第6弾SDGsラジオ! 国内にも広がるODAの現場、環境にやさしいクリーンエネルギー

2019年7月22日

本日のSDGsテーマとラジオ参加者

札幌市の地域ラジオ番組、FMアップル「香るパラダイス」がJICA北海道とコラボ。毎月一回の生放送で、SDGs(持続可能な開発目標)と国際協力について発信します。
第6弾のSDGsラジオ(7月10日放送)の内容について、北海道大学学生の目黒拓実さんがご報告してくれました。
前半は長年に渡り、様々な国際協力事業に取り組んできたJICA理事長特別補佐の岩切敏から現在のODA(政府開発援助)の実態とJICAの役割についてお話しいたしました。
また、後半は北海道大学から勝沼晃平さんと中西賢志さんの2人の学生が参加し、近年注目を集めているクリーンエネルギーと関連する社会課題について、大学という場で得た学びから社会に伝えたい想いを語りました。
以下、目黒さんからの報告です。

開発途上国ばかりではない、ODAの現場

地方と一体になり達成するSDGs

岩切さんがまず語ってくれたのは、ODAは現在、斜陽産業だと感じているというお話でした。実はODA予算は1997年のピーク時から比べて現在は半減しています。
しかし、予算が縮小していく中でもODAが果たせる役割は何かないのでしょうか。この点について岩切さんは、SDGsを担う上で大切な機能を持っていると述べていました。

その意味がよく分かる1つの例として滝川市の事例を挙げてくれました。JICAとの協力によるODAを滝川市が行政として推進することだけではありません。市内で農業を営む方が外国からの研修員を受け入れて技術指導をしてくださったり、英語が得意でない方がモンゴルへ指導に出向いてくださったりするなど、地域で生きる一人一人が国際協力に関わってくれています。

こうした取り組みが従来無かったビジネスや交流の場を生み、SDGsゴールの「8.働きがいも経済成長も」や「17.パートナーシップで目標を達成しよう」へと繋がっていくのです。

ODAの影響は国内にも

岩切さんは現在、地域連携担当として仕事をしています。具体的には日本全国に15か所あるJICAの国内拠点を通じて、日本の各地域の人々と世界中の援助が必要な人々を繋ぐ役割です。

ODAの活動現場って開発途上国ではないの?と思ってしまいますよね。岩切さんも職に就いた当初は開発途上国が仕事の中心だと考えていたそうですが、実際にはODAの現場は国内にも幅広く存在します。日本の各地域には様々な技術を持つ企業・団体・組織があり、また外国からの研修員・留学生を受け入れる環境があります。これらが世界に向けて価値を提供し合い可能になる協力は多岐にわたるため、国内での活動も大切なのです。既に挙げた滝川市の事例もその1つで、地域の人々が国際協力に参画していける環境を整えることで、達成可能な目標の可能性は大きく広がります。

トークの中で「信頼で世界をつなぐ」というJICAのスローガンが登場しました。
従来は首都圏で完結してしまうことの多かったODAが、近年は地方を含む全国の人々と共に活動しその輪を広げています。日本のあらゆる地域の人々と世界中の援助を必要とする国・人をどう繋ぐのかが、これからも重要になってくるでしょう。

クリーンエネルギーを通じて解決される社会課題

クリーンエネルギーを語る勝沼さん(写真左から2人目)と中西さん(同3人目)

後半は北海道大学から参加した2名の学生、勝沼晃平と中西賢志がクリーンエネルギーが解決する社会課題と、具体的なクリーンエネルギーの例をお話させていただきました。僕たちは、北海道大学とJICAの連携協定に基づき、JICAの活動事例を中心に国際協力の概要を学ぶ「国際協力論」という講義の受講者です。今年の講義では学ぶだけではなく自らテーマを設定して社会課題の解決を提案していこう、ということでラジオを通じてメッセージを伝えることになりました。私目黒も、今回代表としてラジオ出演した2人と同じグループで学びを深めました。

まずは一体どんな社会課題があるのか。今回は3つの課題が取り上げられました。1つ目は原子力発電に関連する問題。特に核廃棄物の処理は日本を悩ませる大きな問題となっています。2つ目が日本のエネルギー自給率の低さ。現在の日本のエネルギー自給率はわずか8%程です。3つ目の課題は気候変動問題。
これらの課題を一挙に解決する策として、クリーンエネルギーが提案されました。そもそもクリーンエネルギーとは何なのでしょう。よく耳にする単語ですが、地球温暖化の原因である二酸化炭素や大気汚染の原因である硫黄酸化物、窒素酸化物を排出しないエネルギーのことです。
クリーンエネルギーの割合を増加させれば、結果的に原子力発電への依存度は低下します。また、クリーンエネルギーは国内資源で発電する方式が多いため、エネルギー自給率も増加。環境にやさしいため気候変動問題も改善されます。なるほど、社会課題に対して有効な部分が大きそうですね。

クリーンエネルギーについて、まずは関心を持つことが大切

クリーンエネルギーと一口に言ってもその種類は豊富で、今回は特に水力発電、地熱発電、太陽光発電の3つを取り上げて具体的な事例を説明させていただきました。どの発電方式にも共通していたのが、大規模なエネルギー供給はできないということ。水力発電も大型のものよりも中小水力発電と呼ばれる自然環境を壊さない小さなものが注目されています。この点を逆手にとって、あえて小規模な発電設備をそれぞれの地域ごとに所有することで、地域で使うエネルギーはその地域で賄うという考え方が語られました。この考えを表現する「エネルギーの地産地消」というキーワードも登場。新しいエネルギーの在り方に議論は発展しました。

最後に、SDGsゴールの「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を達成していくために、リスナーの皆様への呼びかけとして2点を挙げさせていただきました。
日ごろから節水や節電といった節約を心掛けること。そしてクリーンエネルギーに関心を持つこと。ここまで読んでいただいた皆様、少しでも出来ることから変えていくために、僕たちと一緒にエネルギー問題を考えてみませんか。

                              (文責:北海道大学 経済学部4年 目黒拓実)

次回の【SDGsラジオ第7弾】の放送は8月21日(水)17:00~18:00。
再放送は8月22日(木)23:00~24:00と8月25日(日)15:00~16:00の2回です。
前半は、ボリビアから来日して北海道とラテンアメリカの文化交流活動を続けているシルベストレ・バルガスさんが出演。流ちょうな日本語でラテンの魅力と解決したい課題をSDGsにからめてお話ししてくれます。
後半は、昨年開催された「第1回SDGsクリエイティブアワード」でJICA特別賞を受賞した東京都の私立晃華学園高等学校1年生が登場。7名の女子高生グループが、滝川市の国際協力の現場を取材しての感想を発信してくれます。

札幌市内の方はFM76.5MHz、インターネットラジオでは「リスラジ」または「サイマルラジオ」アプリをダウンロード。

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