四国で世界各国の人づくりを−研修生につながる人々を思い描きながら− [後編]

【画像】公益財団法人オイスカ四国研修センター所長 柿沼 瑞穂さん

H9年度2次隊 ザンビア 村落開発普及員 
公益財団法人オイスカ四国研修センター所長 柿沼 瑞穂さん

オイスカ四国研修センターの所長として、世界各国からの研修生たちを温かく、力強くサポートしている柿沼さん。地域で行われる行事に研修生にも積極的に参加してもらい、地域の人たちとの交流にも力を入れています。地域とのかかわりとこれからの抱負についてお伺いした後編です。

地域の人たちとの交流について教えてください。

研修生には、地域で行われる運動会や文化祭などの行事には、できるだけ参加してもらっています。夏には、センターに地元の人たちが集まり、どじょう汁を作ってくれ、みんなで食べるのが恒例となっています。毎年行われる「オイスカふるさと祭り」には、近所の人たちもたくさん訪れ、研修生たちと楽しい時間を過ごされています。
センターの地域との関わりは、交流イベントに限りません。綾川町にある、ため池や用水路の整備・維持も高齢者の多いこの地域では大変な作業であり、地域の人たちによる共同作業には研修生たちの参加が歓迎されます。また、研修の一環として、綾川町の生活研究グループによって商品化されたお菓子などの開発までのプロセスなどもご紹介いただいています。このように、長年にわたり、さまざまな形で地域社会とのつながりを大切にする中で、研修生たちは地域の人たちに受け入れられているだけでなく、地域を「元気にする源」にもなっていると感じます。
一方、研修生にとっても、地域の人たちとの交流は、オイスカの職員以外の日本人と接する貴重な機会です。中には、日本人は冷たいなどマイナスのイメージを持って来日する研修生もいますが、地元の人たちの温かさや優しさに触れ、日本や日本人に対する印象が変わったという声も耳にします。地域人たちとの交流からたくさんの楽しい思い出が生まれていると感じます。

オイスカでのこれまでの活動をふりかえって、ご自身にどのような変化がありましたか。

当初は、研修生を指導するという意識で接しており、慣れない集団生活や厳しい規則に戸惑う研修生に対しても「郷に入れば郷に従え」という気持ちでした。しかし、経験を重ねるにつれ、研修生が一方的にセンターでの環境を受け入れるのではなく、お互いが歩み寄ることが大切だと考えるようになりました。そして、研修生が嫌がることには、それぞれ理由があり、それを理解するためには、文化的背景の違いを知ることが大切だと思うようになりました。
また、最近では、異なる文化的背景を持つのは、外国人に限らず、日本人でも同じではないかと思うようになりました。時として日本人同士のほうがわかり合うのが難しいと感じることもあります。ですから、同じ日本人であっても、それぞれ異なる文化的背景を持つ存在として、相手の立場や考え方を理解しようと努めることが大切だと考えます。

活動の中で特に心掛けていることはありますか。

これも自分の中の意識の変化につながることですが、オイスカでの活動を始めた当初は、自分自身が直接現場に関わりたいという気持ちが一番でした。しかし、研修生と関わる中で、必ずしも自分が現場に行かなくても、現場で活動する担い手を育てるという関わり方もあるのだと実感するようになりました。研修を通して、研修生が、それぞれの国・地域が抱える課題に対する考えを深め、解決に向けて行動するための力を身につけられるよう支援するのが現在の仕事ですが、目の前にいる研修生だけを見るのではなく、それぞれの国に帰った後、研修生が関わっていく現地の人々にまで思いを巡らせ、その人たちに働きかけていく気持ちで研修に取り組むよう心掛けています。

 また、オイスカの職員には、3、4年間経験を積み、それぞれの目標に向かって転職していく若い人たちが多いので、ここで働いている間に、研修の企画や運営、技術指導など、何でもこなせる力を身につけてほしいと思っています。ですから、研修生だけでなく、若い職員を育てることにも留意しながら、活動しています。

これからの抱負を教えてください。

現在、オイスカには四国を含め、国内に4つの研修センターがありますが、これらのセンターの主な役割は、各国からの研修生を迎え入れ、研修を実施することです。将来的には、そうした役割に加え、途上国へ職員を派遣し、現地で指導を行えるようなシステムを作っていきたいと考えています。それは、国内研修センターが人材派遣センターとしての役割を果たすということです。そうすることで、より多くの国・地域で、より多くの人たちに研修の機会を提供できるようにしたいと思っています。
また、職員が全員起業家としての精神を持って業務に取り組むような環境を作りたいです。
自分たちで生産したものを商品化し、販売して、活動資金を生み出すシステムを確立できたらと思っています。これは、まさに研修生が身につけなければならないスキルであり、それを研修センターが自ら実践し、その中で研修生が実践的に学べるようにするのが一番だと考えています。
 オイスカには、管理職に就いている女性は少なく、女性の所長はまだ1人しかいません。その意味で、良くも悪くも、ここでの活動は注目されることが多いと思われます。女性の所長第一号として、組織に新しい風を吹き込んでいくとともに、後に続く人たちのために道を作っていけたらと思います。

最後に四国のみなさんにメッセージをお願いします。

青年海外協力隊への参加を通じて出会った人たちには、今でも国際協力や教育などの分野で活躍されている方がたくさんいます。協力隊事業は、日本の若者が、自らの思いを体当たりでぶつけることができる貴重なチャンスであり、日本を元気にする人材の発掘・育成に大きく貢献していると感じています。ですから、もっともっと多くの四国の若者にもチャンレンジしてもらいたいです。

また、オイスカでも、ボランティアスタッフを募集しています。ボランティアに参加することは、世界各地からの研修生とともに生活し、異なる価値観に触れながらコミュニケーション・スキルを磨くこと、農産物の生産・加工・消費といった一連の過程を実体験できること、JICAの研修に関われることなど、国際協力や農業などに関心を持つ人たちにとって多くのメリットが考えられます。
もちろん、協力隊への参加を目指す人にとっても有益な経験になると思います。
「何かしてみたい」「何かしなきゃ」という思いを持っている方、思い切って行動してみませんか?

関連リンク
【画像】「四国で世界各国の人づくりを−研修生につながる人々を思い描きながら− [後編]の写真」【画像】

毎年恒例の「オイスカふるさと祭り」

【画像】

研修生とのコミュニケーションを大切に

【画像】

研修生の発表用資料についてアドバイス