協力隊で幸せをつかむ!

【写真】原田 浩多さん(高知)平成20年度3次隊/モロッコ/小学校教諭
原田 浩多さん(高知)

日本文化教室

体育の授業

 青年海外協力隊の体験で僕の人生は大きく変わった。人生観、教育観、出逢い、就職、結婚、我が子の誕生・・・。
 大学で小学校の教員免許を取った僕は、日本で就職に就く前に「海外で教育とは何か」「海外で暮らしたい」という理由で青年海外協力隊に応募した。

 モロッコへ小学校教諭として派遣された僕の任務は、現地の先生に体育と図工の授業技術を伝えることだった。気候、食べ物、価値観、宗教など全てが異なるモロッコ。最大の壁は学校現場の違いだった。モロッコでも、体育はカリキュラムに組み込まれているが、その時間になっても誰も運動場に来ない。それどころか、子どもも教師も帰宅している。なぜ、体育の授業をしないのか教師に聞くと、「体育の授業実践を学んでいない」「更衣室がない」「太陽に当たると体に悪い」「暑い」「年配女性の私たちにできない」と、日本では想像もつかない答えが返ってきた。
 また、授業時間数もアラビア語、フランス語、算数、宗教の時間が9割で、体育や図工、音楽などの情操教育に力は注がれていない。テストの点数さえ良ければという教育はショックだった。「ここでできることは何?」「何のためにいるのか?」フランス語もアラビア語も満足に通じず、自分の気持ちが伝わらない。活動がうまく進まない。歯がゆい。もどかしい。情けない。任期の2年間がどんどん減っていった。
 しかし、8カ月ほど過ぎた頃、サラという男性教師と出逢い光が差しこんだ。彼はモロッコの教育を改革していくために教育省にも顔を出している志のある人物だった。僕のつたないフランス語を我慢強く聞いてくれ、両国の教育の違いや悩みなどを語り合った。そして、活動を支える二つの答えが出てきた。教員養成学校で学生向けに指導する実践講座と、現職の教師向けに講習会を開くことにしたのだ。
 教育省や教員養成学校に掛け合い、体育と図工の教育実践について学び直し、フランス語の資料を作り、スピーチの練習をして準備した。サラを中心にモロッコの教師仲間や、日本の協力隊仲間と連携して、知識や技術、思いを伝えるための実践講座や講習会を開くことができた。
 2年間が過ぎ、やるべきことを残して帰国するのは悔しかったが、貴重な経験が出来て良かった。そしてこの「協力隊参加で良かったこと」は、帰国後も続いた。
 まず、教員採用試験に合格し、現在働けていることだ。面接でも協力隊の経験を質問されて、外から見た日本の教育の長所と短所を話せた。また、日本のため、世界のために活躍できる、そして何よりも人生を思いっきり楽しめる子どもを育てていきたいという夢ができた。
 もう一つは、モロッコで妻(福岡出身)に出逢えたことだ。協力隊の助産師で、命の現場に立ち、命の尊さを感じ、仕事に誇りを持っている。帰国後の遠距離恋愛を経て、5年前に結婚し、現在3人の子どもたちと幸せに暮らしている。
 最近よく知人たちに「いい流れに乗っているね」と言われる。わずか二年間、されど二年間のおかげで僕の人生は変わった。
そんな2年間に挑戦してみてはいかがだろうか。