ニジェールでの活動経験を活かした栄養サポート

平成16年度2次隊/ニジェール/栄養士
松本 なぎささん(徳島)

(写真1)離乳方法の啓蒙活動の様子

(図1)改定された離乳方法

(写真2)国立スポーツ科学センター

 ニジェール共和国における乳児死亡率は高く、保健医療の改善は急務とされています。そうした中で、青年海外協力隊として、「医療従事者の知識レベルの向上、離乳児を持つ母親へのプライマリーヘルスケアーの普及、栄養教育の重要性の普及等に関する活動を展開していくこと」を目的に、ニアメ保健局に管理栄養士として配属され、離乳方法の改定(図1)および啓蒙活動(写真1)に携わっていました。帰国後は、大学院でスポーツ栄養学を学びながら、独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催する能力強化研修(保健と開発)へ参加し、Project Design Matrix(PDM)やPlan of Operation(PO)の企画・立案のなど学ぶ機会も頂きました。

 ニジェールから帰国して約10年が経ち、現在は国立スポーツ科学センター(JISS)で管理栄養士として働いています(写真2)。JISSでは、スポーツ科学・医学・情報など先端の研究のもと、各分野の専門家集団が連携しながら、我が国の「国際競技力向上」のために取り組んでいます。トップスポーツ選手専門の管理栄養士として、様々な競技団体の日本代表チームに関わりながら、栄養面からの課題を抽出し、課題に対するアプローチ方法や成果指標を構築した上で現場へ展開していくことが求められます。そうした中で、抽出された課題に対するアプローチ方法や評価指標の検討にはPDMやPOの手法を用いることもあり、現在の活動に活かされています。
加えて、「コミュニケーション」も重要となります。トップレベルのアスリートに対する栄養サポートでは、競技によって特性が異なり、さらに選手個人によっても取り組むべき課題は異なります。しかし、選手へ栄養サポートを展開していくためには、監督、コーチ、トレーナーなどの競技団体関係者の方や、支援に関わる関係者とコミュニケーションをとりながら情報共有をしていくことで、栄養サポートだけでなく、他の専門分野とも連携していくことが計画を実践していくためにも重要なスキルの一つとなります。ニジェールでの生活で培ったコミュニケーション力は、今の私に大きな影響を与えていると思います。現地での挨拶は、現地語(ザルマ語)で「マターラン カニ?/ご機嫌いかが。」「バニサメ/良いです。」といった会話で始まり、体調、仕事、家族など同じことを幾度も話します。立ち話のつもりが、30分や1時間以上経過していることも日常茶飯事でしたが、時間にとらわれずニジェールの人々と会話していた日々が今では恋しくなります。また、現地語や公用語を駆使しながら、保健局長、医師、看護師と一緒に切磋琢磨しながら活動できた日々は、私の人生の宝であり、今では彼らに感謝しかありません。

 2016年夏、リオデジャネイロオリンピック競技大会をご覧になられたでしょうか。本大会で日本が獲得したメダルの数は41個と史上最多を更新し、さらに「えっとぶり」(徳島県青年海外協力協会機関誌)の読者の皆様と同県出身である松友美佐紀選手(バドミントン女子ダブルス)が、金メダルを獲得した瞬間は、興奮と感動に包まれたことでしょう。今後、2020年の東京オリンピック競技大会、更にはその先を見据え、我が国の競技力向上に引き続き貢献できるよう、選手の個別性や競技特性を客観的なデータから把握し、それらを踏まえた栄養サポートを継続していきたいと思っています。そして、いつの日か、ニジェールなどの発展途上国にもスポーツ栄養学の分野から役に立てるよう、これからも前向きに頑張っていきます。