第4弾SDGsラジオ!教育と難民支援を通して国際協力を語ろう

2019年6月5日

【画像】札幌市の地域ラジオ番組、FMアップル「香るパラダイス」がJICA北海道とコラボ。毎月一回の生放送で、SDGs(持続可能な開発目標)と国際協力について発信します。
第4弾のSDGsラジオ(5月22日放送)は、ペルーの日本人学校に赴任したことがきっかけで日本と世界をつなぐ国際理解教育に携わる花川北中学校の橋詰典明校長と、カンボジア在住歴あり・難民支援を仕事にしている国連UNHCR協会北海道エリアマネージャーの山下芳香さんをお招きして、貴重なお話しを伺いました。

教育で、日本と世界をつなぐ。

【画像】人がおおらかで雄大な自然を持つペルー。橋詰先生はもともと国語の先生ですが、当時、小中学生あわせて60名の日本人学校で、算数など担当外の教科も教えたそうです。
「英語を勉強するの?」と誤解されがちな国際理解教育ではありますが、文化の多様性を学んだり気候変動や貧困、平和など地球規模の課題を自分事としてとらえることを目的としています。
6月にはご自身の学校で、橋詰先生自らが授業を行うそうです!スリランカ内戦後の和平に取り組んだNGOピースウィンズジャパンへの取材を元に、「武器の回収」「住居の建設」「寺院の再建」など取組みをカードで示して、それを子どもたちに選んでもらい、これを自分事として感じる「共感的理解」を深める工夫をしています。例えば学校の中に武器がないか、言葉も武器になること、SNSでの中傷や無視など日常生活の中にも争いごとをどう収めるか考えることを授業で行う予定だそうです。

また、橋詰先生が代表を務める現役教員メンバーで構成されたNGO「北海道開発教育ネットワーク(D-net)」では、2018年度からJICA事業を受託して、途上国で取材をして新たな教材開発とその普及を行っています。
タイとインドでの取材に基づき作った教材は8本に及びます。今年は6(トイレ)、14(海)をテーマにベトナム・ラオスでの取材を行います。これから2020年度末にかけて授業での実践を重ねてさらに教材を磨き上げ、北海道だけでなく全国への展開を進めていく予定です。

そんな橋詰先生が挙げたSDGsのゴールは、以前作った水に関する教材にちなんで、4(教育)、6(安全な水)、2(食料)。当たり前に水が飲めて食べ物が食べられる日本で問題になっているフードロスではバーチャルウォーター(仮想水)をたくさん捨てている、つまりたくさんの「水」を使って作り育てた食べ物を捨てていることは、「水」を捨てていることになるというお話しを紹介してくださいました。

「難民」という「人種」ではないのです。

【画像】後半は難民支援に携わる山下芳香さんのお話しです。難民は「難民」という人種に生まれたわけではなく元は裕福だった人、高等教育を受けた人もいる、紛争や政治的混乱、人種や宗教への迫害などに巻き込まれた結果、その地にとどまることが出来なくてやむを得ず逃れてきた人たちだと語る山下さん。「私たちもそうなる可能性がある」、日本も自然災害で避難を余儀なくされる人もいる、つまり他人ごとではないのです。

そうは言っても、身近に難民と呼ばれる人たちはいないし、イメージしづらいのが現状。そこで山下さんが紹介してくれたのが「知る」ことで踏み出す第一歩。6月20日の「世界難民の日」にちなんで開催するイベントに参加したり、札幌テレビ塔や函館五稜郭での国連ブルーライトアップにも注目です。
また、世界中の難民が1年間に歩く距離(なんと地球5万周分!)をネットで参加登録して達成しようという参加型アプリ「難民と進む20億キロメートル」も。実在する難民たちのストーリーをたどりながらウォーキングやランニングした距離を登録していくことで、参加者の気持ちが揺さぶられます。「過酷な環境で生きるために歩く」という山下さんの言葉が印象的でした。

山下さん自身が難民に関わるようになったのは、11年間暮らしたカンボジアでの出会いがきっかけ。内戦が終わり国家の安定に伴って帰還してくる難民たちは、カンボジアの発展を願って力強く活動していたのだとか。そんな姿に元気をもらい、彼らを支える活動を仕事にしたいと考えたのだそうです。

社会の問題に目を背けず知ろうとすること、日本人同士でも価値観の違いは出てくるけれど「みんな違って当たり前」の理解の下に歩んでいきたいと、SDGsゴール17(パートナーシップ・協働)を山下さんは挙げてくれました。

そんな山下さんを始め、南スーダンやブルキナファソなどアフリカと難民に関わるゲストの話が聞けるイベント「難民を知る2019~国境を越える、スポーツの絆~」が、6月22日(土)に開催されます!参加無料でソマリア難民をテーマにした映画「ナイス・ピープル」も楽しめます。どうぞお楽しみに!

【画像】ちなみに、お二人とも今回が初めてのラジオ出演(しかも生放送!)で開始前は緊張の面持ちでしたが、いざ番組が始まると惜しみなく情報を教えてくださり、さすがその道のプロ。あっという間の1時間でした!

次回の【SDGsラジオ第5弾】の放送は6月26日(水)17:00~18:00。
再放送は6月27日(木)24:00~25:00と6月30日(日)17:00~18:00の2回です。

南米ボリビアで井戸の診断・改修事業を行った札幌市の企業(株)レアックスが、胃カメラ検査のように井戸をくまなくチェックする優れたプロの技術をご紹介。後半では、東京で採用されたばかりのJICA新入職員3名が登場します。社会人になりたての若い職員たちの情熱溢れるトーク、こちらもどうぞお楽しみに!

札幌市内の方はFM76.5MHz、インターネットラジオでは「リスラジ」または「サイマルラジオ」アプリをダウンロード。

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メール:Yago.Naoko@jica.go.jp

           (文責:JICA北海道 市民参加協力課 野吾奈穂子)