ABEイニシアティブ、セネガルから12名の若者が日本へ

2015年9月3日

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8月4日ダカールにて、「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(African Business Education Initiative for the Youth)」(通称ABEイニシアティブ」(注)の留学生壮行会が開催されました。

壮行会には、セネガル側からはバー大統領府次官補、サンガレ高等教育局長、チャム技術協力局長、産官学の代表ら、日本側からは北原駐セネガル大使、加藤JICAセネガル事務所長、駐在日本企業代表者らが出席し、セネガルとしては初めての派遣となる12名の留学生を激励しました。

まず加藤JICAセネガル事務所長からこのABEイニシアティブの概要説明と留学生のプロフィール紹介があり、「このプログラムが奨学金の助成にとどまらず、民間企業でのインターンシップ等を通して、日本とアフリカ間の強力な人的ネットワークの構築を促す戦略的なものである」と説明がありました。

北原在セネガル日本国特命全権大使はスピーチの中で、「このプログラムが民間部門で活躍する人材育成を目的としていることに注目し、これからのアフリカ諸国の発展の実現のためには多数の民間企業を創生し、経済制度に組み入れることが重要である」と述べられました。

日本側の大きな期待を受け、バー大統領府次官補は、「セネガルとしてもサル大統領が人的資源の開発を国家政策の中心に位置付けている。日本企業での実習は、誰もが認める日本式経営手法における、モノとサービスの生産システム環境、その高い効率性と規範性を実感できる絶好の機会である」とこのプログラムを高く評価しました。

12名の留学生たちはこの機会を与えてくれた両国の関係者に謝意を表し、日本での活動への期待と抱負を熱く語りました。しかし、日本に行ったことのないセネガルの若者にとって日本はまだ遠い国であり、日本の生活や文化についても十分なイメージは持っていないようでした。これから約2年間の日本滞在を通じて、日本での有意義な経験を経て、彼らが日本とセネガルとの橋渡し役として活躍することに大きな期待がかかります。

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壮行会に続き、8月12日から3日間、日本語教師として活動中の二人の青年海外協力隊員によって日本語教室が開かれました。訪日に先駆けて、日常の日本語や日本の生活・文化を学ぶことによって、到着後の負担や不安を少しでも軽くして、日本の生活にスムーズに溶け込めるように、という意図で企画されたセネガル事務所独自のプログラムで、二人の青年海外協力隊の協力によって実現しました。講師はISM(経営高等学院大学)に配属されている大石紗己隊員とCESAG(経営・企業・組織高等研究所)に配属されている佐野あす実隊員です。

あいさつから始まり、自己紹介や数字、曜日など、日本に着いてすぐに使える表現を少しずつ対話形式で練習していきました。留学生たちは初めのうち日本語の発音もままならない様子でしたが、すぐに慣れてきて、自分の名前、どの国から来たか、学生でどこの大学で何を勉強しているか、などを自分で説明し、また相手に質問できるようになりました。研修2日目からは買い物の場面など普段の生活で役に立つ表現を覚えていきました。また箸の使い方を練習したり、生活マナーや日本食の説明も受けるなど、言葉だけではなく日本の暮らしも学びました。

教室を終えたあと留学生たちからは、「日本語の勉強は面白い」「日本で暮らす時に役に立ちそう」という意見が聞こえました。また日本の文化や暮らしの様子に触れたことで「日本に行くのが楽しみになった」そうです。そして全ての留学生が「先生が優しい、素晴らしい」と言い、二人の隊員に感謝していました。

ABEイニシアティブには、セネガルでは昨年度から募集を開始し、88名の応募者がありました。セネガル国内における書類審査、英語・数学の筆記試験と面接試験を通過した25名が、それぞれ志望する日本の大学による書類審査と面接試験に臨み、最終的に12名が合格し、派遣されます。仏語圏であるセネガルの若者にとって、英語で授業を行うこの留学プログラムでは、英語圏アフリカ諸国の応募者と競い合うことには大きなハンデがありました。また日本式の数学の試験を受けることにも慣れておらず、泣く泣く選考を通らなかった若者も多くいます。しかしこれらの厳しい選考を勝ち抜いた12人の留学生は、きっと日本でも大きな成果を上げてくれることでしょう。彼らの今後を見守りたいと思います。

(注)ABEイニシアティブとは
TICAD Vで表明された、アフリカの民間セクターや公的部門における人材を育成したり、日本の優れた技術や日本企業への認識を深める機会を作ったり、また日本を訪れるアフリカ人の増加に応えようとする支援策の1つです。2013年から5年間で1000人のアフリカの若者が日本に滞在し、日本の大学や大学院での教育(原則として修士課程教育)に加え、日本企業での視察やインターンシップの機会を受けます。このプログラムを通じて、アフリカにおける産業開発に資する日本とアフリカの間での人脈が形成され、日本企業がアフリカにおいて経済活動を進める際の水先案内人として活躍することが期待されます。