地域の人たちの思いを形に

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公益社団法人セカンドハンド 本部事務局職員
後藤 尚子さん

香川県高松市に本部を置くセカンドハンドは、ボランティアで運営するチャリティーショップの収益金を資金源に、主にカンボジアに教育・医療・自立・孤児院支援などを行っている国際協力団体です。日本国内においても、学校等への講師派遣、中学校・高校からのインターンの受入れといった教育活動や国際協力イベントへの開催等、幅広い活動を行っています。また、東日本大震災以降は、被災地支援にも積極的に取り組んでいます。
地域とのつながりを大切にしながら活動を展開するセカンドハンド。今回は、その縁の下の力持ちとして10年間にわたり事務局を支え続けた後藤尚子さんにお話を伺いました。

Q. 国際協力に関心を持つようになったきっかけは?

父親がJICAの専門家をしていた関係で、小学校2年生から2年間、メキシコに住んでいましたが、現地の人たちの明るさや強さ、生活を楽しもうとする姿勢に魅力を感じました。同時に、物乞いをする子どもたちが当たり前のように存在する日常を体験したり、孤児への支援等に間接的に関わる機会があったことも、国際協力の分野に関心を持つようになったきっかけとなっているかもしれません。その後も旅行等で開発途上国を訪れ、現地の人たちのエネルギッシュな笑顔に触れるたびに、開発途上国に関わりたいという思いが確かなものになっていきました。

Q. セカンドハンドとの出会いは?

国際協力の分野で働きたいという思いを持ち続けていたものの、どんな仕事に就きたいかという点は漠然としていました。そこで、大学4年生のとき、実際に国際協力の現場を体験したいと思い、インターンシップ・プログラムを探すことにしました。そんなとき、大学の先輩の紹介でセカンドハンドの設立者である新田さんと出会い、カンボジアへのスタディツアーに参加。スタディツアーは2週間ほどでしたが、セカンドハンドが取り組んでいる職業訓練プロジェクトの立ち上げの時期と重なり、自立を求めて立ち上がろうと努力する現地の女性たちの姿を間近に見ることができました。土台さえあれば、きっと自立することができる、そのためには支援が必要であると強く感じ、帰国後、ボランティアとしてセカンドハンドの活動に関わるようになり、それをきっかけに、数か月後、職員として働くことになりました。

Q. これまでの活動をふりかえって、ご自身にどんな変化がありましたか?

セカンドハンドに入る前の自分は、大きな壁にぶち当たることも、特に苦労することなく、何となく流れにのってきたという感じでした。セカンドハンドに入ってからは、受身ではなく、自分自身で考え、行動することが求められるようになりました。事務局での業務は、組織の運営から、チャリティーショップの運営、イベントの開催等、多岐にわたり、慣れないうちはわからないことばかりで、壁にぶつかることの連続でした。
しかし、壁にぶつかり、それを乗り越えることを繰り返す中で、成長することができたと感じます。セカンドハンドには、もともと使えるお金があるわけでなく、チャリティーショップの売上や寄付などによって活動資金を得ています。あって当たり前という物はほとんどありません。ですから、活動を行っていく中で、なければないなりに何とかしていくという力が身についてきたと思います。また、関心の幅も大きく広がりました。セカンドハンドの主な支援先はカンボジアですが、カンボジアの医療問題に取り組んでいると、日本やそれ以外の国の医療問題についても自然と関心を持つようになります。
また、現地の人たちとの関わりの中で、日本や自分自身についても改めてふりかえることも多くなり、「生きる」というのはどういうことか、なぜ働く必要があるのかといった問題についても考えるようになりました。以前の自分は、世界は誰かが動かしている、という感覚でしたが、実際に世界を動かしているのは、自分自身を含め、そこに暮らす一人ひとりの人間だと感じるようになり、変化をもたらすためには、自分自身が主体的に動かなければいけないと思うようになりました。実際に自分自身の思いをどんどん行動につなげていく大人たちの姿を間近に見ることができたことの影響も大きかったと思います。

Q. 国際協力に対する思いも変わりましたか?

国際協力に対するあこがれから現在の仕事に就きましたが、活動を続けていくうちに、だんだん国際協力をしているという意識がなくなってきました。自分が行っている活動は、たまたま国境を越えているだけで、友人や身近な人たちとの助け合いの延長上にあるものだと感じるようになりました。

Q. 後藤さんにとって、セカンドハンドの魅力はどんなところですか?

一番の魅力は地域の人たちとのつながりです。セカンドハンドの活動資金の多くは、チャリティーショップの売り上げによって得られます。チャリティーショップは、荷物整理、運搬、お店番など地域の人たちのボランティア活動によって成り立っています。お店には、買い物だけでなく、ボランティアの方やスタッフに会うために足を運んでくださる方もいらっしゃいます。チャリティーショップは、地域の人たちとカンボジアの人たちをつなぐ場であると同時に、地域の人たち同士の交流を育む場にもなっていると感じます。
また、東日本大震災が起き、自分自身が何かしたいと感じたとき、セカンドハンドの支援活動を通じて、すぐに行動を起こすことができました。そのとき、身近にセカンドハンドがあってよかったと改めて感じました。特別な技術を持っていなくても、何かしたいという一人ひとりの思いを形にするお手伝いや、役立つ技術を持っていても、どう支援の現場につながっていったらいいのかわからないという人たちの技術を活かすお手伝いができるという点もセカンドハンドの大きな魅力だと思います。今回の震災では、自分自身の軟弱さを突きつけられると同時に、現地訪問した際、災害等でシステムや物が何もなくなったとき、残されるのは人間の力だけであると強く感じました。NGO活動では、日々、問題解決力やコーディネート能力を必要とされており、セカンドハンドでは若者達が経験を積み、力をつける場も多くあるのですが、このような場があるということは大変素晴しいことなんだと再認識しました。

Q. 最後にこれからの抱負をお願いします。

世界が抱える課題の多くは、すぐに解決できるものではなく、継続して取り組んでいくことが大切だと思います。モチベーションを保ち続けることが難しいときもありますが、これまでお話したような喜びや魅力を感じながら、また、多くの人から元気をもらいながら活動を続けてくることができました。これからも、自分自身に力をつけ、人とのつながりを大切にしながら、ずっと活動を続けていきたいです。そして、一人ひとりの思いを行動につなげられるような市民団体がどんどん育ち、市民の力が地域や国を動かすような社会の実現に向けて、少しでも貢献できればと思っています。

関連リンク
【画像】「地域の人たちの思いを形にの写真」【画像】

カンボジアへのスタディツアーにて

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カンボジアの女性の自立支援のための職業訓練センター

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チャリティーバザーにて

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チャリティーショップにて

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セカンドハンドが主催するチャリティーコンサートでのバザー準備

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東日本大震災被災地支援のための支援物資をご提供いただいている様子