科学の喜びは世界共通!−38年間の教員経験を生かした国際教育支援−[後編]

【写真】真鍋 憲昭さん(徳島県出身)カンボジア国立プレイベン中学校教員養成校 理科アドバイザー/文部科学省平成25年度視聴覚教育・情報教育功労者表彰受賞者/H21年度2次隊(シニア海外ボランティア)/タイ/科学教育
真鍋 憲昭さん(徳島県出身)

 
真鍋さんは小中学校教員として長年勤務され、退職を機にシニア海外ボランティアに参加、タイの国立サケオ教育科学センターに科学教育指導のため派遣されました。現在はふたたびカンボジアに赴き、国立プレイベン中学校教員養成校にて理科アドバイザーとしてご活躍されています。今回は、後編としてカンボジアでの活動を中心にお話を伺います。

日本へ帰国後、ふたたびカンボジアへ行かれた経緯を教えてください

1年間ぐらいは講演活動や地元での科学教育のボランティアをしていました。また、東日本大震災の1ヶ月後に「徳島県災害ボランティア先遣隊」として宮城県気仙沼市大島に行きました。

やっぱり海外ボランティアの意欲は衰えていませんでした。公益財団法人「カンボジア国際教育支援基金」が理科教育の指導者を募集していると言う情報を得ました。直接事務局に問い合わせたところ、昨年5月に個人面接をしてくれました。その結果、採用となりました。この事業の目的は「教員養成校の教官に理科教育の考え方や実験観察の技能を指導する」事です。

カンボジアの教官は書物での勉強はしていますが、実際に小中学生を教えた経験もなく、実験観察の経験もありません。これでは本当の理科教育は出来ません。そのような面を私たち教育アドバイザーがサポートしていく事が目的です。

カンボジアでの活動内容について教えてください

天体望遠鏡を使った学習

前に述べたことと重なりますが、本校の生物・地学の教官への指導と支援です。主に実験観察について指導しています。例えば、気孔や細胞の観察、魚・カエル・ネズミなどの解剖、天体望遠鏡の組立とその取り扱い、夜間の天体観測等をしています。熱帯の蝶類もたくさん棲息していますので、その飼育や採集・標本づくりなどもしています。その活動を通して、実験観察を重視した理科授業の重要性を理解してもらっています。

直接、学生に授業することもあります。地質学や天文学などです。貴重な映像資料をたくさん使ったり、実験観察を多く取り入れたりしています。学生が教育実習に行ったときには、その実習校を訪問して学生の授業観察や指導をしています。

サラーン君(写真左)と

サラーン君は蝶の愛好者です。昆虫の授業をするので、私が作った蝶のアルバムや蝶の標本を貸してくださいと言ってきました。私(写真右)はとても嬉しく感じました。カンボジアでは教科書だけで教える理科教師が殆どなのに、サラーン君のように写真や実物標本を使って授業をするなんて素晴らしいことです。こんな理科教師を一人でも多く育てていきたいと思います。

長年教員をされていたお立場から、国際教育支援活動の意義についてご意見をお願いします

38年間の教育活動でのたくさんの経験や貴重な知識を活用したいという願いを持っています。国内でも出来る事はありますが、発展途上国でそれらを生かすことに価値があると思います。カンボジアの現状は私の子どもの頃や新任教員の頃のような感じがします。丁度、私が経験したことがそのまま生かせる状態です。

退職後、ネパール・タイ・カンボジアと3つの国を経験しました。同じ実験をすると、子ども達はみんな同じ反応や同じ思考をします。実験観察を通して、科学のおもしろさや楽しさを感じ取ってくれています。科学の喜びは世界共通だと感じました。物や金による支援も大事な部分がありますが、教育による支援はその国の人々の心に残る支援だと思います。

2013年9月に文部科学省の平成25年度視聴覚教育・情報教育功労者表彰を受賞されたそうですね

授賞式にて

NHKの教材を使った宇宙の授業

この賞は文部科学大臣からの表彰ですが、現職時代の視聴覚教育・情報教育への功労についての表彰です。しかし、カンボジアでの授業でもこの教育方法を使っています。例えば、宇宙の授業の時に「NHK高校講座、地学基礎」の番組中の映像資料を活用しています。またインターネットの中から授業に使える動画などを検索して活用しています。

このようにすると、教官や学生の理解が深まり意欲が高まります。私にとっても、このような授業が出来るチャンスをいただけた事に感謝しています。

今後の抱負や夢について教えてください

卒業生全員に蝶の標本をプレゼント

 
カンボジアでの活動も残すところ1年足らずになってしまいました。これからも健康である限りは、私の経験と知識が役立つのであれば、どこへでも赴任したいと思っています。カンボジアの良かったところは「通訳」が付いていた事です。科学の専門用語でもカンボジア語に翻訳してくれます。授業も安心して出来ます。(英語では私も学生や教官も限界があります。)


ネパール・タイ・カンボジアではみんな親切にしてくれました。それらの国から来た人々に対して、それぞれの国の言葉で温かく迎えたいと思います。特に、7年後の東京オリンピックが絶好の機会だと思っています。