2022年度JICA北海道教師国内研修が終了しました!

2023年1月13日

二風谷アイヌ文化博物館も訪ねました

JICA北海道では、2022年7月から2022年12月までの半年間、道内の教員を対象に「教師国内研修」を実施しました。本研修では、フィールドワークやインタビューを通し、多文化共生、SDGsをテーマとした教材づくりを行いました。

本年度は、7名の先生方にご参加いただき、アドバイザーの東峰宏紀先生(北海道開発教育ネットワーク[D-Net]代表/千歳市立支笏湖小学校校長)、塚田先生(旭川市立緑が丘小学校元教諭)と共に教材づくりに取り組み、それぞれの学校で授業実践を行いました。

様々な方々の「思い」をうけての教材作成

昨年度の教師国内研修は新型コロナウイルス感染拡大により、対面で予定していたものをすべてオンラインへと切り替えての実施となりましたが、本年度は対面での研修を実施することができました。

本研修では事前研修より、様々なマイノリティの方やそれに関わる方を講師として招き、8月に行われたフィールドワークでは、浦河町や平取町を訪れ、色々な立場の方々へインタビューを行い、研修参加者はそれぞれの多文化共生、SDGsに関する教材づくりへのビジョンを掴んだようでした。

<2022年度教師国内研修プログラム>

7月16日 第一回事前研修(オンライン) 
参加型手法の教材づくりについての講義(テーマ:SDGs)
外国人集住地区における多文化共生についての講義
やさしい日本語についてのワークショップ
参加型手法についての模擬授業(テーマ:多文化共生)
Globeについての講義(Globeとは東川町で行われている独自の授業取り組み)

7月30日 第二回事前研修(オンライン)
NPO法人「飛んでけ!車いす」の会によるフォトランゲージと事業紹介 
さっぽろレインボープライド実行委員会によるフォトランゲージと事業紹介
インタビュー手法についての講義、インタビューへ向けた質問の検討
二風谷およびアイヌ文化についての講義

浦河町で競走馬生産に携わる外国人の方にインタビューをさせていただきました

幾度も重ねた指導案検討

8月6日~8日(2泊3日)平取町、浦河町にてフィールドワーク 
二風谷アイヌ文化博物館見学
ハポネタイによるアイヌ文化ワークショップ
浦河町で働くインドの方々との交流
多文化共生に関わる様々な方々へのインタビュー
道内の外国人支援についての紹介
地域課題や学校現場でできることについてのディスカッション
協力隊体験をもとにしたワークショップ
フィールドワークで得た素材から指導案原案の作成と共有

10月8日 第一回事後研修(対面/オンライン)
オリジナルの教材・指導案検討会

11月5日 第二回事後研修(対面/オンライン)
オリジナルの教材・指導案の共有、模擬授業の実施 

12月17日 成果報告会(オンライン)


半年間の研修では、東峰先生、塚田先生等、北海道開発教育ネットワーク(D-net)のアドバイザーの皆様、東川町立東川小学校木村先生、NPO法人「飛んでけ!車いす」の会代表吉田様、さっぽろレインボープライド実行委員会代表柳谷様、札幌大学アイヌ文化教育研究センター教授本田様、ハポネタイ代表惠原様、浦河町で働くインド人の方々、浦河町地域おこし協力隊の稲岡様、かつて外国にルーツを持つ児童でいらっしゃった細田様、中標津町経済振興課の神原様、中標津町地域おこし協力隊のルエン様等多くの方にご協力をいただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。

多文化共生やSDGsをテーマとした教材、授業づくり ~成果報告会~

最終段階となる「教師国内研修 成果報告会」を2022年12月17日に開催、小学・中学・高校・特別支援学級と様々なクラスを想定した教材紹介や模擬授業を行いました。

海外からの3名を含む33名の方々にご参加いただき、教師国内研修に参加した7名の模擬授業や教材セッションを通じて「多文化共生・SDGs」について一般参加者の方々と一緒に考える時間となりました。

「ダム建設をめぐるロールプレイ」

<教師国内研修成果報告会プログラム>

(1) 国内研修概要報告
  (北海道静内高等学校 内田教諭)
(2)模擬授業「ダムについて ~開発と環境と人間の生活~」
 (札幌市立太平中学校 奥山教諭)
(3)実践者の自己評価、参加者やアドバイザーからのフィードバック

(4)教材紹介1
 【道徳】「私たちの当たり前」(苫小牧市立沼ノ端小学校 渡部教諭)
 【総合】「多文化共生 町の未来を考えよう」(北海道知内高校 西川教諭)
  ※欠席のため動画で紹介            
(5)教材紹介2
 【地理】「言葉に秘められた民族のメッセージ」(八雲町立落部中学校 土田教諭)
 【公民】「私が共生社会を築いて行く」(北海道池田高校 米家教諭)
(6)教材紹介3
 【総合】「知ってる⁉ アイヌのアレやコレ」(網走市立第一中学校 梶野教諭)
 【地理総合】「外国人との共助 -多文化共生×減災-」(北海道静内高校 内田教諭)

(7)アドバイザーからのコメント(教師国内研修アドバイザー)

文字が読めるということ、読めないということ

成果報告会参加者にて

模擬授業ではロールプレイが行われました。3つのグループに分かれ、ダム建設をめぐり各々の立場になりきって、「みんなが幸せになれる結論」を導き出すべく話し合いました。自身の考えを主張しながらも、別の立場の意見も慮る、まさに多文化共生を実践していこうとする人々の様子が見られました。


教材紹介セッションでは、教材に込められた思いを知った参加者の方が、涙ながらに発表者へ感謝を伝えるといった一場面もあり、春の応募の段階からこの研修に携わってきたスタッフとしても込みあげるものがありました。人と人とのつながりを感じることが特に多い研修でしたが、その最後に相応しい成果報告会となりました。

2022年度教師国内研修の研修詳細や、各先生方が作成した指導案、教材については、2023年5月頃発行予定の「2022年度教師国内研修実践報告書」にて公開いたします。
入手を希望される方は、下記までお気軽にご連絡ください。

【教師国内研修 事務局】
公益社団法人青年海外協力協会(JICA業務委託先)
電話番号:011-866-1515
Eメール:hokkaido@joca.or.jp