協力隊員時代から、現代の活動にたどりつくまでの歩み(後編)

【写真】大川 理恵(愛媛県)平成12年度1次隊/エジプト・アラブ共和国/美術
大川 理恵(愛媛県)

日本へ帰国してから

築100年の蔵を改築中

シリア人のモハマッドさん一家と

二本松訓練所にある「生命の星」

 アレキサンドリアの活動を最後に、日本に完全帰国し、新たな日本での生活が始まった。しかし、4年ほど海外で生活していると、日本での基盤が、ゼロに近いほどなくなってしまっていた。
 ふと、母の実家を通りかかった時、趣深い蔵を発見した。祖父が他界した後は、祖母だけがこの広い母屋に住んでいて、その祖母も他界した後は空き家になっていた。「そういえばあの施設、施設長のお母さんが亡くなったことで、障害者施設にしてたんだよな~」と思った瞬間、「そうだ、ここで得意の美術のアトリエを開こう」と、ひらめいた。思い立って準備を始めて、2年後の平成21年にオープンした。名前は「創造アトリエ あぷりこっと」。子どもたちの自由な創造の場として、地域の人の誰でも来れる交流の場として、立ち上げた。

 それから時が流れて一昨年、突然、ある小学校から「シリア難民のご両親と話がしたいので通訳をしてほしい」と連絡が入った。その当時小学2年生だった娘さん・ご両親ともに、日本語をほとんど話さなかった。
 就学支援だけではなく、生活の方も、市役所の書類関係など、お手伝いすることがたくさんあった。「外国人が日本語もできないで日本で暮らす場合、こんなにも大変なものなのか」と逆に実感した。まるで、私が協力隊を終えて日本に完全帰国した時に感じた逆カルチャーショックのようなものを、彼らも感じているのだろうなと思った。彼らは、私が心配したように、この土地で住み辛いと感じ、他の県へ行けばシリア人コミュニティがあるから助けてもらえるといって、引っ越していった。

 それからまた時が流れ、ある時、「東京で、日本人と一緒にシリア難民の方が料理イベントをするんだって」と聞き、すぐさまそのイベントに飛んで行った。
 主催者の日本人の方に「どうして、シリア難民の方をサポートしようと思ったのですか?」とお伺いすると、「シンプルに、シリア料理がおいしいと思ったからです」と。
私も「シンプルに行こう!」と決めた。私はエジプトで、周りの人に優しくしてもらったことや、いつも元気に声をかけてくれ、他人にも関わらずパンを分けてくれた現地の人々を、日本の人々に知ってもらいたいと思った。日本に入ってくるニュースの殆どが、きな臭いニュースばかりになってしまって、あちらの人の優しさや、いい面がぜんぜん日本に伝わってこない。中東を知っているのに、それを知らないふりをして批判をしているだけでは、私の青春をかけて活動した時間を無駄にしていると思った。どう始めればいいのか全く分からなかったが、私の周りに少しずつ協力者が集まってくれ、今では、大学生とタッグを組んで「世界を拓く実行委員会」という団体が結成された。

 ここ最近、二本松訓練所での思い出が、また思い出される。この訓練所に白い地球儀がある。この地球儀は、愛媛県砥部町出身の陶芸家・白潟八洲彦さんが作られた作品である(白潟さんは、フィリピンの青年海外協力隊OBでもある)。協力隊に行く前に、私も美術隊員で陶芸を教えることになっていたから、白潟さんから事前に個人指導してもらっていた。その時、この地球儀の話を直接聞いていた。
「地球に国が生まれ、国境ができているが、そんなのは、地球にとっては全く関係のないことだったのだ。それなのに、人間がラインを引いてしまったおかげで、争い事が絶えない。本来ならば、何の線もない『生命の星』なんだよ。」

線を引くのは、人間の問題?国益が絡むから?
本来ならば、地球はどうあるべき姿なのか?

そんな思いを、話のネタにシリアの食事を囲んで話し合いませんか?
「世界はひとつ みんなのだんらん」
2019年3月9日(土)・10日(日)に、松山大学 文京キャンパスカルフール1Fカフェテリアにて。
詳しくは、090-8280-3690(大川)まで。

一人でも多くの方のお越しを、心よりお待ちしております。