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中国児童教育援助協会 
代表 菅 未帆

青年海外協力隊出身者の中には、帰国後も自分の活動していた途上国へ協力を行なっている人が数多くいます。
愛媛県西条市の元青年海外協力隊員の菅未帆さんもそのひとり。帰国後も仕事と育児をしながら中国の貧しい児童への就学支援を行なっています。なぜそのような活動を思いついたのか、どうしたら続けられるのか、お話を伺いました。

菅さんは札幌市出身。幼稚園教諭をしていた25歳に青年海外協力隊に応募。1994年から97年まで幼稚園教諭として中国広西チワン族自治区の柳州で2年半を過ごしました。その後98年から2001年までは北京のJICA事務所で青年海外協力隊調整員として隊員たちのサポートを行ないました。2001年に結婚したご主人の郷里愛媛県に帰国後すぐに「中国児童教育援助協会」を立ち上げ、今も代表として活躍しています。

Q.どんな活動ですか?
A.中国の貧困農村部には学校に満足に通えない子供たちがまだたくさんいます。中国は小学校・中学校は義務教育で無料ですが、それでもちょっとした費用が払えなかったり、家の手伝いをしなくてならなかったりの理由で学校に通えない子供たちです。この子供たちを支援するために里親を見つけて繋げる活動です。

Q.どうしてそのような活動をしようと思ったのですか?
A.貧しい子供たちに手を差し伸べたいとの思いから協力隊に入ったのですが、当事の中国は貧困農村に外国人は入れず、赴任した幼稚園は都市の富裕層対象の幼稚園でした。

帰国してすぐに北京のJICA事務所で協力隊調整員として働く機会に恵まれましたが、その時に貴州省の貧困地域に入ることができ、実態を目の当たりにしたのがきっかけです。せっかく政府が立派な学校を作っても家庭が貧しくて学校に通えない。年間数千円もあれば学校に通えるので、少しでも何とかできないか、と考えました。

帰国後すぐに隊員時代の広西チワン族自治区の友人に連絡を取ったところ、手伝ってくれる人々を紹介されたので、まず自分のお金を送ることから始めました。自分の考えを知ってもらおうと、まずはパンフレットを配り、その後は口コミで会員が広がりました。活動スタートから4年目にHPを立ち上げたところ、安定した活動が継続できるようになりました。

Q.協力隊に応募したきっかけは?
A.私の勤めていた札幌の幼稚園には外国人の子供もいて、海外には興味がありました。また、24時間テレビなどで途上国の貧しい子供たちの映像を見て、「自分にも何かできないかな」と思っていた時に、協力隊募集のポスターが目に入りすぐに説明会に行きました。幼稚園教諭などという職種があるとは思ってもみなかったのでびっくり。すぐに応募しました。

Q.帰国後幼稚園の教諭を続けるつもりはなかったのですか?
A.帰国後、3年間愛媛県内の幼稚園に勤務しました。主人の転勤でその園を退職しなければならなくなり、次の仕事を探していたところ、今治の外国人研修生をサポートする組合の求人がありました。支援活動の翻訳ボランティアさんからの紹介です。現在はこの組合で、中国人研修生の入国支援、日本語教育、生活支援の仕事をやっています。幼稚園教諭は好きな仕事ですが、中国で暮らして、中国の方たちの情の深さや直面している困難さが人ごとではなくなっていまいました。

Q.仕事も育児も大変なのに、どうしたら活動を維持できるのでしょうか?
A.たしかに中国人研修生の仕事は緊急事態があれば夜飛び込んでくることもあります。子供は4歳で目が離せません。そこで会の活動は土曜日に子供を保育園にお願いし、できるだけ集中してやっています。その代わり日曜日は子供ととことん付き合うようにしています。もちろん夫の理解も欠かせません。また、40人ほどのボランティアの方たちがメールで翻訳、デザイン、ニューズレター作成、ホームページのアップなどを手伝ってくれています。愛媛の地元の情報は愛媛県青年海外協力隊OB会の人たちが相談に乗ってくれます。
忙しいけれど自分のやりたいことだし、楽しいので苦になりません。

Q.会の代表として、普段具体的にどんな仕事をしていますか?
A.会員からの問合せへの回答、現地の仲間との通信、HPの更新や半年に1回のニューズレター発行・送付、会計など会の運営に関するすべてのことです。年に一度は現地を訪れ、子供や家庭を訪問して問題を把握したり、新たな子供の情報を得たりしています。その結果はニューズレターで会員に報告しています。

Q.会員へのサービスではどんなことに留意していますか?
A.会の運営の基本姿勢を(1)誠実=日本人の代表が運営し援助している、(2)直接=日本人の代表が直接現地の学校長と連絡をとっている、(3)明確=何をしたいのか、何をしているのか、目的がはっきりしている、(4)明白=お預かりしているお金が、どこへ、どう使われているかが一目瞭然である、の4つを掲げています。会員からいただいたお金はできる限り多く子供たちに届けたいと考え、何%が子供たちに使われたかを分かるようにしています。収支はすべてホームページで公開しています。私自身も無給です。また会員からの問合せには3日以内に回答するようにしています。

Q.今後の会の課題は?
A.中国人の会員を増やすことです。中国には驚くほどお金持ちが多いですし、中国にも私たちの会と同じような里親の会がありますが信頼性が低いため、私たちの会員になりたい人がいるはずです。ちなみに現在の会員100名のうち、20人ほどは在日中国人です。ただし、会員はあまり多くなるときちんとご対応できなくなる恐れがあるので、200人が限界かな、と思っています。
将来的には、中国側のボランティアの人たちが活動のノウハウを受け継いでくれたら、任せたいと思っています。
それから、会員から現地を訪れたいとの要望が多いので、何とかスタディツアーができないか検討しています。

何ごともすぐに、明るく前向きに挑戦する菅さん、今後のさらなるご活躍に期待します!

関連リンク
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菅 未帆さん

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踊りの練習(隊員時代)

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貴州省の子供たち

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広西チワン族自治区の子供たち

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支援対象の小学校

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音楽の授業(隊員時代)

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子供をあやしながらパソコンに向かう

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支援対象の子供たち

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年に1回は現地を訪問する