防災教育の経験をベトナムで活かす−日本という国から一歩外に出ることで得られるもの−[前編]

【写真】山内 隆和さん愛媛県西条市危機管理課
山内 隆和さん

フエ市人民委員会にて

愛媛県西条市は、以前から交流のあったベトナムのフエ市と地形や産業、地域のコミュニティが似ていることから、西条市が築きあげてきた防災教育の経験がフエ市で活用可能と見込み、フエ市に合った防災教育プログラムの開発・実践を支援しています。 西条市危機管理課の山内隆和さんは、これまで国際協力とは無縁にお仕事をされていましたが、仕事を通してフエ市と関わり、今や大のベトナムファン。国際協力の実践者となり、国際協力の魅力を感じていらっしゃいます。そんな山内さんにお話しを伺いました。

平成23年度4月から西条市は「フエ市防災教育支援事業」として、草の根技術協力を実施しています。平成16年の台風災害により、大きな被害を受けた同市は、その教訓から「災害に強いまちづくり」を目指し、様々な取り組みをしてきました。そのひとつである「12歳教育」は、自己判断ができるようになる12歳(小学校6年生)を対象とし、学校や地域と連携した様々な体験活動を通して防災に関する知識・技能を身に付けさせ、将来を担う若者(リーダー)の育成を図ることを目的として実施されています。

普段、危機管理課ではどんなお仕事をしていますか?

【画像】災害の予防に関する調査研究(間伐材を利用した避難シェルター)や各種ハザードマップを作成するための基礎資料(河川の氾濫危険区域図など)を作成しています。あと防災に関して関係機関・組織、例えば、防災全般の指導を受けている京都大学やISDR・国連国際防災戦略等との連絡調整などが主な仕事となっています。

これまでにも国際協力に関わることがありましたか?

【画像】平成16年の災害の後、京都大学の小林(水野)先生が防災に関して大きなサポートをしてくださり、また、災害に見舞われた西条市をフィールドとして、京都大学が姉妹協定を結んでいるフエ農林大学の先生や学生を連れて視察に来られることが数回ありました。それをきっかけに、西条市とフエ市、西条市民とフエ市民の交流がスタートしました。しかし、そこから国際協力に発展するとは、その頃は考えてもいませんでした。

草の根技術協力事業を担当するに当たって、どんな思いでしたか?

市役所内で草の根技術協力事業への応募の話が持ち上がった時、正直なところ、「誰がやるんだろう」「大変そうやな」と他人事に思っていました。防災教育を支援すると話しが進み出したころも、市の教育委員会もしくは国際交流係が担当するものだと思っていました。
これまで、英語が苦手だったせいか、「国際」と名の付くものには全く関心がありませんでした。特に国際協力というと「ODA」や「国家間の支援」というイメージが強く、このフエ市との事業が始まった当初は、その分野の知識も浅く、不安でしかありませんでした。仕事だからやらなければならないという責任感だけで動き始めました。

実際にベトナムのフエ市に行かれてどうでしたか?

日本で当たり前にやっていることが通用しなかったり、想定外なことがありながらも、1年間手探りの状態でやってきました。防災タウンウォッチングの実施や雨季日記をつけて、日常生活を改めて防災の視点で見直してもらい、子ども達が自分の身は自分で守るという危機管理の意識を高めてきました。
最初は、「支援」「技術移転」を意識し、何かを教えなければならないと構えていたのですが、現地に行ってみると、返って自分たちが教えられることも多く、互いに教え合う、共有し合うというスタイルへと変わってきました。



>>次回は、事業に携わるようになってからのご自身の変化や今後の展望についてお伺いします。(6月下旬更新予定)