JICA新入職員3名がJICA北海道で研修を受けました!

2019年7月17日

東京の本部で採用されたJICA新入職員は、毎年日本各地の国内機関で業務を経験しています。約1週間と限られた期間ではありますが、これからの国際協力を担う職員に国内機関の機能と国内の国際協力事業の現場を学ぶ機会としています。
2019年6月19日~27日に、新入職員3名が、JICA北海道センター(札幌)(以下、センター)で研修を受け、滞在中の経験をレポートします。途上国の開発に携わりたいという、意欲にあふれるフレッシュな職員たちのアツいレポートをご覧ください!

北海道開発の知見を途上国へ

酪農学園大学での自己紹介プレゼン

タイ行政官向けの研修の様子

難民の日啓発イベントの様子

JICA社会基盤・平和構築部の富重博之です。本部では道路や情報通信といったインフラ分野における途上国支援に関わっています。北海道は明治以降の約150年という短い期間に急速な開発を経験した特異な歴史を持っており、その知見をどのように途上国支援に繋げることができるか考えたいと思い、新入職員研修に参加しました。

約1週間の新入職員研修で、自治体や民間企業の国際事業支援、途上国からの研修員受入れ事業、広報・教育活動など、本部では関わることの少ないセンターならではの業務を学ぶことができました。小樽にある企業の視察では、民間企業のアイディアの豊富さや技術開発にかける情熱を感じました。また、タイやアフリカの省庁職員向けの研修を見学した際には、彼らのエネルギーや真剣さに刺激を受けるとともに、彼らが日本でいかに充実した研修を受講するために行う準備をととのえることの責任の重さを感じました。また、啓発イベントや大学の講義にも参加し、一般の方から見たODA事業の意義について考える機会となりました。

「国際協力の現場」と聞くと一見海外を想像してしまいますが、実は国内にも現場があるということを今回の研修で発見できました。北海道開発の知見は民間企業や地方自治体、大学など地元の組織が蓄積しており、これを途上国支援へ活用するため、地元産業や地元住民のメリットを考慮して、ウィンウィンの体制作りをしていく必要があると感じました。また、JICA入構以来の数か月間、私は本部の配属部署で業務を学んできましたが、今回初めて配属部署の外でJICAの仕事を学ぶことで、相対的な視座から普段本部で行っている業務の重要性を理解することができたと思います。今回の研修で学んだ現場の視点を忘れずに、今後の仕事を頑張っていきたいと思います。

                  (文責:社会基盤・平和構築部 富重博之)

国内拠点から国際協力

地球ひろばで説明を受ける職員

イベントに飛び入りで参加してくれた研修員の方たち

センターで研修員が思い思いの時間をすごすラウンジ

ICA地球環境部 森林・自然環境グループの金岡武蔵です。普段は本部でアフリカ地域・中南米地域を中心に自然環境保全に関わるプロジェクトに携わっています。JICAには12か所の国内拠点があり、新入職員は約1週間、各拠点での業務や役割を学ぶ研修があります。我々新入職員3名はJICA北海道(札幌)で研修を行いました。

本部の業務では、アフリカや中南米の森に思いをはせながら机に向かうことが多いのですが、今回の研修では普段はイメージしにくい国内拠点から如何にして遠くの国の森につながっているのかをイメージしたく、①国内拠点の業務、②北海道の自然資源の活用の仕方について理解を深める、という目標を設定して研修に臨みました。

今回の研修では、本部で経験できない現場の体験を多くさせていただきました。途上国の方たちを日本国内に招へいし日本の知見や技術を学んでもらう課題別研修やセンターが大学と連携して行う講義、センター主催の市民参加型のイベントやSDGsラジオなどさまざまな業務に参加させていただきました。

これらを通じて、国内拠点と市民の方や民間企業の方との距離の近さを実感しました。また、自然環境保全という分野においても、北海道は下川町といった自然資源をうまく活用した事例を有しており、豊かな自然がある北海道だからこそ、日本が世界に誇れる知見があると強く実感しました。

JICAの業務は、途上国の人々のための業務であることと同時に、日本の地域の発展にも貢献する必要があります。国内拠点は、地域の方たちとの交流や、地域の特色を生かした先進的な事例を吸収する国際協力の拠点となることで、グローバルとローカルを結ぶ重要な拠点となることを実感することができた有意義な1週間でした。

           (文責:地球環境部 森林・自然環境グループ 金岡武蔵)

国際協力のもう一つの「現場」

研修員と市民の方々の間で交流が生まれたキャンドルナイト

ラジオ初出演!「SDGsラジオ」

北大で滝川市の国際協力について学ぶ

青年海外協力隊事務局に所属しており、普段の業務ではJICA海外協力隊が派遣されている英語圏アフリカの4か国を担当しています。本部ではパソコンと向き合って行う仕事が多いのですが、今回の研修ではパソコンを見る暇もないほど毎日のように札幌の街に出て、さまざまな関係者の方と交流し、本部とは違う「現場」を感じることができました。

市民の方々と直接交流する機会として、北海道大学と酪農学園大学の学生との交流会や、センターが行っているイベント(「難民の日」「キャンドルナイト」など)がありました。また北海道ならではの知見を持つ地方自治体や技術を持つ民間企業に直接話を伺い、地域の技術と開発途上国のニーズのマッチングがどのように行われているかを学びました。JICAの事業は国民の皆さまの支援がなければ成り立たないものであること、地域との連携でより有効な国際協力ができていることを改めて実感しました。

海外からの研修員と意見交換する場もありました。毎朝レストランカフェ「地球こうさてん」に行くと、日本にいるとは思えない光景でした。東南アジア、中南米、アフリカ、中東など世界各地域の研修員があらゆる言語で朝食を食べながら交流しており、自国に適用できる北海道の技術や開発事例、札幌の街の魅力など語られていました。熱意に刺激を受けたと同時に、自身はまだ日本の知見について知らないことがたくさんあることを痛感しました。

「国際協力の現場は海外だけではない」と実感した1週間でした。日本と開発途上国双方のためになる国際協力について今後も考えていきたいと思います。


         (文責:青年海外協力隊事務局 海外業務第二課 黒神みなみ)