一期一会の出会いの大切さと「夢をあきらめない」という思いを伝えたい

【写真】田上 陽子さん(愛媛県出身)H18年度1次隊/セネガル/エイズ対策
田上 陽子さん(愛媛県出身)

幼いころアフリカの難民キャンプの子供の映像に強い衝撃を受け「私もアフリカへ行ってみたい」と漠然と思うようになったことが、青年海外協力隊に参加する第一歩のきっかけとなったという田上さん。協力隊参加で得た宝物、一期一会の出会いの大切さと、帰国後の出前講座で感じた、若い世代に伝えたい「夢をあきらめない」という思いについてお話を伺いました。

青年海外協力隊への参加のきっかけ

大鍋で調理中(セネガルにて)

小学校1年生の頃に見た、国際ボランティア関連のテレビ番組に映し出された映像・・・アフリカ難民キャンプで小さな子供がボロボロの服を着て、鼻水を出したまま配給された食べ物を持っている映像、国連がヘリコプターからアフリカの人達に向かって救援物資を落としている映像に強い衝撃を受け、「私もアフリカへ行ってみたい」と漠然と思うようになったことが、青年海外協力隊に参加する第一歩のきっかけです。それから「アフリカ」に興味を持ち始め、両親には「アフリカに行ってみたい」としきりに言い続けていましたが、冗談としか思われなかったみたいですね。

青年海外協力隊参加までの道のり

セネガルでの活動風景

生まれたばかりの赤ちゃんと(セネガルにて)

中学校2年生の時、新聞の小さな記事「アフリカの砂漠化/地球温暖化」を見て「将来アフリカに行って、国際協力で緑化開発の仕事に携わりたい!」という夢ができ理系の高校に入学。友人と某大学の農学部を目指していたのですが、気づけば全く予定していなかった「看護師」になっていました。当時、親の勧めや色々な柵(しがらみ)があったゆえの選択でした。ここから数年間「アフリカの地に立つ」ことを忘れ、「国際協力」は私の中から無くなっていました。

しかし、高校卒業以来に再会した友人から「青年海外協力隊でジンバブエに行く」という知らせを聞き、再び「国際協力/アフリカ」というキーワードが私の中に甦りました。「友人が派遣前よりも帰国後の方が魅力ある人になっていれば、私も青年海外協力隊を受験しよう」と新たな夢が出来たのでした。それから2年後、予想以上に友人が魅力ある人物に変身していたので「私も挑戦したい」と思い受験し、念願かなって合格。エイズ対策隊員でセネガルへ2年間赴任することとなりました。

青年海外協力隊参加で得た宝物

セネガル派遣の同期隊員と

青年海外協力隊参加で得た宝物・・・それは、参加しなければ絶対に出会えない業種/分野の方達と知り合うことができたこと、大切な友人が沢山できたことです。更に帰国後4年目になる現在も、青年海外協力隊参加がきっかけで様々な方達と出逢うことができています。出逢えた方達とは「これまでの人生」や「これからの人生、夢」について、いつでも自由に楽しく話し合うことができています。これは「本当に素敵な時間を共有しているなぁ」と実感する瞬間でもあります。

帰国後の社会復帰

帰国後1年間はJICA本部で働く機会を経て、その後は実家の愛媛に帰郷し、看護師として病院勤務をしています。その傍らで、JICA四国の愛媛県国際協力推進員の方から出前講座のお話を頂き、依頼のあった地域でお話しをさせてもらっています。どちらの分野も、青年海外協力隊での2年間で培った経験が役に立っています。

出前講座(1)一般の方に対して

ワークショップ風景

県外での出前講座デビューは、同郷で元青年海外協力隊OGの勤務する大阪の小学校でした。西アフリカの教育省関係者を研修で日本へ呼び寄せた際、小学生とアフリカの方との通訳と6年生対象の活動報告を実施しました。県内の出前講座デビューは宇和島市市役所での活動報告で、対象は小学校教師の方々でした。それらを皮切りに、高知大学でエイズ啓発を目的とした参加型ワークショップや、愛媛県内では高校生や小学生を対象として、国際協力や異文化理解を目的とした参加型ワークショップを実施しています。

一般の方達へのアプローチでいつも悩むのは、対象者のニーズに応えることが出来ているかどうか、です。特に私の活動報告には「エイズ/差別/怖い」イコール「難しい内容」になり易いので「簡単/楽しく」を念頭に、私自身が大きな声で良く笑い、楽しくお話しできるよう努めています。また参加者と一体となり、有意義な時間を過ごせることを心掛けています。

出前講座(2)看護学校の非常勤講師として

非常勤講師としての活動

2012年春、愛媛県国際協力推進員の方を通じて、看護学校から国際看護に関する講義依頼を受けました。交渉の結果、2012年夏に、1コマ90分の計8コマの授業を実施しました。

私はただの専門学校出身の看護師で青年海外協力隊OG&JICA本部1年間勤務経験有というだけで、肩書も何もありませんが、「皆が楽しく伸び伸びと授業を受けられ、少しでも国際協力へ興味を持ってもらえる」ように殆どの時間を参加型ワークショップとしました。内容は、これまでの出前講座の経験を生かし看護の専門性を取り入れたものにし、一般の方へは専門過ぎて理解し辛い内容や写真を盛り込んでみました。結果、殆どの生徒さん達から「楽しい授業だった」「興味が湧いた」と言って頂き、また「自分達がとても恵まれた環境にあることを知ることが出来た」「エネルギーの無駄使いをしないようにエコに努め始めた」「募金をするようにした」などの意見も聞かれ、講義後の行動変容に繋げることができました。

その他には、授業の後「青年海外協力隊に参加したいので情報を知りたい」「自分も看護師として国際協力に参加したい」と言ってきた生徒さんが何人かいた反面、講義開始時に国際協力参加を将来の夢としていた生徒さんが「(講義内容がリアル過ぎて)自信が無くなった」と感想を述べた生徒さんが1人いました。

私は「講師」ではなく「ファシリテーター」として自分自身も楽しく授業を進めていきましたが、「私らしさ」という発想で自由に教壇に立てたことは、アフリカ2年間で鍛え上げられた精神力と養われた感覚の一つだと思います。

出前講座は私自身の学びの場

一期一会と云いますが、初めて逢った方々の長い人生のほんの少しの時間にお邪魔させてもらえることはとても素敵なことだな、といつも実感しています。それは、お邪魔した時間がきっかけで、その人の今後の人生を180度変える可能性もあるからです。

そんな素敵な機会を通じて私自身も一人の人間として成長させて頂いています。特に若い世代の方に対する講座の中ではいつも、私が思う想定外の意見や感想、奇想天外な発想や行動を見たり聞いたりするので、私自身「なるほど!」と感心したり反省させられたりします。

だからこそ、次の機会をより質の高いものに出来るように自分自身を切磋琢磨しています。こういった経験は病院勤務で活かされる場合もあり「どんな経験でも無駄なことは無いんだなぁ」と、一人で感心することもあるんです(笑)

若い世代に伝えたいこと

若い世代に伝えたいこと・・・それは「夢をあきらめないこと」。昨年講義でも話した一説・・・これからの人生では、色々と苦悩する時があると思います。もしかすると近い将来の「今」は、全く違う経験をしている最中かもしれません。でも心のどこかで夢をあきらめていなければ、数年後振り返った時に「あぁ、あの時があったから今の自分がいるんだな」と、実感する時があると思います。「今」は「点」でも、振り返った時には「線」となっていて「今の自分」は「線で繋がっていたんだな」と、実感すると思います・・・といった内容。夢や希望を持っている人は本当にキラキラ輝いていますから、私自身も元気がもらえます!

夢をあきらめないで5年後10年後、20年後の自分に向い頑張っていけるように後押し出来たら良いな、と思います。

今後の夢

セネガル派遣の同期隊員との送別会

私はあと約10年で半世紀を生きることになります。でもまだまだやりたいことは幾つもあって、45歳、50歳、60歳の「自分は○○していたい」という姿をイメージしています。それはどこの国に居るかも分かりませんが、夢が一歩一歩近づいていけるように毎日を過ごしていきたいと思います。夢が一つずつかなった時、またこの場を借りて、若い世代の方々へメッセージを発信できれば嬉しいです。

帰国後約3年間、出前講座をはじめ様々な場面で年齢性別問わず色々な人生背景を持った方達と出会ってきました。肩書きも何もないただの看護師の私が話す経験談を聞いた方々が、異文化や国際社会、国際情勢・・・何でも良いので、今まで以上に興味を持って頂けたら、と思います。出前講座を通じて(間接的ではありますが)国際協力のお手伝いをする中で、これからも協力出来ることは積極的に関わり、国籍人種性別年齢に関係なく、たくさんの仲間を作っていけたらと思います。