そこに世界の現実がある

【画像】教諭 川村 美千代 

徳島県鳴門市立鳴門工業高等学校
教諭 川村 美千代 

世界を自分自身の肌で感じる

  世界の屋根ヒマラヤを有する国、ネパール。そこには1日1ドル以下で生活している人が39%もいて、小学校への入学率は、男子75%、女子66%と非常に低い。このような事実は、日本でも資料を見れば知ることができる。しかし、知識として知っているのと、実際に自分の目で見て実感するのとでは、理解の深さが全く違う。
  約1週間の滞在中、多くの人々に出会った。朝、学校へ登校していく子どもたちの傍ら、自転車で野菜を売る少年。町の水場で水を汲み、洗濯をする少女。学校へ通うために親もとを離れ住み込みで働く子どもも多い。水場で出会った老夫婦は武装勢力に撃たれたという傷跡を見せてくださった。
たくさんの厳しい現実を目の当たりにした。しかし、人々はみな笑顔にあふれ、子どもたちの目はキラキラと輝いていた。たくましく生きる人々の姿に、私たちの方が力を与えられた。この人たちのためにできることは何かと考えずにはいられない。
 日本の暮らししか知らない日本の子どもたちに、伝えなくてはいけないことが山のようにふくらんだ

生の声で伝える

日本に帰り、ネパールから持ち帰ったいろいろな物品をクラスで披露した。生徒たちは楽しそうにあれこれと手に取り質問を投げかけてくる。誰にでも未知なものに対する純粋な好奇心が存在することを、普段の授業では見られない生徒たちの表情から実感した。
 今の時代、海外のこともテレビや映画、インターネット等さまざまな媒体を通して情報を得ることはできる。しかし、生徒が関心を持っている国は、ほとんどの場合、欧米などの先進諸国であり、途上国に関する情報はごくわずかしかない。
生徒たちには、現地で撮った数多くの写真も見せたが、そこに自分の知っている先生が写っているとなると、写真への興味の示し方も格段に違う。自分にとって非常に身近な人間が体験してきたこととして、生徒はますます興味関心を深めていく。
経験したことが多すぎて整理が難しく、さまざまな事柄を上手く伝えられたかどうかは分からない。けれども、私自身が抱いた熱い思いは、少なくとも伝わっただろうと感じている。

【画像】

町の水場で水を汲んでいる少女たち

【画像】

登校する子どもたちの傍ら、自転車で野菜を売る少年

【画像】

ホームステイ先で