「ないもの」より「あるもの」に目を向けて

2016年11月17日

ゼロからのスタート

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「ファティックの水事情についてどう思う?」「全く分からない、けどそんなに問題があるようには見えない」これは赴任してすぐの配属先である水利局長と私の会話である。私の要請は住民組織である水管理組合の運営改善と、水や衛生に関する啓発活動である。水管理組合は給水施設を利用している村の住人たちで構成され、料金の徴収や利害関係者間の調整を行っている。
現状把握のため、初めはボランティアというよりも、研修生の様にとにかく話を聞いて回った。地図にも載っていない道を進み、拙い現地語やフランス語を駆使しながら悪戦苦闘する日々。何とか私の意図を汲み取ろうと、熱心に話を聞いてくれるセネガル人の懐の深さや優しさに助けられることが多かった。

通い詰めた村

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水管理組合役員への聞き取り調査

バイクでアスファルトの国道を走り、砂煙に咳き込みながら赤土のガタガタ道を20分ほど進んだ先にMbellacadiaoという村がある。私が現在最も力を入れて活動している村だ。この村が抱えていた問題は水管理組合の運営ではなく、給水施設そのものにあった。給水施設の老朽化により、水の中にフッ素や塩分が混ざるようになった。住民からのニーズも「美味しい水が飲みたい」というものであった。任地にはこの村と同様に、管理組合の運営の問題よりも給水施設の問題を抱えている村の方が多数あった。
さて、どうするか?頭を悩ませた。私には給水施設を修理する力はない。新しい給水施設を作るお金もない。まずは、雇用を生み出すという目的も兼ねて、安価な浄水器を導入しようとしたが機能面、金銭面の問題がありうまくいかなかった。
ここで改めて任地や村を観察し直してみた。
村には井戸があり、保健施設があり、衛生に関する知識や情報を持つ人材もいた。また、都市部では井戸水を処理するための浄水剤が簡単に手に入る状況であった。そこで、現地にあるモノ、人材をフル活用しMbellacadiao村周辺での浄水剤普及活動を開始した。村の衛生啓発員を対象に講習会を行い、浄水剤の使い方や説明の仕方、売り方等を説明した。少しずつ普及し始めたようである。

繋ぐ

もうすぐ2年間の任期が終わろうとしている。振り返ってみると私の活動は、何か新しいモノ、新しい知識を導入するというよりは、既存のものを上手く繋ぎ合わせることだったと思う。活動をしていると不足しているモノや悪い部分に目が行きがちだが、よく見ると任地は色々なヒントで溢れている。都市部と村落部、組織と個人を繋ぐことができるのはフットワークの軽い、JICAボランティアの強みである。

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市内での講習会

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村での講習会

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村へと続く道