JICA教師海外研修教育行政コース(ネパール)に参加して

【写真】H24年度JICA教師海外研修教育行政コース(ネパール)参加  森下 稲子さん徳島県阿南市教育委員会 教育研究所研究員(人権教育指導主事)
H24年度JICA教師海外研修教育行政コース(ネパール)参加  森下 稲子さん

JICA四国では、四国四県の国際理解教育/開発教育に関心を持つ学校教員及び教育行政担当者(教育委員会または、教育センター指導主事等)を対象に、平成24年9月8日から9月17日まで9日間、教師海外研修 教育行政コース(ネパール)を実施しました。森下さんは現在、徳島県阿南市教育委員会教育研究所(人権教育課)に勤務され、小・中学校を対象とした学校人権教育に関わる業務に携わっておられます。2012年の夏、JICA教師海外研修でネパールへ行かれた体験についてお話を伺いました。

現在、人権教育指導主事としてどのような業務をされているのですか?

私は小学校教員ですが、今年度から阿南市教育委員会人権教育課の人権教育指導主事の任務を拝命されました。業務としては、人権ふれあい子ども会活動事業や学校人権教育研究会の事務局、人権教育指定研究校事業、阿南市人権教育協議会の小・中学校教育部会の事務局、教育集会所連絡協議会指導事業、識字学級交流推進事業等を行っています。

阿南市では、「人権問題の解決に主体的にかかわる児童生徒を育成する」ことをねらいとし、市内10箇所で人権ふれあい子ども会活動を行っています。子ども会活動がスムーズに運営できるように、また発展していくように、10名の人権ふれあい子ども会指導員と共に地域や学校との連携を図ったり、研修を深めたりしています。また「指導主事」というよりも事務局としての仕事が多く、「企画・連絡・調整」係としての業務が多いです。阿南市の就学前・小・中学校の人権教育を推進していくために、自分ができることを精一杯していきたいと考えています。

ネパールで印象に残ったことはどんなことですか

Love Green Japanの鈴木さん

学校で熱心に勉強する子どもたち

この海外研修に参加した理由は、社会のグローバル化に合わせて、人権教育もグローバルな視点から学習していく必要があると思ったからです。また、ネパールではどんな人権問題があるのかということも知りたかったからです。人権問題という視点から印象に残った訪問先を2つ紹介します。


【NGO Love Green Japan事務所(カブレ郡パンチカール村)】

支援の始まりは、ネパールの森林破壊が進み、NGO Love Green Japanが1921年から30万本の木を植えたことからだそうです。ネパールでは、男性が海外へ出稼ぎに行くことが多いので、農業を中心になってしているのは村の女性です。牛の糞を利用したバイオガス、ため池(プラスチックポンド)造り、有機肥料による農業等、生活に根付いた支援をし、自立を目指しているそうです。バイオガスを使うことで、それまで薪集めをしていた時間に、子どもは勉強ができるようになったそうです。幅広い支援により村の生活環境がものすごくよくなったことが分かりました。スタッフの鈴木さんが「できることからまずやり始めて続けていくこと、上からの支援でなく、その地域の人々と話し合い、地元の人々が自分たちで組織的に動けるようにすることが重要。人と人のつながりが大切」と話されたことが心に残りました。

また「村にキーパーソンになる人がいなければ難しい」とも言われ、支援の難しさを感じました。農業を支えているのは女性ですが、ネパールでは、女性の社会的地位はまだまだ低いと聞き、女性の人権について考えさせられました。


【NGOシャプラニール事務所】

ネパールでは、5人に1人の児童が学校に行かず働いており、児童労働の実態は深刻な問題だとのことです。学校に行きたくても家の事情で、農業の手伝いをしたり、レストランで住み込みで働いたりしていると聞きました。実際に路上で物売りをしている少女や居酒屋や朝の市場で働いている少年と出会いました。シャプラニールでは、児童労働問題に取り組み、子どもたちが学校に行って学ぶことができるように様々な活動を続けています。児童労働は子どもの学ぶ権利を奪っていることや日本の子どもたちがいかに恵まれているかということを痛感しました。

ネパールで体験したことを子ども達にどう伝えたいですか?

ホームステイ先の家族と(右端が森下さん)

世界にはいろいろな国があること、自分たちが当たり前と思っていることが実は当たり前ではないということを伝えていきたいです。ただ子どもたちが「ネパールは貧しい」「自分たちは恵まれていてよかった」という感想で終わらないように、ネパールのよさ、人の温かさ、子どもの一生懸命勉強する姿等をしっかり伝えなければならないと感じています。私も、今回の研修で初めて知ったこと、現地で見聞し体験して分かったことがたくさんありました。本当の幸せとは何か、自分たちが今できることは何か、子どもだけでなく大人も一緒に考えていけるようにしていきたいと考えています。