活動を支援しているNGO「HABITAT」とコラボして、バッグとヘアゴムのデザインを手がけたのが最初の活動とのこと。

大学受験の前にやめようと思っていたモデルと国際協力の両立でしたが、貧困問題やフィリピンでの商品づくりについて発信したところ、思いがけず反響があったことから続けてみようと思い直したそうです。

トーク中盤では、「ピープルツリー」の服を身に着けた学生さん4名がモデルとして登場です。このブランドのアンバサダーでもある鎌田さん自ら、オーガニックコットンを使った素材やハンドプリント(手刷り)のデザインについてなど、服の特徴を解説しました。外で働く機会が少ない女性ができる作業も、製品化に役立っています。
学生モデルさんからは、「すごく着心地がいい。値段はファストファッションほど安くはないけど、映画を見てこれぐらいのお金を払わないと成り立たないんだっていうことを感じたら、洋服のことを大切にしないといけないと思いました」という感想がありました。

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<学生モデルの4名。左から三浦宗民さん(市立札幌大通高等学校)、森本衣美さん(北海道大学)、西村夏泉さん(北星学園女子中学高等学校)、伊澤琉奈さん(日本医療大学)>

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<「着てみた感想はどうですか?」鎌田さんの質問に答える伊澤さん>

鎌田さんは今後、大学院での研究に力を入れていきたいと話します。色んな人を巻き込んで一緒に考えるためには、一過性のイベントだけでは難しい、エシカル・ファッションについても深く悩む場を作っていきたいそうです。

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<左から、立石喜裕さん、大崎美佳さん、鎌田安里紗さん、友成>

続いて、2015年から3年連続で北海道国際協力フェスタの実行委員長を務めた大崎美佳さんが登壇。ハリウッド映画をきっかけに英語や世界に目が向くようになった大崎さんは、大学時代にマレーシアでパーム油の問題に出会います。わたしたち日本人がよく口にする食料品にもよく使われているパーム油ですが、その現場を知ることで環境問題に興味を持ち、現在は環境問題解決のために人と人とのパートナーシップを構築する仕事をしています。「自分の知らないことも色々出てきて、勉強することが楽しい」と語る大崎さん。北海道国際協力フェスタは若い方からシニアの方まで、30もの団体が集まる国際協力のイベントで、その多様な意見の調整には苦労もありますが嬉しいことのほうが多いそうです。これまで一歩前に踏み出せずにいた学生さんが活動を始めたことなどを知ると、苦労も吹っ飛ぶと明るい笑顔で語っていました。

北海道国際協力フェスタのテーマでもある「持続可能な開発目標(SDGs:エス・ディー・ジーズ)」に触れたところで、北海道NGOネットワーク協議会会長の立石さんにSDGsの解説をしていただきました。
政府任せではなく、NGOや市民も関わって国連で採択された世界共通の17のゴールであるSDGsを「70億人全員参加型の地球改善プロジェクト」と呼ぶ立石さん。
綿花栽培には大量の肥料が必要ですが、江戸時代や明治時代には北海道のニシンが肥料として利用され、北前船で各地に運ばれていたのです。ニシン漁の過酷な労働にはアイヌの人たちも駆り出され、商人たちに大きな利益をもたらした一方で、アイヌの人たちの先住権を奪うことになったり、豊かな海からニシンが消滅することにもなりました。このように人々の生活、消費スタイルは、開発の問題や人権や環境の問題にも繋がっています。ふだん意識していないところが色々なところでつながっていて、共感できる人を応援すること、みんなとつながることで間接的にSDGsに加わることが出来るのだと、立石さんは言います。
SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」に表れているように、誰でも、食べるもの、着るものを選択することから参加できる。時間の使い方でも同じで、今日も色んな選択肢があった中でこのイベントに参加してSDGsに関わったわけです。

一人ひとりに必ず関係しているのがSDGs、一度立ち止まって考えて、行動しよう。

その思いを会場のみなさんと共有したところで、SDGsの認知度向上活動に取り組むJICA北海道の野吾から、オリジナルソング「もっと輝く未来のために~Go for SDGs!」についてご説明。「これからの明るい未来のために、一人ひとりが今日からできることをやっていこう」という決意を胸に、来場された方にも参加していただき、会場全体でSDGsソングを歌いました。

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<SDGsソングに参加したみなさんと一緒に>

5月にリニューアルオープンするJICA北海道のレストランではフェアトレード商品も扱う予定で、鎌田さんには、新しいイメージに合わせたレストランの名称選考委員にも加わっていただくことになりました。
ちなみに、天候不良と飛行機の機材トラブルで、鎌田さんはなんと約6時間遅れで市内入り。本当にお疲れ様でした。イベントのためにありがとうございます!これに懲りずまた北海道に来て、エシカル・ファッションやフェアトレードについて色々教えて下さいね!

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注:なんとかしなきゃ!プロジェクト
国際協力に参加するための情報発信サイト。世界の今を知り、私たちひとりひとりができることを見つけるための活動を紹介しています。

(文責:JICA北海道 市民参加協力課 野吾奈穂子)