原点回帰 ONE FOR ALL・ ALL FOR ONE 香川のために・・・

【写真】三宅 康仁(香川)平成23年度1次隊/ホンジュラス共和国/小学校教諭
三宅 康仁(香川)

【画像】 僕は、大学卒業後、青年海外協力隊に参加し、中米のホンジュラスという国で小学校教諭として2年間活動していました。
 帰国してもう5年が経ちましたが、昨年から地元香川県の小学校教諭として採用され、念願であった小学校の教師として、日々子どもと共に学んでいます。

青年海外協力隊OBとの出会い

 僕が中学1年生の時でした。当時先生は、ネパールへ理数科教師として行かれた後、理科の先生として赴任されました。それを知った担任の先生が、1年3組の僕たちにOBの方の海外経験を聞くという時間を設定してくれました。とても熱く、そして楽しそうに話しているOBの方の姿がとても記憶に残っています。また「こんな仕事があるんだ」という新しい発見とワクワク感がとても印象的でした。

青年海外協力隊OBとの再会

 協力隊に自分が参加するなんて思ってもいませんでした。英語は大の苦手で海外に対してもほとんど興味もなく、OBの先生に話を聞いてからは、そんな話も忘れ、ただひたすら野球に取り組む毎日でした。
 しかし、大学受験に失敗した高校3年生。国公立の大学に行って欲しいという両親の希望に応えられず、自暴自棄になっていた自分が唯一とった行動が、あの時の先生に会うということでした。あの「熱く楽しそうな話を聞いてみたい」と無意識に思ったのかもしれません。実際に会って、これからの自分の人生について悩んでいた自分が前向きになり、楽しそうに話してくれる先生に元気をもらったのを覚えています。その時から漠然と海外に行ってみたいなという目標が出来たのだと思います。
 そして大学入学後は、OBの先生のアドバイスもあり、大学1年生の時に、カンボジアの海外ボランティアに参加しました。そこでは新しく経験することの楽しさを実感しました。その後は協力隊に大学卒業後参加するために、現場の経験を積もうと大学近くの小学校で授業支援ボランティアに参加し、少しでも小学校の雰囲気や先生の仕事の様子を学ぼうと必死で取り組みました。
 大学1年の時、好きなドラマのフレーズに「明日やろう!は馬鹿野郎」という言葉がありました。やると決めれば行動あるのみ。失敗しても格好悪くても実現するまで徹底的にやる。その思いを常に持って、大学生活を送ることができました。だからこそ4年生の夏、協力隊合格の知らせをもらったときの感動は言葉にできず、これまでの努力が実を結んだ瞬間であり、継続することと自分に正直でいることの大切さを実感した大きな経験でした。

協力隊としての2年間

 サンタバルバラ県の教育事務所に配属され、サンニコラス市の小学校を担当し、公立の小学校に算数の支援を通して多くのホンジュラス人と関わることができました。日本での経験もない自分自身に対して、とても温かく受け入れてくれ、一緒になって悩み、考え、そして授業や研修などをしていく中で互いに成長する関係になりました。最初は昼からの研修に乗り気でない先生も、少しずつ理解してくれるようになり、自分や他の先生(カウンターパート)の意見を受け入れてくれ、少しずつではありますが、質問したり意見を言ったりする関係になっていきました。またとてもおおらかで明るいホンジュラスの人たち。研修会の休憩中にはメリエンダ(おやつ)を食べながら談笑したり、踊ったりそんなホンジュラスの人たちに囲まれて楽しい日々を過ごすことができました。
 また、中米ではホームステイをしており、一緒に住んでいたエルメリンダさんとその家族には、感謝の気持ちで一杯です。
 エルメリンダさんの名前から、「ママリンダ」と呼び、まるでホンジュラスのお母さんのように頼りにしていました。ママリンダは家族のように僕のことをいつも気にかけてくれ、サンニコラスのことについて教えてくれたり、病気になった時には看病までしてくれたりしました。
 帰国して3年後、2015年の年末に小学校の同級生を連れて、ママリンダの家を訪ねました。ママリンダにあった時、心が温かくてホッとしたのを覚えています。日本以外に自分のことを知ってくれている家(居場所)があること、そして大切な友達に自分の大切なホンジュラスの家族を紹介できたことに一人感極まり泣いてしまいました。

帰国後から今まで

 帰国後、僕は小学校教諭をするか悩んでいました。自分が小さい時から学んできた学校というスタイルと大学に入学し、がむしゃらに夢に向かって努力し、異文化に触れ、視野が広がったことで、どこか日本の働き方に対して理解はできるものの、心がワクワクしませんでした。しかし3年間、学校現場で講師をしながら少しずつ、学校の良さや子どもと関わる楽しさに触れ、「いつか担任の先生として仕事がしたい。」という思いを持つようになっていきました。
 そして地元、観音寺の小学校で勤務した2017年。先生たちが楽しくそして自分に厳しく、日々子ども達のために一生懸命仕事をしている姿、思いを感じ、それまで中途半端に試験勉強をしていた自分の気持ちが変わりました。
 教師という仕事は本当に大変で、土日も仕事に出ることもあり、仕事の環境的には、ホンジュラスとは真逆?かもしれません笑。でも、毎日子どもたちの笑顔のために、授業の準備をしたり、日々の成長を感じ、子どもたちと関われたりするのは「やりがい」であり「生きがい」でもあるように今は思えます。
 ホンジュラスに大学卒業後行ったことで、出会えた仲間、そして今でも悩んだ時には相談できる仲間がいることはかけがえの財産だと思います。
 大学4年生の時に周囲の人たちは全て海外に行くことに好意的な意見ばかりではありませんでした。厳しい意見も頂く中で、今は自信を持って行ってよかったと言える「協力隊」、そしてそのご縁をくださったOBの先生には感謝の気持ちで一杯です。
 現在、その感謝の気持ちを地元香川県に恩返しできればと思い、香川県の協力隊OB会会長として微力ながら支援させてもらっています。
 表題にも書いた「原点回帰」。これはJOCA(公益社団法人 青年海外協力協会)の今年のテーマでもあります。私も含め、協力隊に参加する動機は様々ですが、一人一人の原点を理解し日本に帰国後、少しでも香川県でその思いを実現できる場の提供ができるように、協力隊OB会としてJICAや地元の国際関係の機関と連携をとっていきたいと思います。
 「夢は逃げない。逃げるのは自分だ」
 この言葉を胸に、常に夢を持ち続けるそんな教師であり続けたいと思います。