ボランティア調整員からみた「ボランティア事業」

2016年1月12日

【画像】

JICAボランティア事業の特徴と言えば何でしょうか?

国民が参加できる公共事業としての国際協力?任国の要請に基づいた派遣?長い任期?国際協力分野でキャリアを積むためのステップ?異文化環境における広い視野の滋養?協力隊に関わった人でもそうでない人も、様々な答えが出てくるかもしれません。一般国民が参加する事業で、ボランティア一人一人の活動が異なるので、様々な要素があって当然ですが、今回ボランティア調整員(VC)として取り上げたいテーマは、ボランティアの課題の掘り起こし方と課題に対するアプローチです。

先日、2年間の任期を終え帰国するボランティアが行った帰国前最終報告会で、「現場のニーズは何か?」「課題に対してボランティアが取るべきアプローチは何か?」について、ボランティア自身が住民や配属先の視点に立って徹底的に考えて活動した一連のプロセスに触れることができました。ボランティアは任地のコミュニティにおいては「外国人」であり、そのうちいなくなるため「外部者」として扱われることも多いのですが、限られた期間でも任地で配属先や住民とともに多くの時間を過ごし現地の視点を獲得する過程で、外部者の視点を持ちつつ内部者として行動するようになっていきます。自分が日本人として持ってきた知識、常識、技術が、セネガルの任地では通用せず問題に対する仮説が立てられないという現実に直面し、「自分は何しに来たのか?」と悶々とする期間も少なからずあります。しかし、めげずに淡々と調査を重ねデータを集め事実確認と試行錯誤を重ねながら点と点を繋ぎ合わせ、ブレークスルーを果たし、配属先や住民と共に課題に取り組むことができるようになっていました。「問題も答えもセネガルの中にある」という、あるボランティアの言葉が表すように、ボランティアの価値は、課題を抱える内部の人が持っているが気が付かないポテンシャルを発掘し、引き出し、繋ぎ、行動を促したり実際にマンパワーとなり共に働いたりすることができるといった、全ての過程をライブで共有するパートナーでありメンターのような複合的な役割を果たせる視野と実行能力にあると改めて気づかされました。

日本を出て、言葉もままならない環境で現地・現場の視線に徹底する経験を通じて、真のニーズを掘り起こしながら、住民とともに社会や課題にアプローチしていく、このようなボランティアの視点や能力が、日本の企業からも注目されつつあります。このような瞬間に現場で立ち会えたことがVCとしてとても嬉しく、またこのボランティア事業は日本の大きな知的財産になる可能性を秘めていると確信しています。

(執筆:古賀一志 ボランティア調整員)