【保健】コンゴ民の経験を活用しエボラ出血熱の脅威に立ち向かう

2015年9月14日

2014年にギニア共和国で発生し、周辺国へ感染が拡大したエボラ出血熱に対し、コンゴ民主共和国の知見と経験を活用して対応する試みが行われている。

コンゴ民の経験をセネガルへ

2015年8月13日から21日にかけて、アフリカ大陸の中央に位置するコンゴ民主共和国(以下、「コンゴ民」)において、コンゴ民保健省が、セネガル保健社会活動省(以下、「セネガル保健省」)から派遣された22人のセネガル人エボラ出血熱対策チームに対するエボラ対策研修を開催した。開会式にはコンゴ民保健省のフェリックス・カバング・ヌンビ大臣が出席し、「コンゴ民のこれまでの知見と経験をセネガルに惜しみになく伝えることで、一国ではなく地域でエボラ出血熱に立ち向かいたい」と本研修の重要性を強調した。

本研修の主目的は、セネガル保健省におけるエボラ対策のための幅広い現場の人材能力強化である。そして本研修の特色としては、以下の5点が挙げられる。

  1. コンゴ民がこれまでに蓄積してきたエボラ対策の経験を共有する。コンゴ民では、過去7度に渡ってエボラ出血熱の発生が確認されているが、そのすべてにおいて封じ込めに成功をしている。
  2. JICAがこれまでの協力で培ってきたアフリカ仏語圏内ネットワークを最大限に活用する。
  3. 医療従事者に限らず多分野の関係者を対象とする。エボラ出血熱対策には、多分野の専門家が欠かせない。対象者は医者、看護師、衛生士、ロジスティック、臨床心理士、人類学者など多岐にわたった。
  4. 理論の共有だけでなく実践研修を行う。
  5. 研修結果を受けて具体的な活動を実施する。セネガル保健省は、9月1日より、JICA・UNICEFと連携のもと、セネガル国内において本研修受講者を講師とした医療従事者向け研修(1,369人)を実施予定である。

アフリカの未来に向けた積極的な意見交換を通じて

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研修3〜5日目では、3つの専門チーム((1)サーベイランス+検査、(2)メディカルケア+水・衛生、ロジスティック、(3)社会・心理的ケア+コミュニケーション)が、それぞれの専門分野で必要とされる専門知識を強化した。そして6日目は、再度研修生全員が一緒になり、これまでの研修で学習した知識を実践すべく、エボラ治療センターで実践研修を行った。

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研修を振り返ると、コンゴ民の講師もセネガル側の参加者も、ともに熱意が非常に高かった。毎日の講義終了後には、それぞれの保健省が研修内容の改善点について協議をしたり、講義中の気づきや、セネガルの文脈への適応などのフィードバックを行い、この研修機会を通じてより良い成果を得られるべく、最大限の努力を行っていた。

研修を終えて 今後のセネガルの活動

9月1日からセネガル保健省はJICA・UNICEFと協力して医療従事者研修を実施する。加えて、コンゴ民においては、2016年1月に西アフリカ諸国10ヵ国から関係者を招へいし、同様の研修を行う予定である。

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コンゴ民のエボラ出血熱対策の権威であるムヤンベ(Muyembe)教授は、「感染症は大規模流行(アウトブレイク)前の準備期間が重要である」と言及している。準備というのは、具体的には、エボラ出血熱に特化しない既存の感染症(結核、HIV感染症など)に関する日常的な管理体制(サーベイランスと呼ばれる、特にコミュニティでの患者の早期発見と治療、その後のフォローを指す)が重要で、住民や医療従事者が不要に怖がらないような啓発活動も必要である。このような日常的で地道なコミュニティでの既存の感染症のサーベイランスの積み重ねが、予期しないエボラ出血熱流行に対する速やかな対応にもつながる。そのため、コミュニティとの関係構築を通じたコミュニティサーベイランスシステムの構築が求められる。

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エボラ出血熱が発生しても、住民や医療従事者が恐れず適切に対応し、最小限の感染で抑えることができるように、JICAはアフリカ域内の知見と経験を集結して保健システム強化に貢献していく。